「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
青森県の特産の1つに十三湖の「しじみ」があります。湖に面していた市浦村は、平成の大合併で五所川原市となりました。この五所川原を通るのが、全国区の人気を誇るローカル線・五能線。沿線の深浦町は、青森のわかめの産地の1つ。この十三湖のしじみと深浦のわかめを使った新作駅弁が、五所川原に製造拠点を置く業者から登場しました。新青森駅はもちろん、東京駅の「駅弁屋祭 グランスタ東京」での取り扱いもあります。
全国のローカル線のなかでも、とくに人気の高い路線といえば、奥羽本線の東能代(秋田県)と川部(青森県)を結んでいる五能線です。とくに秋田・青森県境から深浦・鯵ヶ沢にかけての区間は、線路が日本海に面して走り、晴れた日は美しい海を、冬は荒々しい日本海を間近に眺めることができます。快速「リゾートしらかみ」で快適に過ごすもよし、希少な定期列車に乗車して、地元の方と乗り合わせながら旅をするのもいいものです。
そんな日本海とつながっている青森県の汽水湖といえば、五所川原市の「十三湖」です。この十三湖産のヤマトシジミと深浦産わかめを使った炊き込みご飯のお弁当が、五所川原市に拠点に新青森駅の駅弁を製造する「つがる惣菜」から登場しました。その名も、「SEA IS ME! しじみの出汁炊きご飯弁当」(1150円)といいます。11月30日まで開催されている「駅弁味の陣2023」にもエントリーされています。
【おしながき】
・しじみの出汁炊きご飯 ヤマトシジミ きんぴらごぼう
・イカメンチ天(紅しょうが入り)
・しじみ出汁の卵蒸しと長芋蒸しのガーリックポークそぼろあん
・煮物(こんにゃく、人参、がんもどき、高野豆腐)
・自家製きゅうりのからし漬け
しじみの駅弁といえば、山陰・松江の駅弁が親しまれていますが、東日本では珍しい存在。しかもふたを開けてビックリ、しじみの貝殻まで入っていて、見た目にも食欲をそそります。おかずも紅生姜入りの天ぷらに仕立てた郷土料理イカメンチは、酒のアテにピッタリ。また、長芋の奥入瀬ガーリックポークのそぼろあんかけや、しじみ出汁の蒸し卵も、体に優しく沁み入ってきて、しじみ出汁の効いたご飯と共に、ひと工夫されているのが嬉しいですね。
五所川原のしじみと深浦のわかめという五能線沿線の食材を使った新作駅弁「SEA IS ME! しじみの出汁炊きご飯弁当」。快速「リゾートしらかみ」をはじめとした五能線の列車でいただくもよし、五能線の旅の思い出を振り返りながら、帰りの新幹線でいただくのも、楽しいひと時になりそうです。11月30日からはアクティブシニア向けの乗り放題きっぷの期間。北東北・北海道方面へ足を伸ばす方は、新青森駅での駅弁チェックもお忘れなく。
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連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/