米バイデン大統領「一般教書演説」で注目される「3つのテーマ」
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経済アナリストのジョセフ・クラフトが3月8日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。米バイデン大統領の一般教書演説について解説した。
アメリカのバイデン大統領が一般教書演説へ
アメリカのバイデン大統領は3月7日夜(日本時間8日午前)、連邦議会の上下両院合同会議で一般教書演説を行った。11月の大統領選挙でトランプ前大統領と再び対決する構図が固まるなか、反トランプの姿勢を強調した。
重要な3つのテーマ
クラフト)バイデン大統領としては、いろいろなテーマを取り上げるなかで、3つの重要なテーマがあると思います。1つは年齢です。元気なところを見せ、失言などもなく「大丈夫だ」と見せつけられるかどうか。また、2つ目は移民問題です。いまアメリカでは、景気以上に移民問題への懸念が広がっており、対策が注目されています。そして3つ目は中東、イスラエルの問題です。若者を中心に、いまイスラエル紛争が注目されています。特に、ミシガン州の予備選でも問題になったのは、バイデン大統領に対する反対票です。イスラエルによる攻撃で多くのパレスチナ人が犠牲になっているのに、「何もやっていない」という批判が集まっています。報道によると、アメリカ海軍はガザ沖の海沿いに支援施設を設置し、人道支援に乗り出すようです。
飯田)アメリカが直接。
クラフト)バイデン大統領の言うことを聞かないネタニヤフ首相に業を煮やして、単独で動く。そうでないと大統領選が持たないところまで追い込まれたのでしょう。
イスラエルによるガザ侵攻が大統領選にも影響してきたバイデン大統領
飯田)イスラエルの前国防大臣で、ネタニヤフ氏と首相争いをしたベニー・ガンツ氏が、ネタニヤフ首相の許可を取らずにアメリカへ行きました。この出来事もリンクしますか?
クラフト)もちろんリンクします。本来であれば、アメリカ政権は彼に会わないでしょう。
飯田)オフィシャルで来ているわけでもないし。
クラフト)今回は閣僚・高官が会いました。「お前がその気なら、こちらはこちらで勝手にやるぞ」というネタニヤフ氏への強いメッセージだと思います。そもそもバイデン政権とネタニヤフ政権は左派と極右派で、合わないことはわかっていたわけですが、まったくコミュニケーションが取れない。悲惨なのは、バイデン政権がイスラエルをコントロールできないために、いまだに攻撃が続けられ、パレスチナ人が犠牲になっていることです。批判が国内で勃発し、大統領選にも影響してきた。バイデン大統領としては、何もしないわけにはいかないところまで追い詰められているのです。
飯田)ミシガン州の予備選で「支持者なし」と書いた人は10万人以上いると言われています。まさにパレスチナ情勢に関するバイデン批判票なのですね。
クラフト)そうです。2020年の大統領選でバイデン大統領は、ミシガン州で約15万票の差をつけて勝っています。今回、支持者なしと書いた人々がバイデン大統領に投票しなかったら、ミシガンが落ちるリスクもあります。そういう意味では、少し遅いのですが、バイデン政権がやっと危機感を持ち始めたということです。
トランプ政権の方が中東情勢にはプラスになる
飯田)一方で共和党は、このままだとトランプ前大統領が間違いなく指名を取ると言われています。トランプ氏の中東に対するアプローチはどうなのですか?
クラフト)正直に言うと、中東情勢にとってプラスなのはトランプ政権の方だと思います。トランプ氏は何をやるかわからないところがありますが、中東情勢においてはネタニヤフ政権と近しいです。義理の息子のクシュナー氏は子どものころからネタニヤフ家と近しく付き合っている。それから、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)などのアラブ諸国からも支持されています。「トランプ政権になれば中東和平になる」とは思いませんが、少なくともある程度、当事者がトランプ氏の言うことに耳を傾けるという意味では、プラスではないかと思います。
飯田)確かに、イスラエルとUAEの接近やアブラハム合意などは、トランプ政権の時代に動き出しています。
クラフト)とにかくネタニヤフ政権はやりすぎなので、いままで止められなかったところは批判に値します。そこは「許さん」と断固たる措置を取り、どこまで国民を説得できるかが大きな注目ポイントです。
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