5/14,15の2日間、静岡で開催された、日本最大級の鉄道イベント「グランシップトレインフェスタ」。
イベント向けに運行された初めての臨時列車、急行「トレインフェスタ1号」は定刻通り9:46、終点・静岡に到着しました。
実は「トレインフェスタ号」の車内で、本日開催の「さわやかウォーキング」に参加した人は「JR静岡車両区の見学が出来る」旨の案内放送が・・・。
「静岡車両区」とは簡単に言うと、静岡地区のJR線を走る車両の「車庫」のことで、一般に公開されるのは極めて稀なこと!
コレは「ぜひ見たい!」ということで「トレインフェスタ」に先駆けて「さわやかウォーキング」に参加することにしました。
「さわやかウォーキング」の受付は、静岡駅南口前のJR東海静岡支社にて8:30~11:00の間にスタートします。
ウォーキングマップと記念のバッジが手渡されて、あとは案内図に沿ってゴールを目指します。
「さわやかウォーキング」とは、1991年からJR東海の沿線を中心に行われているウォーキングイベントで今年で25周年。
25周年記念特別コースとして設定された今回のテーマは「静岡銘菓とJR東海静岡車両区を訪ねトレインフェスタ2016を楽しむ」。
全行程は意外に長い「11キロ」ということで、勢いで参加したのはいいのですが、実は結構タイヘンだったり???
まずは静岡駅からおよそ3.3キロを歩いて辿り着いたのは「こっこ庵」。
ニッポン放送のCMでもすっかりおなじみ、静岡銘菓「こっこ」のお店です。
コチラではふるまい茶なども行われ、多くの皆さんが行列を作っていました。
建物の2階は「安倍川もち」の製造工場となっており、流れ作業で作られていく様子を見学することも可能。
次の機会にじっくり見学することにして、給水もそこそこに先を急ぎます。
「さわやかウォーキング」のコースには、事前にルート案内の看板が用意されています。
今回は、静岡駅南口→(3.3km)→こっこ庵→(6.5km)→静岡車両区→(1.2km)→グランシップまで、およそ11kmのルート。
クルマの交通量が多い所や、間違いやすいポイントには誘導員を配置して安全を確保していました。
鉄道各社にウォーキングイベントはあるんですが、ちゃんと手間をかけて準備されていたのが印象的。
なお、JR東海静岡支社によりますと、今回の「さわやかウォーキング」には4483人が参加、静岡地区の最高記録を更新したそうです。
「こっこ庵」から1時間あまり歩いて辿り着いたのが「ツインメッセ静岡」。
コチラでは「トレインフェスタ」と同時開催の「静岡ホビーショー」が行われていました。
この2つ、ファン層が被るだけに、東静岡駅起点で周回バスも運行されており、多くの人でにぎわっていました。
こういった形の”街の盛り上げ方”は、とても面白いと思います。
正直立ち寄りたいですが、一度立ち寄ってしまったら、たぶんゴールできなくなってしまうので泣く泣くスルー。
歩き始めて2時間以上、ようやく静岡車両区に到着、受付の際に渡されたコースマップのチェックを受けて構内に入ります。
私自身、JR初期に行われていた「静岡運転所まつり」に参加した記憶があるのですが、実は今回の「さわやかウォーキング」参加者への公開はそれ以来のことなんだそう。
「静岡車両区」は明治時代、鉄道の開通と共に「静岡機関庫」として始まり、1961年に前身の「静岡運転所」となりました、
国鉄時代~2000年代前半までは東海道線(湘南電車)の車両を受け持っており、東京駅でも所属を示す「静シス」の文字がよく見られたものです。
2000年から静岡車両区となり、現在は静岡地区の東海道線、御殿場線、身延線の車両を受け持っています。
現在、静岡車両区に配置されている車両は、特急用の373系、普通列車用の313系・211系という3種類の「電車」。
そこで「電車」の装置について分かりやすい展示が行われていて、係員の方が様々な疑問にも答えて下さっていました。
電気を集める「パンタグラフ」は屋根の上にちょこんと載っているように見えますが、実は人間1人分くらいの高さがあったりするんですね。
モーターの仕組みを説明する際に「ミニ四駆」に置き換えているのが”静岡っぽさ”を感じさせてイイですね。
ウォーキングコースにも「静岡ホビーショー」を組み込んでおり、ヨコのつながりを意識した構成にも見受けられました。
実際に行われる車両点検の一端を「体験」出来るゾーンもありました。
その1つが、ハンマーを使って行われる「打音検査」!
車両のボルトが緩んでいると「鈍い音」がするということで、4つのボルトを叩き比べるというもの。
実際の検査より「分かりやすく」緩めにしていたそうですが、車両を整備する職人さんはかなり微妙な音の違いを聴き分けられるのでしょう。
日々、何気なく使っている電車が、多くの人の手によってメンテナンスされている様子を垣間見ることが出来たように思います。
コチラも鉄道好きにはたまらない、車掌さんによる車両の「ドア閉め」のプチ体験。
車掌さんによる安全確認の方法って、鉄道会社や地域ごとの色があって鉄道趣味的には面白いんですよね。
静岡地区の車掌さんは「ピッ、ピッ、ピー!」と3回笛を吹くのが特徴で、実はこれもちゃんとルールで決まっているそう。
またドア閉め後「トア、ホーム、オーライ!」と声を出して三角形を描くように指差喚呼する様子は、キリッとしていてカッコいい!
こういった緊張感ある車掌さんの姿を見ると、「駆け込み乗車」など申し訳なくて自然に出来なくなるような気がします。
この日、静岡車両区で展示されていた211系電車には「快速・沼津」の幕が表示されていました。
静岡地区は各駅に停まる普通列車が基本なので、「快速」は普段見られない珍しい表示。
昔から「ホームライナー」の所定車両が使えない時などに、代走の「快速」が走るコトは時々ありました。
そんなレアな状況を再現したか、ちょっとした遊び心を感じられるのも鉄道イベントならではです。
静岡車両区の「さわやかウォーキング」参加者への公開の様子は、また次回、続きをアップしていきます。
さて、「沼津」の駅弁屋さんといえば、明治24年創業の「桃中軒」。
昔から東京から下ってくる人に「ぬまずくわずで沼津まで・・・」と言われ、沼津は駅弁にとって縁のある駅でした。
東海道線が御殿場回りだった時代は箱根越えの機関車の付替で、丹那トンネル開業後も電気機関車と蒸気機関車の付替で停車時間が長かった「沼津」。
この長い「停車時間」こそが、沼津の駅弁文化を育んできました。
販売の中心は沼津から東海道新幹線が停まる三島駅に移りましたが、多くの「こだま」が「のぞみ」の通過待ちで5分程停まります。
実は今も「停車時間」と共にあるのが「桃中軒」の駅弁です。
「桃中軒」の看板駅弁といえば、沼津特産の鯵を使った「港あじ鮨」です。
2003年の発売で、実はその頃、沼津が誇る全国ブランド「鰺」をメインで使った駅弁は無かったといいます。
そこで「沼津でしか味わえない鰺鮨」をキャッチフレーズに、半年以上かけて「港あじ鮨」を開発。
発売当時は、ニッポン放送でも「港あじ鮨」のラジオCMが頻繁に流れ、この駅弁に懸ける意気込みを強く感じたものです。
以来13年、すっかり沼津・三島を代表する駅弁に成長しました。
「港あじ鮨」が画期的だったのは、駅弁の鯵寿司といえば「押寿司」が主流だった中で「にぎり」にチャレンジしたコト。
特製の酢で〆た駿河湾産の鯵を使ったにぎり風の寿司は「ぬまづ鯵鮨」と銘打たれ、メインに据えられました。
脇を固める「にぎわい鰺鮨」は、塩漬けにした天城の山葵の茎を寿し飯に混ぜているほか、包んでいるのも山葵の葉。
さらに「鰺わい太巻き」では、鰺の切身を太巻きの芯とするなど「鯵が3つの味」で楽しめます。
このバリエーションの手間があるのに、価格を今も「1,000円以内」に抑え込んでいるのは特筆すべき点です。
そして、もう1つ面白いのが「生山葵とおろし金」が入っていること。
「港あじ鮨」では、自分で天城産の山葵をすりおろしていただきます。
山葵を自分で摩り下ろす駅弁といえば「桃中軒」では1988年から新幹線グルメの1つとして「海ひこ山ひこ」を販売していました。(現在は販売終了)
以来、山葵へのこだわりは「桃中軒」の十八番ともいえるものになっています。
ツーンと来るのが好きな人は新鮮な山葵で大人の味を楽しめる一方、山葵が苦手な人はサビ抜きで食べられるのもいいところです。
早速、私も生山葵すりすり~♪
醤油を垂らして、寿司屋さん気分でいただきます!
この瞬間がたまらない!!
ついついクセになる、桃中軒の”ワサビすりすり”「港あじ鮨」です。
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
「ライター望月の駅弁膝栗毛」
(取材・文:望月崇史)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/