日本経済新聞コメンテーターの秋田浩之が3月12日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。日本における災害へのリスクについて解説した。
岸田総理、東日本大震災から13年の追悼の辞で「風化させず災害に強い国づくりを進める」と述べる
岸田総理大臣は3月11日、福島県で行われた東日本大震災から13年を迎えての追悼復興祈念式に出席した。追悼の言葉を述べ、東北の復興に全力を尽くすとともに、震災の教訓を風化させず災害に強い国づくりを進めていく方針を強調した。
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首都直下地震と南海トラフ地震が30年以内に起きる確率は7~8割
飯田)関連死を含む死者・行方不明者は2万2222人とされています。13年が経ちますね。
秋田)日本のいちばんの脅威は自然災害だと思います。首都直下地震と南海トラフ地震が30年以内に起きる確率は7~8割だと、政府は公式に発表しています。30年以内ということは、きょうかも知れないし、29年後かも知れないわけですが、7~8割はすごい確率ですよね。政府によると、首都直下地震では最大で2万人以上が亡くなる危険があるとも発表されていますし、南海トラフ地震では最悪の場合、数字が1桁違うような人数が亡くなるかも知れないと言われています。そういう意味では風化させないどころか、政府も各家庭も、すぐに準備すべきだと思います。
改めて地震が起きる可能性があると考えることが大事
秋田)しかし、毎日そんなことを考えているかと言うと、人間は「最悪のことは起きない」と思いたいから、考えていないわけです。私はこのあと、現在いる有楽町のスタジオから大手町の(日本経済新聞社の)本社に行くわけですが、その間に「首都直下地震が起きるかも知れない」と思いながら地下鉄に乗るわけではありません。でも、7~8割というのは、かなり重い確率だと思います。
飯田)災害のニュースなどを観る、聴く機会が多いなかで、「何かあったらどこに集合する」などの約束を決めておくだけでも違うと言われますよね。
秋田)そういう意味では毎年、大震災などの日付で「あれから何年」と刻まれていきますから、そのときに改めて考えることが大事です。
福島第一原発「処理水問題」で孤立する中国 「振り上げた拳」の着地点を探る
飯田)他方、福島第一原発では処理水の海洋放出も行われましたが、発災直後はかなりの国で食品の輸入規制などがありました。大分理解されるようになってきましたが、中国などはまだ(輸入を)止めている現状もあります。
秋田)中国は、福島第一原発が出している処理水を「核汚染水」と表現し、日本に対して魚介類の輸入禁止などの制裁を行っています。ところが最近取材していると、どうも空気が変わってきたように感じます。中国は孤立しているではないですか。福島の処理水が危険ではないと、EUやアメリカ、G7の国はすべて認めている。韓国も懸念はしていましたが、汚染水などという言い方はしていません。そういう意味では中国も、振り上げた拳を下ろしたいのでしょう。だから専門家協議に応じて、何とか着地点を探ろうとしているのだと思います。
飯田)その意味では情報戦について、日本政府はある程度、上手く対応した部分がありますか?
秋田)情報戦で上手く対応したと言うと、本当に危ないものをうまく説得できたような印象を受けますが、もともとデータを見れば明らかなものを「そうではない」と言われてきたわけです。それがようやく真っ当に理解されるようになった。そんな状況が生まれたと考えてもいいと思います。
飯田)日本もIAEAの研究者たちを呼んで調査してもらったり、手を尽くしましたものね。
秋田)数値や科学であって政治ではないので、この問題については中国の対応も徐々に収束していくと思います。
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