電子カルテの普及 東京総合医療ネットワークを利用すれば、病院のシステムを買い替えずに「そのまま使うことができる」

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東京都医師会理事で「目々澤醫院」院長の目々澤肇氏が8月16日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。東京における医療DXについて解説した。

電子カルテの普及 東京総合医療ネットワークを利用すれば、病院のシステムを買い替えずに「そのまま使うことができる」

※画像はイメージです

「地域完結型」の地方の医療環境 ~診療所から中小病院、基幹病院というピラミッドができていて、基幹病院が連携システムを入れればそれを見ればいい

飯田浩司アナウンサー)東京は電子カルテのニーズが特殊な状況なのでしょうか?

目々澤)実際に地方と東京では、その要素が変わっています。地方は「地域完結型」と言われていて、診療所から中小病院、基幹病院というピラミッドができています。

飯田)地方の場合は。

目々澤)基幹病院が連携システムを入れれば、みんなそれに従って見ていけばいいのです。逆に、診療所側から基幹システムに乗せて紹介状を送っているところもあります。

1人の患者が大小、さまざまな医療機関に行く東京 ~複数の病院や診療所が絡み連携システムの導入が必要

目々澤)東京では基本的に、1人の患者さんが大小を問わずいろいろな医療機関に行き、複数の病院や診療所と絡んでしまっているので、なかなか一筋縄ではいかないところがありました。

飯田)東京の場合は。

目々澤)急性期の患者さんが、救急車でいきなり都心の病院に運ばれてしまうこともある。退院する際も、(高齢などで)実際に自宅に帰れない場合は、自宅より遠くの、例えば都県境を超えたところの療養施設に入らなければいけないこともあります。ですので、東京都を1つの電子的な医療圏と考えた連携システムの導入が必要だったのです。

電子カルテの普及率は診療所で約50%、大病院で約80% ~都内の大病院のシステムが活かされていない

新行市佳アナウンサー)病院やクリニックで電子カルテをまだ導入していないところは、どれくらいあるのですか?

目々澤)普及率としては、診療所で50%くらいです。大病院では80%くらいだと言われています。

飯田)大病院で約80%。

目々澤)電子カルテを他の病院で閲覧できるようにするためには、病院が電子カルテ以外に連携システムを入れなければいけません。大病院が入れる連携システムは1500万円~2000万円近く掛かり、その半額を東京都が補助するという試みも、かなり前から動いていました。しかし、それを入れても他の病院との連携ではなく、自分のところへよく患者さんを送ってくれる診療所に少し使わせてあげるなど、その程度しか利用されていませんでした。

飯田)自分の病院に患者さんを紹介してくれる診療所に。

目々澤)それは宝の持ち腐れなので、きちんと利用して都内中のネットワークをつくりたいと思い、動いてまいりました。

電子カルテの普及 東京総合医療ネットワークを利用すれば、病院のシステムを買い替えずに「そのまま使うことができる」

新行市佳アナウンサー、目々澤肇氏、飯田浩司アナウンサー

すべての病院で国が推奨する規格HL7 FHIRに合わせるには時間が掛かる ~部門システムの切り替えには補助が一切出ない

飯田)ネットワークでつなぎさえすれば、宝が宝として活きてくるのですか?

目々澤)その通りです。結局、国がいまやろうとしていることと方向性は同じです。国がやろうとしていることは、大きな病院の電子カルテ、連携システムは大体5年ごとに切り替えていくので、それに合わせていく。国の総合システムが動き出したら、国の規格であるHL7 FHIRで吐き出されるものに切り替えていってくれ、ということです。

飯田)なるほど。

目々澤)しかし、病院のシステムは電子カルテとレセコン(医事コンピューター)の2つだけではなく、その下にいろいろな部門システムがあります。給食(管理)システムや画像システム、さらには検査システムなど、いろいろなものが組み合わさっているので、簡単に切り替えることは難しいのです。

飯田)切り替えることは難しい。

目々澤)巨額の予算が掛かります。おまけに、連携システムに関してはそれなりの補助があるかも知れませんが、部門システムの買い替えに対しては、補助は一切出ません。

東京総合医療ネットワークのネットワークにHL7 FHIRへの書き出しを付ければ、まとめて面倒をみることができる ~病院のシステムを翻訳し、そこに国のシステムを合わせる

目々澤)それを国がどのように考え、無理なことを進めようとしているのか……。それよりも東京総合医療ネットワークが進めているネットワークそのものにHL7 FHIRへの書き出しを付ければ、全部まとめて面倒をみることができるのです。

飯田)病院内のシステムはそのまま使い、最後の翻訳のところで国のシステムに合わせるものに変えてあげる。それが東京総合医療ネットワークの発想なのですね。

目々澤)そうですね。

飯田)「すべての病院内のシステムがこの規格でなければダメだ」とやっていると、いつまで経っても進まない。

目々澤)そういうことです。病院は、いつかはシステムを買い替えなければならないのですが、例えばあと10年使うなら、東京総合医療ネットワークのようなやり方で何とか誤魔化し、そして上手く広げていけばいいのではないかと考えています。

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