寝台特急「サンライズ瀬戸」で朝日を浴びていただく駅弁!~岡山駅「桃太郎の祭ずし」(1,000円) 【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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首都圏から四国方面へ行く時・・・私はもちろん「鉄道」で行きます。
東京駅・9番線、午後10時前、発車を待つクリームとワインレッドの車両は寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」号。
「青い客車」が持つ夜のイメージを一新、朝をイメージした「赤い電車」になって早18年。
今や、日本唯一の「定期夜行列車」となりました。
「最終の飛行機より遅く出て、始発の飛行機より早く着く」を基本に、東京と四国・山陰を結びます。

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「サンライズ」の下り列車は、東京駅を出る段階では14両編成。
前7両が四国へ向かう「サンライズ瀬戸」、後7両が山陰へ向かう「サンライズ出雲」です。
岡山まで併結して走った後、切り離されて、それぞれ終点の高松、出雲市を目指します。
なお、最近の「サンライズ瀬戸」は、週末を中心に「こんぴらさん」の玄関口、琴平まで延長運転中。
前7両は「こんぴら、うどん、海」、後7両は「出雲大社、そば、山」という対照的な目的地なのです。

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285系「サンライズエクスプレス」は「電車」で、車内は2階建て構造、個室が基本です。
1人用はA寝台「シングルデラックス」を筆頭に、標準的なB寝台「シングル」、少しお得なB寝台「ソロ」とバリエーションがあります。
2人用はB寝台「サンライズツイン」と、2段ベッドで1人利用も可能なB寝台「シングルツイン」の2種類。
このほか、指定席特急券で乗車可能な「ノビノビ座席」は、リーズナブルな移動におススメです。
私はそれほどたくさん乗っているわけではありませんが、年2~3回「シングル」での移動が多いです。

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今回は「サンライズ瀬戸」号に乗車、最も標準的な「シングル」で一晩を過ごします。
内装は大手住宅メーカーが手がけたこともあり、木目を基調とした落ち着いた車内。
「シングル」のベッドは窓と平行に設置されていて、個室内では立つことも可能です。
ただ、荷物置き場はベッド脇に細いものがあるくらいなので、大きいキャリーバッグで移動する人は注意が必要。
このほか、照明スイッチやアラーム付きの時計、BGMサービスなどのパネルが壁に設置されています。

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テーブルは小さめのものが据えつけられており、歯磨き用とみられる使い捨てのコップが1つ用意。
電源コンセントもあるのでノートPC作業も可能、深夜帯はスマホの充電にも使えそうです。
寝具はフリーサイズのガウン(浴衣)と布団が用意されており、シーツは予め敷かれています。
ハンガーは1つありますので、上着などをかけておくくらいは出来ます。
また、部屋の中で使えるスリッパの用意もあります。

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壁に寄りかかってベッドに足を伸ばしながら、有楽町・銀座の夜景を眺めて「サンライズ」の旅の始まり。
同じ22:00に発車した名古屋行の最終新幹線「ひかり539号」があっという間に追い抜いていきます。
「サンライズ」の下り列車は、東京を出ると横浜、熱海、沼津、富士、静岡、浜松の順に停車、翌朝は姫路から停まります。
もしも、東京でギリギリ乗り遅れた場合は、22:10発の「こだま705号」静岡行に乗れば、熱海へ先回りすることが出来ます。
実はコレ、1度やったことがあるんですよね!

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3号車、10号車のミニラウンジ脇には、B寝台利用者向けの「シャワールーム」があります。
その前の「シャワーカード販売機」で320円(現金のみ)でカードを購入、空いていればいつでも使えます。
ドライヤー、リンスインシャンプー、ボディーソープの備え付けはありますが、タオルの販売は無いので事前の準備が必要です。
「6分間」お湯を出すことは可能ですが、途中で止められるので、私は多めに使ってもだいたい1分は余ります。
使用後は数分、温風乾燥されるので清潔感が保たれているのも有難いものです。

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朝6時過ぎの「おはよう放送」で、定刻通り走っていることが告げられるとひと安心。
岡山には6:27に到着し「サンライズ瀬戸」と「サンライズ出雲」の切り離し作業が行われます。
実はこの時間が、大事な大事な「駅弁アタックチャンス」!
「サンライズ瀬戸」は6:31までの「4分間」、「サンライズ出雲」は6:34までの「7分間」。
なお、売店は「サンライズ瀬戸」の5号車付近にあります。(Suica、ICOKAなど対応)
私はかつて欲張って、岡山駅2階の売店まで行って別の小物を買おうとしたため「瀬戸」に乗り遅れてしまいました。
ホームの売店で欲しいものがなかったら「ゼッタイに」素直に諦めて下さい。

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この日は無事「サンライズ瀬戸」に戻って、空いていた3号車のミニラウンジへ。
窓に向かって、両サイドに8席ずつの椅子が設けられています。
下り「サンライズ瀬戸」の場合は、進行左手の方が海が見やすいかと思われます。

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6:53発の児島でJR西日本からJR四国の乗務員さんに交代すると、程なく「瀬戸大橋」へ!
今回渡った4月10日は、瀬戸大橋線が開業してから、ちょうど28年というメモリアルな日。
春霞みの中ではありますが、瀬戸内海に昇ってきた朝日を眺めることが出来ました。
「サンライズ瀬戸」からの”サンライズ”・・・コレがあるから「サンライズ」はたまらない!!
また乗りたくなっちゃうんですよね。

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朝日にきらめく瀬戸内海を眺めながらいただくのは、岡山駅・三好野本店の看板駅弁「桃太郎の祭ずし」(1,000円)。
包装を開けると、桃型のプラスチック容器に入った、華やかなバラ寿司が現れます。
特に「ままかり」の酢漬けは、岡山らしくて、望月も好きな具材です。
瀬戸大橋を渡りながら輝く朝日、きらめく瀬戸内の海を眺めて、彩り豊かな寿司をいただけば、朝から早くも「お祭り気分」!
「四国の旅」は、最高のスタートが切れるといってもいいでしょう。

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三好野本店の「祭ずし」が発売されたのは、1963(昭和38)年のこと。
元々、瀬戸内の郷土料理「バラ寿司」の駅弁化を目指していたといいます。
しかし駅弁に求められる「保存性」の観点から、酢飯の中に具を混ぜることが不可能と判明。
結果、「バラ寿司」とは違うものの、祭りなどの「ハレの日」の食事ということで、当時のご主人が「祭ずし」と命名したといいます。
この駅弁であれば、早朝の岡山駅でも在庫は多いと思われるので、きっと入手はしやすいハズ。

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瀬戸大橋を渡り切って、香川・坂出の街が見えてくれば、いよいよ四国!
松山、高知方面へは、坂出で特急が接続、高松には7:27に到着します。
早朝から営業する「うどん屋」さん巡りにもいい時間。
また、坂出などで特急を乗り継ぐと乗り継いだ先の特急料金が半額になる「乗継割引」も・・・。
「サンライズ瀬戸」で行く四国・・・きっと満足度の高い旅になる筈です。

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
「ライター望月の駅弁膝栗毛」
(取材・文:望月崇史)

【ごあいさつ】
はじめまして、放送作家の望月崇史(もちづき・たかふみ)と申します。
ニッポン放送には、昔の有楽町の社屋の頃から、かれこれ20年お世話になっています。
最近では、月~木・深夜24時からの「ミュ~コミ+プラス」で放送された、
ルートハンター」のコーナーに、5年ほど出演させていただきました。

そんな私がライフワークとしているのが「駅弁」の食べ歩き。
1年間に食べる「駅弁」の数は多い年でのべ500個。
通算でも4500個を超えているものと思います。
きっかけとなったのも、実はニッポン放送の番組。
2002年~05年に放送された「井筒和幸の土曜ニュースアドベンチャー」の
番組ウェブサイトで「ライター望月の駅弁膝栗毛」を連載することになり、
本格的に「全国の駅弁をひたすら食べまくる生活」に入りました。
以来、私自身のサイトや、近年は「ライター望月の駅弁いい気分」というブログで
「1日1駅弁」を基本に「駅弁」の紹介を続けています。
”駅弁生活15年目”、縁あってニッポン放送のサイトで連載させていただくことになりました。
3つの原則で「駅弁」の紹介をしていきたいと思います。

①1日1駅弁
②駅弁は現地購入
③駅弁のある「旅」も紹介

「1日1駅弁」ですので、日によって情報の濃淡はありますが、
出来るだけ旬の駅弁と鉄道旅の魅力をアップしていきますので、
ゆるりとお付き合い下さい。

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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