『PERFECT DAYS』ヴィム・ヴェンダース×役所広司、人生の意味を問いかける感動作

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【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第1151回】

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。

今回は、現在公開中の『PERFECT DAYS』と『きっと、それは愛じゃない』をご紹介します。

映画館で観たい!『PERFECT DAYS』 ~ヴィム・ヴェンダース監督が映し出す東京、人生、幸福

『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』など数々の名作映画を手がけてきた、ドイツの名匠ヴィム・ヴェンダース監督。

彼の最新作となる『PERFECT DAYS』は、2023年5月に開催された「第76回カンヌ国際映画祭」で、主演の役所広司に最優秀男優賞をもたらしたことでも大きな話題となりました。

「ヴェンダースの最高傑作」との呼び声が高く、2024年3月に開催される「第96回⽶国アカデミー賞」では国際⻑編映画賞の⽇本代表にも選出されている本作。ストーリーの舞台となった日本で、ついにお目見えとなりました。

『PERFECT DAYS』

『PERFECT DAYS』

『PERFECT DAYS』のあらすじ

東京・渋谷でトイレ清掃員として働く平山。押上の古いアパートで一人暮らしをする彼は、毎日、同じ時間に目が覚める。

おもむろに起き上がると布団を畳み、身支度をして、少し風変わりな公衆トイレを掃除して回る。彼の日常は、同じことを繰り返しているだけのように見えるかも知れないが、まったく同じ日は1日としてない。

そんなある日、思いがけない出来事をきっかけに、彼の過去が小さく揺らぎ始める……。

『PERFECT DAYS』

『PERFECT DAYS』

『PERFECT DAYS』のみどころ

主人公・平山を演じたのは、ヴィム・ヴェンダース監督が長年リスペクトしてやまない日本の名優・役所広司。

“演じる”というよりも、“平山そのものになった”といった方が、表現としては適切かも知れません。素朴ながらも、魅惑的。観る人の心を捉えて離さない存在感を放っています。

共演には柄本時生、中野有紗、アオイヤマダ、麻生祐未、石川さゆり、田中泯、三浦友和といった個性的な顔ぶれが集結。平山の日常に関わる人々を情感たっぷりに演じています。

また、意外な人物が思わぬキャラクターで登場するのも、本作のちょっとした見どころ。しっかりと目を凝らして、スクリーンの隅々までチェックして欲しい。

『PERFECT DAYS』

『PERFECT DAYS』

映画『PERFECT DAYS』の“創作の源泉”となったのは、渋谷区に実在する公共トイレ。

「THE TOKYO TOILET」というプロジェクトに賛同した世界的な建築家やクリエイターが、17ヵ所の公共トイレをイマジネーション豊かに改修。誰もが快適に使用できる場を目指して、きょうも専属の清掃スタッフがメンテナンスに従事しています。

その様子に感銘を受けたヴィム・ヴェンダース監督は、トイレ清掃員を主人公にした長編映画をつくることを決意。ささやかながらも豊かな人生を送る男の物語を完成させました。

映画のタイトルにもなっている“完璧な日々”とは、いったいどのような暮らしなのだろう。そんなことを頭の片隅に置きながら本作に触れると、一見なんの変哲もない主人公の人生が、まるで木漏れ日のようにキラキラと輝き始める瞬間に出会えるはず。

平山さんに会いに行こう! いますぐ、映画館へ。

『きっと、それは愛じゃない』

『きっと、それは愛じゃない』

コチラも映画館で観たい!『きっと、それは愛じゃない』 ~“幸せへの道”も千差万別!?

いつか運命の男性と出会えると信じてきた、ドキュメンタリー監督のゾーイ。しかし、好きになるのはダメ男ばかり。恋愛は目下連敗中。

そんな彼女は、ある日、幼馴染のカズが見合い結婚することを知る。そこで新作ドキュメンタリーのテーマを「いまどき見合い結婚?」に決めたゾーイは、カズに密着取材することになったが……。

『エリザベス』のシェカール・カプール監督が、多文化が共存するイギリス・ロンドンを舞台に描いたラブストーリー。恋愛、そして人生に悩む主人公に扮したリリー・ジェームズが、とってもキュート。異国情緒あふれる華やかなウェディングシーンも必見です。

ホントの幸せって何? そんな悩みを持つ、すべての人に贈る一作です。

『PERFECT DAYS』

『PERFECT DAYS』

『PERFECT DAYS』

2023年12月22日(金)からTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

出演:役所広司、柄本時生、中野有紗、アオイヤマダ、麻生祐未、石川さゆり、田中泯、三浦友和
監督:ヴィム・ヴェンダース
脚本:ヴィム・ヴェンダース、高崎卓馬
製作:柳井康治
エグゼクティブ・プロデューサー:役所広司
プロデュース:ヴィム・ヴェンダース、高崎卓馬、國枝礼子、矢花宏太、ケイコ・オリビア・トミナガ、大桑仁、小林祐介
撮影:フランツ・ラスティグ
インスタレーション:ドナータ・ヴェンダース
編集:トニ・フロシュハマー
美術:桑島十和子
キャスティング・ディレクター:元川益暢
ロケーション:高橋亨
スタイリング:伊賀大介
ヘアメイク:勇見勝彦
制作プロダクション:Wenders Images Wenders Foundation Spoon
配給: ビターズ・エンド
(C)2023 MASTER MIND Ltd.
第76回カンヌ国際映画祭 最優秀男優賞受賞 役所広司
第36回東京国際映画祭オープニング作品

公式サイト https://www.perfectdays-movie.jp/

『きっと、それは愛じゃない』

『きっと、それは愛じゃない』

『きっと、それは愛じゃない』

ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほかにて全国公開中
出演:リリー・ジェームズ、シャザド・ラティフ、エマ・トンプソン、シャバナ・アズミ、サジャル・アリー
監督:シェカール・カプール
脚本:ジェミマ・カーン
原題:WHAT’S LOVE GOT TO DO WITH IT?
(C)2022 STUDIOCANAL SAS. ALL RIGHTS RESERVED.
提供:木下グループ
配給:キノフィルムズ
公式サイト https://wl-movie.jp/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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