あけの語りびと

本家・ももいろクローバーZとの共演叶った、平均年齢63歳のアイドルグループ「ももいろクロおばあZ」!

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ニッポン放送の番組でもおなじみの「ももいろクローバーZ」の皆さん。前身のももいろクローバーの結成から、今年5月17日で17年になるそうです。この間、メンバーの皆さんは世代を超えて多くの人たちに夢や希望を与えてきました。

今回は、このももクロの皆さんに憧れてアイドル活動を始めた女性の皆さんのお話です。

ももいろクロおばあZの皆さん(画像提供:ももいろクロおばあZ)

ももいろクロおばあZの皆さん(画像提供:ももいろクロおばあZ)

それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。

兵庫県の日本海側にある、新温泉町。大阪から、3両編成のJRの特急「はまかぜ」号で、3時間45分あまりをかけて、まちの玄関・浜坂駅にたどり着くと、その名の通り、白い湯気をあげて湧き出す、温泉のモニュメントが出迎えてくれます。

JR浜坂駅前の温泉塔

JR浜坂駅前の温泉塔

この浜坂から少し西へ向かった鳥取との県境にある「居組」という地区を拠点に活動しているアイドルグループがいます。その名も、「ももいろクロおばあZ」。2022年11月結成、平均年齢63歳、5人の女性グループです。

メンバーは、赤色の「れいちゃん」70歳を筆頭に、黄色の「ひでこちゃん」63歳、緑色の「えりこちゃん」63歳、紫色の「さとみちゃん」65歳、そして、桃色でリーダーを務める「ゆきちゃん」54歳。多くが新温泉町出身で、それぞれのご家庭もあります。

ゆきちゃんこと西垣幸子さんは、2020年のコロナ禍の最中、愛犬のヨークシャーテリア・サスケくんを亡くして心にぽっかり穴が開いてしまいました。一時はふさぎ込んで、家から出られないほど、気持ちが落ち込んでしまいます。そんな折、ご主人が観ていた音楽ライブの映像が目に留まりました。

『私もこんなふうに踊ってみたい!』

そう思った西垣さんは、TVの前で、映像のマネをして思いきり体を動かしてみます。だんだんと心が軽くなって、元気が湧いてくるのを感じました。この映像こそ、あの「ももいろクローバーZ」の皆さんのライブ映像でした。

JR浜坂駅前

JR浜坂駅前

すると、お隣・香美町でももクロのライブが行われると知り、幸運にもチケットに当選。間近でメンバーの姿を観ることが叶います。手が届きそうな所で繰り広げられる、情熱的でありながらコミカルであり、アクロバティックなダンスに、大きく心を揺さぶられました。

その興奮冷めやらぬなか、西垣さんに、ご近所の「れいちゃん」から頼みごとが入ります。地域の催しでやる「出し物」を考えてくれませんかというものでした。西垣さんは、迷わずこう即答しました。

「私、ももクロちゃんをやりたいです!」

最初は「えーっ! そんなの、できるだかー?」と驚いていた地元の皆さんも、西垣さんの熱い思いの前に、次第にやってみようという気持ちになっていきます。何とかメンバーが集まり、振り付けは、西垣さん改め「ゆきちゃん」が伝授。衣装は、服飾の仕事の経験があった「れいちゃん」が引き受けてくれることになりました。

ももいろクロおばあZの皆さん(画像提供:ももいろクロおばあZ)

ももいろクロおばあZの皆さん(画像提供:ももいろクロおばあZ)

そして2022年11月、「ももいろクロおばあZ」は、「Chai Maxx」ただ一曲を引っ提げ、新温泉町の文化祭で静かなデビューを飾りました。

風向きが変わったのは、明くる2023年の9月のこと。地元で行われた「但馬牛まつり」への出演でした。この時のパフォーマンスがSNSで発信され、全国のモノノフの皆さんの注目を浴びます。

『何だかダンスはすごく不揃いなんだけど、みんな全力で頑張ってる!』

そう評判になった動画が話題を呼ぶと、公共放送の方も来て、全国へ発信されます。2023年の年末には、「ゆきちゃん」の携帯電話が鳴りました。まさかの新温泉町役場からの電話でした。

「おばあZの皆さん、12月31日は空いていますか?」

ももいろクロおばあZの皆さん(画像提供:ももいろクロおばあZ)

ももいろクロおばあZの皆さん(画像提供:ももいろクロおばあZ)

なんと、本家・ももいろクローバーZの皆さんが、毎年大晦日にやっている「ももいろ歌合戦」への出演オファーだったんです。訊けば、「おばあZ」のニュースがももクロの皆さんにも届いたといいます。まるでお人形さんのように可愛らしいご本人たちと一緒に、もう夢のような気分で、おばあZの皆さんは横浜アリーナのステージに上がりました。

今はレパートリーも3曲に増え、地元の警察の「安全安心アンバサダー」を務めながら、地域のイベントなどで活躍する「ももいろクロおばあZ」。

「ダンスにキレは無いけど、息切れはいっぱいあるし、新しい曲の振りを覚えると、前の曲の振りはもう忘れちゃうんです」

そう話す「ゆきちゃん」をはじめとしたメンバーの皆さん。それぞれが今、できる限りの全力で唄って踊ることで、周りのみんなが元気になって、自分たちも元気になれる、「元気の無限ループ」が続いていると、笑顔がいっぱいです。

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