なぜ「ジェネリック医薬品」をすすめられるのか?

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東京都医師会会長の尾﨑治夫氏が9月29日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。医療費における薬剤費の問題について解説した。

なぜ「ジェネリック医薬品」をすすめられるのか?

※画像はイメージです

医療費の約2割を占める薬剤費 ~ジェネリック医薬品によって薬価を安く

飯田浩司アナウンサー)医療費の問題と言うと、出て行く方、使うお金について議論されることが多いのですが、一方で、処方される薬についても考えなければなりません。特に高齢者に対してはたくさんの薬が出されており、「一体いくら掛かっているのだろう?」と思うことがあります。薬の代金について、コスト削減に向けた対策はあるのでしょうか?

尾﨑)薬剤費は医療費の約2割を占めますので、改善が必要なのですが、ある程度の年限が経って評価が定まった薬には「ジェネリック医薬品」があります。特許権が切れると構造式が公開されるので、他のメーカーでもつくることができるのです。

飯田)ジェネリック医薬品。

尾﨑)ジェネリックにすると(開発費が抑えられるので)薬価が10分の1くらいに減ります。そのため「ジェネリック医薬品を使ってください」という流れがここ10年ぐらいあります。「8割くらいをジェネリックにして欲しい」という目標を立て、ほぼ達成されています。

飯田)そうなのですね。

尾﨑)そういう意味では、現実に薬剤費は縮小されていると思います。

ジェネリック医薬品メーカーの不祥事とコロナ禍が重なり、一時、薬不足に

尾﨑)しかし、ジェネリック医薬品メーカーの不祥事があって、メーカーの生産を一時止められてしまったり、他社も小さいメーカーが多いのですぐに増産できず、ジェネリック自体が不足してしまったのです。

飯田)いくつかのジェネリック医薬品メーカーの不祥事が報道されました。

尾﨑)また、コロナ禍で解熱剤や咳止め、抗生物質などが大量に使われるようになりました。そういうことが重なって、いままで一般の医療機関で処方していた薬がなくなり、ジェネリックも先発薬もないので「別の薬にしてくれ」と言われるようになったのです。

飯田)指定した薬が入らず。

尾﨑)何かあった際にも、どこかが代行して生産できるような体制をつくらなければいけないと思います。

なぜ「ジェネリック医薬品」をすすめられるのか?

新行市佳アナウンサー、尾﨑治夫氏、飯田浩司アナウンサー

軽度の不調は自分で手当てするセルフメディケーションを

新行市佳アナウンサー)皆さんに向けてメッセージをお願いします。

尾﨑)日本は大変優れた皆保険制度をずっと進めてきたわけですが、少子高齢化社会のなかで財源を支える人が減り、新たな財源を考えなければならない段階にきています。我々医療者も医療DXを進め、カルテ情報を共有することが大事です。

飯田)医療DXを進める。

尾﨑)皆さんも皆保険制度を守るために、特に若い方には、言い方が難しいのですが、必要のない受診は控えて欲しいと思います。少し喉が痛い、少し咳が出る程度の風邪の場合、ご自分で薬を買うなりして様子を見ていただき、何日間かして「これは治らない」という段階で、初めて受診を考えていただく。ワンステップ置いていただくことで、医療負担あるいは医療費も変わってきます。

飯田)迷ったときには相談して、いきなり医療機関へ行かない。

尾﨑)軽度の不調であれば、なるべく(自分で一般医薬品を使って)セルフメディケーションを行う。「いま絶対に医療が必要だ」という人に対応できるような体制になるよう、我々も頑張りますので、一緒に努力しましょう。

番組情報

モーニングライフアップ 今日の早起きドクター

毎週月~金曜日 朝6:15~

番組HP

医師が週替わりで登場。
飯田浩司アナウンサーと新行市佳アナウンサーが、健康に関する疑問や予防法、症状、治療法などを聞きます

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