「90分で地球一周、日本からアメリカへは20分で行ってしまいます」 JAXA宇宙飛行士・金井宣茂

By -  公開:  更新:

黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「黒木瞳のあさナビ」(10月11日放送)にJAXA宇宙飛行士の金井宣茂が出演。宇宙飛行士の仕事について語った。

「90分で地球一周、日本からアメリカへは20分で行ってしまいます」 JAXA宇宙飛行士・金井宣茂

【金井宇宙飛行士が会見】記者会見に臨む宇宙飛行士の金井宣茂氏=2017年8月24日午後、東京都千代田区 写真提供:産経新聞社

黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「黒木瞳のあさナビ」。10月9日(月)~10月13日(金)のゲストはJAXA宇宙飛行士の金井宣茂。3日目は、宇宙ステーションで行う仕事について---

黒木)応募してから宇宙飛行士になるまで、9年間掛かったそうですね。

金井)飛行機の操縦訓練があるのですが、これには苦労しました。

黒木)飛行機の操縦もできなければいけないのですか?

金井)飛行機の操縦は宇宙船の操縦と似ているのです。私はもともと医者だったのですが、もとの職業に関係なく飛行機の訓練をします。

黒木)そうなのですね。

金井)私と一緒に選ばれた候補生の2人は、航空自衛隊のパイロットと民間航空機のパイロットでした。「あの2人は簡単に飛行機を飛ばせるのに、なぜ、お前はそんなに苦労しているのだ」と言われ、低い評価を受けました。向こうはプロの飛行機乗りなのに、なぜ自分だけこんなに評価が低いのだ、と苦労しました。

黒木)候補生になってからの訓練は、知識や情報も必要だと思いますが、その他にも大変なことが待ち受けているのですよね?

金井)「サバイバル訓練」と言って、宇宙船が不時着した場合を想定し、冬のロシアの寒いなか、2晩、3日間、「宇宙船に乗っている非常食と道具を使って林のなかで生き延びる」という訓練がありました。寒くて辛かったですね。

黒木)金井さんは宇宙に168日間行かれましたが、搭乗するときはどんな気持ちだったのですか?

金井)9年間、準備を続けて「ようやく宇宙飛行だ」という高揚感と、同じ訓練を毎日繰り返していたので、初めてではないような気もしました。

黒木)同じような体感の練習もするのですか?

金井)流石に加速度などは模擬できませんが、宇宙船と同じシミュレーターを使って操作する訓練を毎日繰り返します。

黒木)モチベーションは、「行きたい!」という気持ちですか?

金井)そうですね。あとは、先輩の宇宙飛行士が同じように訓練を重ねて宇宙飛行をして、大きな業績を上げて帰ってきているので、「先輩に負けないように」という気持ちで頑張ることができました。

「90分で地球一周、日本からアメリカへは20分で行ってしまいます」 JAXA宇宙飛行士・金井宣茂

金井宣茂

黒木)宇宙に住めるのですよね?

金井)行ってみると宇宙食も、コンビニで売っているレトルト食品と同じように美味しく食べることができ、洋服も普段と変わらないポロシャツとパンツで生活できます。むしろ地上よりも快適なのではないかな、というくらいの生活を送ってまいりました。

黒木)楽しそうにおっしゃっていますが、ご苦労もありましたよね?

金井)どうでしょうか。宇宙ステーションでの生活は、勤務時間も朝7時に始まり、夕方に終わるのですが、残業は一切ありません。

黒木)残業はない。

金井)宇宙飛行士が残業で疲弊しているときに緊急事態が起こると危険なので、残業はなく、夜はプライベートの時間も持たせてくれます。いまの地上勤務よりもホワイトな生活環境だったなと思います。

黒木)どんなことをするのですか?

金井)ありとあらゆるジャンルの宇宙実験を行っています。例えば、宇宙ステーションの外に望遠鏡のようなものを付けて天文学に関する観測をしたり、逆に地球側にカメラを向けて地球環境の測定もします。「宇宙農園」と言って、野菜を育てて宇宙飛行士がそれを食べるという実験もしました。

黒木)どれくらいの時間で地球を1周するのですか?

金井)90分です。45分で朝から昼になり、あっという間に太平洋を横断して、ものの20分くらいで日本からアメリカに行ってしまいます。

黒木)面白そうですね。

金井)面白いです。ぜひ、皆さんにも宇宙旅行をしていただきたいですね。

黒木)そのような時代が間もなく来るのですね。

「90分で地球一周、日本からアメリカへは20分で行ってしまいます」 JAXA宇宙飛行士・金井宣茂

金井宣茂

金井宣茂(かない・のりしげ)/ JAXA宇宙飛行士

■1976年、東京都生まれ。
■防衛医科大学校医学科を卒業し、海上自衛隊に入隊。
■防衛医科大学校病院や自衛隊大湊病院、自衛隊呉病院、海上自衛隊第1術科学校衛生課外科医師・潜水医官として勤務(※潜水医学は、長期閉鎖環境下での潜水艦乗組員の健康や精神状態についての研究などを行うもの)。
■2005年、アメリカ海軍の潜水医学研究施設に留学した際、潜水医学専門医が宇宙飛行士になったことに驚き、宇宙飛行士を志すようになった。
■2009年9月、JAXAから宇宙飛行士候補者として選抜される。
■2011年7月に宇宙飛行士に認定され国際宇宙ステーション(ISS)搭乗。
■2017年12月からISS第54次/55次長期滞在クルーとして宇宙に168日間滞在 。
■現在は、ストレスのなかでどうやって元気に過ごすかなど、閉鎖環境下における宇宙飛行士の精神心理サポートを中心に宇宙医学を研究する他、月面探査車(ローバー)の開発にも尽力されている。

番組情報

黒木瞳のあさナビ

毎週月曜〜金曜 6:41 - 6:47

番組HP

毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳

Page top