日本の黒毛和牛のルーツ「千屋牛」を駅弁で味わう~岡山駅「千屋牛すき焼き重」(1,200円) 【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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JR瀬戸大橋線・茶屋町駅(岡山県倉敷市)に入ってきたのはJR西日本の213系電車。
今は主に岡山地区のローカル列車として走っていますが、かつては本州と四国を結んでいた車両。
1988年から2003年まで、岡山~高松間の快速「マリンライナー」として活躍しました。
国鉄最後の新規開発車両としても知られ、首都圏でも同じような顔の車両はよく見かけたものです。
そんな213系電車をリニューアルして出来たのが・・・?

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前回までご紹介した観光列車の「ラ・マル・ド・ボァ」!
現在は「ラ・マルせとうち」として岡山~宇野間を走っていますが、結構、元の顔が活かされています。
ステンレス製の車両だけに、大きな改造はしにくいのかも!?

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一方、岡山地区ではまだまだ健在なのが、国鉄時代からの115系電車。
スピードが出ると大きく唸るモーターだったり、停車中はコンプレッサーがガラガラ鳴ったり・・・。
私自身、静岡地区のJR身延線で高校の通学に使った車両ですので思い入れも大きい車両です。
首都圏では高崎地区で頑張っていますが、基本はみかんと葉っぱの「湘南色」。
ただ、瀬戸内エリアでは黄色一色の車両も多くなっていて・・・さらに?

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その黄色い車両にいろんなラッピングが施されています。
実はこの車両「ふるさとおこし号」というラッピング電車。
JR西日本岡山支社が展開している「ふるさとおこしプロジェクト」のキャラクターがラッピングされ、車内には沿線の「いいところ」がPRされています。
2016年4月現在では、1号から4号まで4編成が活躍中。
今後8編成まで増えて、岡山県内各地をPRすることになっているそうです。

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岡山地区では、電車だけでなくディーゼルカーも活躍中。
メインとなるのは、国鉄時代からの「キハ40」系列の気動車。
コチラも最近は、昔からの朱色一色の車両が増えています。
そんなディーゼルカーにも・・・?

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「桃太郎伝説」を童話風に描いたデザインの車両などが登場。
この車両が走る「吉備線」は3月26日から「桃太郎線」という愛称になりました。
山陽新幹線の乗換案内でも「桃太郎線は・・・」と案内されています。
こういった車両のラッピングやリニューアルが行われるウラには2つの理由があります。

①古い車両のリニューアル
②観光キャンペーンの目玉

特に今回は「②」の要素が大きくなっています。
実は岡山では4月1日~6月30日まで「晴れの国おかやまデスティネーションキャンペーン」が開催中。
「デスティネーションキャンペーン」とは、JR各社と地元自治体が協力して行われる観光キャンペーンのこと。
概ね3か月・1クールの単位ごとにエリアを変えて行われており、今年度は岡山、青森&函館、長崎、京都で開催。
開催期間中は、訪れた人に特別なサービスがあったり、期間限定の割引きっぷなどが出ることも・・・。
せっかく旅に出るなら、こういったキャンペーンに乗っかってみるのも「1つの手」なのです。

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吉備線改め「桃太郎線」は岡山駅と総社市(そうじゃし)にある「総社駅」を結ぶ路線。
接続する伯備線(はくびせん)は山陽・山陰を結ぶ路線で特急「やくも」が毎時1本走ります。
その伯備線のほぼ中間にある大きな駅が「新見(にいみ)」。
新見のブランド牛として知られるのが「千屋牛(ちやぎゅう)」です。
この「千屋牛」を使った岡山駅弁「千屋牛すき焼き重」が「三好野本店」から出ています。

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「千屋牛」は、新見が発祥とされる日本最古の蔓牛(つるうし)の血統を受け継ぐ黒毛和種。
一説には、松阪、近江、神戸といった全国の和牛ブランドのルーツともいわれる牛です。
1800年ごろからの歴史と伝統を守りながら改良を重ねていて程よい霜降りと赤身が特徴。(参考:「JAあしん」ウェブサイトほか)
岡山駅の駅弁としては、2015年4月1日から登場。
濃口醤油ベースの特製たれで煮込んだ「千屋牛」を、玉葱や糸こんにゃくと一緒にすき焼き風に仕上げてきました。

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そして、この駅弁でも味覚のカギを握るのが「とろとろ玉子」。
すき焼き風煮に玉子ですから、文句のつけようがないテッパンの組み合わせですよね。
各地に「牛めし」駅弁があるのは分かっていても、やはりご当地ブランドの牛だと、思わず手にしてしまうもの。
紅しょうがときんぴらごぼうで味のアクセントを付けながら、冷めても柔らかい、ちょっといい牛丼感覚でイケそうです。
観光キャンペーンに乗っかって訪ねた岡山で出逢える日本の黒毛和牛のルーツ。
しかも1,000円台前半で、その味を体感出来るのは有難いものです。

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
「ライター望月の駅弁膝栗毛」
(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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