安倍派・二階派の事務所を家宅捜索 東京地検特捜部の「確証」

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日本経済新聞コメンテーターの秋田浩之が12月19日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。自民党の政治資金パーティーをめぐる問題について解説した。

家宅捜索のため自民党二階派(志帥会)の事務所に向かう東京地検特捜部の係官ら=2023年12月19日午前10時、東京都千代田区 写真提供:共同通信社

家宅捜索のため自民党二階派(志帥会)の事務所に向かう東京地検特捜部の係官ら=2023年12月19日午前10時、東京都千代田区 写真提供:共同通信社

安倍派・二階派の事務所を家宅捜索

自民党の政治資金パーティーをめぐる問題で東京地検特捜部は12月19日、安倍派と二階派の各事務所に家宅捜索に入った。これまで会計責任者らの任意聴取を続けてきたが、派閥事務所の強制捜査が必要と判断したとみられる。

特捜部に確証があるということ

飯田)1つの山を迎えるのでしょうか?

秋田)これだけの捜査を行うとなると、「何も出てきませんでした」ということにはならない確証があるのだと思います。ですから、大きな山場を迎えたと言えるのではないでしょうか。

飯田)特捜部は派閥側の立件を視野に調べており、今後は身柄の拘束なども出てくるのでしょう。

秋田)この問題の本質は、虚偽記載や不記載です。

飯田)政治資金収支報告書に記載しなかった。

秋田)一見すると「手続き的な問題」を問われていると思いがちですが、より深刻だと思います。

今回の問題が深刻である2つの理由 ~政党交付金があるにも関わらず億単位の収入を政治資金収支報告書に記載せず

秋田)理由は2つあります。1つは、我々の税金を使った大きな額が、政党交付金として各議員に支払われていることです。かつて派閥の集金が大きな問題になり、それを減らす代わりに、我々の税金を議員の活動費に充てるようになった。そういう経緯があるからこそ、政治家は有権者に対して集めた金の使い道を透明にし、届け出なければならない。そういう契約があるのに、それを踏みにじっています。しかも組織的に行われているのが第1点の問題です。

民主主義国家のルールとしての収入のガラス張りを踏みにじってしまった

飯田)90年代の政治改革のとき、企業からの献金などで政策が歪められているのではないかという反省から、このシステムができたのですよね。

秋田)私は1998年から政治の現場を取材していました。この議論は当時も行われており、いろいろな議論を経て、いまの仕組みが出来上がったのです。相変わらずなのだなと思ってしまいますね。

飯田)もともとは政治資金パーティーの話でしたが、例えばノルマを超えた分の資金を議員に還流させるまでは一応、合法とされています。ただ、それを収支報告書に載せないとなると、裏金化してしまうのでいけない。いろいろな仕組みをつくったり、組織ぐるみの部分があるのでしょうか?

秋田)アメリカでもこれから大統領選が本格化しますが、宗教団体などからの寄付もあり、大きなお金を集めるわけです。ドイツはメルケル前首相が党首であった「キリスト教民主同盟(CDU)」など、「キリスト教」と名前の付いた政党が出て、お金を集めることも行われています。

飯田)各国ともに。

秋田)各国ともにやっていて、それが必ずしも絶対悪ではありません。アメリカではホームページを見れば、「どこからどれだけお金が出たか」が細かく記載されているわけです。それでも違反が起きることはあるのでしょうが、「透明にやりましょう」ということが最低ラインとして守られている。それがいちばん大事なところだと思います。

飯田)ホームページに記載されている。

秋田)裏金になってしまうと、そこから汚職などのいろいろな問題が生じてしまうので、ガラス張りにするのが民主主義国家として最低限のルールだと思いますね。それを踏みにじってしまったところが問題です。

飯田)アメリカの場合は「誰からどれだけの献金を受けていて、だからこういう政策を主張する議員なのだ」ということがつまびらかになっているから、有権者もその上で誰を選ぶか決められる。

政治家が汚職すると国民がついてこなくなる

秋田)先日、ウクライナに行って取材したのですが、その1つが汚職対策についてです。汚職摘発運動のリーダーにも会いましたが、そういった団体も取り組んでいるし、ゼレンスキー大統領も最近、国防大臣を更迭しました。戦時中であるにも関わらず汚職対策をしている。なぜかと言うと、国民がついてこなくなってしまうからです。

飯田)汚職があると。

秋田)徴兵されて命を落とす人が大勢いるのです。私が取材した40人近くの人も、ほとんどが親族ないし友人が戦場で戦っている。命を落とした人も少なくないというなかで、汚職で美味しい思いをしている政治家や企業幹部などがいれば、「やっていられない」となってしまいます。国を引っ張っていく上で、汚職は非常にダメージが大きいのです。

飯田)そうですよね。

秋田)日本はいま、北朝鮮をはじめとしたさまざまな脅威に対応するため、防衛費を2倍にするわけです。そういった意味でも、汚職はウクライナと同じように国民がついてこなくなるのでマイナスです。2番目の問題としては、その部分が大きいと思います。実際、支持率は落ちています。

「支持政党なし」が49% ポピュリストが生まれやすい環境

飯田)支持率20%、調査によっては10%台にまで落ちています。

秋田)政権の支持率もそうですが、深刻だと思うのは、朝日新聞によると11月には27%だった自民党の政党支持率が、23%に落ちてしまった。

飯田)先日行われた調査ですね。

秋田)自民党は23%ですが、立憲民主党はもっと低い5%とされています。そうすると、我々は23%の自民党か5%の野党という選択肢しかなくなってしまう。有権者からすると「どれを選べばいいの?」という感じで、そういう状態は危険だと思います。それこそポピュリストのような人たちが出てきて、「ガッ」と1つの方向に国を持って行ってしまう可能性が出てくる。しっかりとした政党が支持を得ている状態がないと、そういう下地にもなりかねません。

飯田)極論の部分で、クリアカットに「これで全部解決するのだ!」と……。

秋田)そういうポピュリストが生まれやすいような環境を感じます。このままだと、どの政党も信用できなくなってしまう。

飯田)実際に「支持政党なし」が5割近くに達していて、朝日新聞の調査によると49%ということです。

秋田)既存の政党に対し、マッチを擦ったらボッと火がつくような不満が溜まっているわけですよね。やはり危ないと思います。

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