北海道新幹線「4時間2分」初体験!新函館北斗で絶品の「うに駅弁」に出逢う!! ~新函館北斗駅「鮑雲丹めし」(2,000円) 「函館みかど」 【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!「ライター望月の駅弁膝栗毛」

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2016年3月27日(日)、朝8時過ぎの東京駅21番線。
東北新幹線でおなじみ、長い鼻のE5系新幹線ですが、いつもより記念撮影の人だかりが多いのは・・・?

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この列車、前日に開業したばかりの北海道新幹線に直通する東京駅8:20発の「はやぶさ5号」新函館北斗行なのです。
ついに東京駅の新幹線ホームに「北海道の地名」が表示される時代になりました!

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「はやぶさ5号」は、東京駅を定刻通り静かに発車。
山手線の電車とすれ違いながら、ゆっくりと上野の地下駅へと向かいます。
元・フジテレビの堺正幸さんの声で「本日も東北新幹線をご利用くださいまして・・・」と自動放送が流れたことで、北海道へ直通するようになったことを実感しました。
ココ、従来は「JR東日本をご利用くださいまして・・・」だったんですが、JR北海道に直通することになったことで、路線名に改められたようです。
ちなみに、去年の北陸新幹線開業でも、同様の措置が取られています。

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東京~新函館北斗の間は、最も速い列車で「4時間2分」。
このタイムで走る列車は、下りは東京8:20発と9:36発の2本のみ。
上りは新函館北斗17:21発の1本しかありません。
今回は、下り最速の1本、東京8:20発の「はやぶさ5号」に乗車して「4時間2分」という時間はどうなのか、実際に体感してみることにします。
ちなみに、北海道新幹線に乗る際、最も安い乗車券は、「モバイルSuica」のスーパーモバトクでおよそ35%引き。
1万5000円台なので、新青森までのモバイル料金とあまり変わりません。

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【東京から1時間:郡山~福島】
9:20過ぎ、「はやぶさ5号」は福島県内を時速320キロで北上中。
進行左手の車窓には、吾妻連峰が見えてきます。
例年4~5月ごろ、「吾妻小富士(あづまこふじ)」の残雪が「うさぎ」の形に見えるのは有名な話で、地元では「種まきうさぎ」と呼ばれているそう。
天気が良ければ、とりあえずデジカメのシャッターを切ってみると「ウォーリーを探せ」のように「うさぎ探し」ゲームが楽しめるかも!?

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大宮を出て初めてスピードを落とせば、既に仙台の手前。
広瀬川を渡り、奥の八木山の電波塔を眺めれば仙台駅のホームに滑り込みます。
仙台では、半分程度のお客さんが入れ替わり。いつもは半分下りて、その半分くらいのお客さんしか乗ってこないのですが、さすがに開業2日目、北海道直通の物珍しさかあらかたの席が埋まった様子。
今まで東北新幹線は、東京から先へ行くほどお客さんが少なくなっていたのですが、東北(仙台)~北海道(札幌)間の移動をつかめれば変わってきますよね。
だからこそ「サンドウイッチマン」のお二人がCMに起用されているわけです。

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【東京から2時間:新花巻~盛岡】
10:20分過ぎ、宮沢賢治の故郷・花巻付近を通過。
程なく進行左前方に、標高2038mの岩手山が見えてきました。
この日は、岩手山から秋田駒ケ岳に連なる山並みもくっきり!
「はやぶさ5号」は、秋田新幹線「こまち」の併結が無い列車なので、盛岡は切り離し作業が無く、1分停車でスグに発車となります。

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【東京から3時間:新青森駅】
最速の「はやぶさ5号」は、東京~新青森間を2時間59分で走破。
新青森には定刻通り11:19に到着、2分停車します。
この間に、JR東日本からJR北海道の乗務員の方に交代。
敬礼などと共に、引継ぎが行われる様子は見ているほうもキリッとしますよね。
今までは新青森で、特急「スーパー白鳥」函館行に乗り換えていたのですが、ココへ来て、乗り換えの煩わしさが無くなったことの快適さを実感します。

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「はやぶさ5号」は新青森を出ると、終点の新函館北斗までノンストップ。
この最速達列車の場合、青森からおよそ10分で大きく減速して、レールが3本ある「貨物列車」との共用区間へと入ります。
青函トンネルには11時39分ごろに入り、最高時速140キロで、およそ25分かけて、全長53キロのトンネルを走り抜けます。
車内放送や電光掲示などで、トンネルの薀蓄を紹介してくれますが、正直に言って、やっぱりこの区間は「退屈」と言わざるをえません。
E5系新幹線の場合、窓側には電源用コンセントが付いているので、スマートホンの充電やPCなどには使えるものの、トンネル内はほとんど携帯電話の電波が飛んでいません。
以前から、青函トンネルを通過する際は、退屈さを紛らすために、短めのDVDを持っていったりしていましたが、この「25分間」をどう乗り切るかが、北海道新幹線の楽しみ方のカギかもしれません。

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正午を回って12:04、東京駅から3時間44分でついに北海道上陸!
国道228号(松前国道)の橋には、歓迎の横断幕がかかっています。
この橋の脇が、青函トンネルの出口が見られる展望台になっており、多くのカメラを構えた皆さんが待ち構えていました。
ちなみに、青函トンネルの北海道口に当たる知内町(しりうちちょう)の湯の里地区は、地名の通り、北海道最古の温泉が湧くエリアにあります。
この素晴らしい温泉の話も、追ってご紹介したいと思います。

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【東京から4時間:木古内~新函館北斗】
東京から4時間、新函館北斗到着の案内放送と共に、進行右手に函館山が見えてきました。
函館山の山頂は削られて平らになったと、以前TV(ブラタモリ)でやっていましたが、このくらい遠くから見ると、確かにその歴史が実感できるような気がします。
でも、この函館山がどんどん遠ざかっていって・・・!?

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定刻通り12:22、「はやぶさ5号」は終点・新函館北斗駅に到着!
新函館北斗は、函館市ではなくお隣の北斗市にある駅で、3月25日までは、函館本線の渡島大野という小さな駅でした。
北海道新幹線は、新青森~札幌間を結ぶ路線として造られているため、札幌へ延ばす際、函館の中心部に大きく迂回しにくかったと伝えられています。

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「はやぶさ5号」から降りたお客さんはもちろん、新幹線を一目見ようという地元の皆さんで、大混雑の「新函館北斗駅」。

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下りたお客さんへ記念品や観光案内が配られたり、横断幕による歓迎も・・・。
去年開業した、北陸新幹線のエリアでもそうでしたが、やはり「新幹線が来る」ってことは、大きなことなんでしょうね。
私自身は、東海道新幹線に近いエリアで育ったので、物心ついたころから、新幹線があることが当たり前だったのですが、実際に現地を訪れることで、改めて地元の皆さんの「新幹線が通ったことへの思い」のようなものを感じました。

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そんな新函館北斗駅(函館駅)で、北海道新幹線開業に合わせて3月26日登場したばかりの駅弁が「鮑雲丹めし」(2000円)函館みかど(北海道キヨスク)が手がける駅弁で、普通のあわび+うに丼のように見えますが、コレがただものじゃないんです!

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【お品書き】
北海道産蝦夷鮑の酒蒸し 生海苔あん磯風味添え
礼文島産むらさき雲丹の炊き込みごはん
礼文島産蝦夷ばふん雲丹
北海道産いくら醤油漬
花ちらしれんこん
きぬさや

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新函館北斗にとんでもない駅弁が出来ちゃいました。
たぶん、駅弁史上トップクラスの濃厚な「うに」です!
ビジュアルこそ、コリコリがたまらない鮑がドーン!ですが、味覚は、雲丹がむらさき雲丹の炊き込みごはんとエゾバフンウニの「Wうに」でドドーン!と口の中に押し寄せてきます。

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うに駅弁は全国各地にありますが、実はバフンウニを使った駅弁は、コストの面もあって、そんなに多くありません。
その中にあってエゾバフンウニ、しかも礼文島産を使ったのは快挙!
礼文島産のエゾバフンウニは、あの利尻昆布を食べて育つんです。
美味くないはずがない!
口に頬張った瞬間から、快感が広がる濃厚な雲丹の味。
しかも、マイルドなむらさき雲丹のご飯とよく合います。
待ってました、こんなうに駅弁!!
2000円なら朝市で・・・という人も少なくないと思いますが、「新函館北斗」は何といっても「乗り継ぐ駅」であるということ。
朝市に行く時間は無いけど「プチ北海道気分」を味わいたい。
あるいは、朝市の感動を帰りの新幹線でもう一度・・・という方にはピッタリの駅弁ではないでしょうか。

「北海道新幹線開業記念 鮑雲丹めし」(2000円)
販売駅:函館駅、新函館北斗駅(新幹線ホームでは朝6:15~、個数限定販売、予約可)
調製元:「函館みかど(北海道キヨスク)
電話:0138-83-7288(9:00~17:00)

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北海道新幹線開業に合わせて、地産の食材を豊富に使うなど、かなり「攻め」の駅弁を投入している、函館駅弁の「函館みかど」。
実はこれには、もう一つの大きな理由があったのです。
この続きは、また次回。
(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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