6月25日(土曜日)、福島県の常磐線・いわき~竜田間で行われた「ありがとう415系」の旅。
常磐線でおよそ30年にわたって活躍した415系1,500番台のラストランに多くの人が詰めかけました。
団体専用列車として走る「415系」電車は8両編成で、昼前の11:50にいわきを出発。
途中、末続駅で10分の小休止の後、竜田駅(福島県楢葉町)には12:38の到着。
30分の停車時間の後、再びいわき駅に向かって戻ります。
「415系」電車は主に国鉄時代、在来線なら直流、交流、50・60ヘルツ関係なく、原則「電化区間ならどこでも」走れる車両として造られました。
車両の中で交流の電気を直流の電気に変換して、モーターを回していくことから「走る変電所」と呼ばれることも・・・。
交直両用電車の場合、見た目にも電気を集めるパンタグラフの周りには機器が多く搭載されています。
ただ、機器が多い分、車両も高価なため、最近は電化方式に関係なく走れるディーゼルカーを入れる鉄道会社もあります。
ちなみに「常陸多賀(ひたち・たが)」という幕を出していますが、通常は見られなかった行先です。
竜田駅における30分の停車時間には、子供向けに「乗務員体験イベント」を開催。
鉄分濃いめの大人向けには、電動の「方向幕を動かす」イベントが行われ、普段は見られなかった行先が見られました。
私を含め、いい大人たちが幕が変わるごとにシャッターを切ったり、動画に収める様子はホントに「鉄分濃厚」な風景です。
「池袋」という行先も、現役時代の「415系」電車ではまず考えられなかった行先。
一方「東京」という行先もあり「上野東京ライン」の開通がもう10年早かったら日の目を見たのかも・・・なんて想像も。
「415系」電車は、常磐線の上野~原ノ町(はらのまち、福島県南相馬市)間で使われていました。
なみえ焼そばで有名な「浪江(なみえ)」とか「富岡(とみおか)」といった営業休止中の駅名が出てくると、ちょっと切ない気持ちになります。
常磐線は平成23(2011)年の東日本大震災以降、今は竜田~原ノ町間、相馬(そうま)~浜吉田(はまよしだ)間で運転見合わせ中。
「415系」電車の1編成は「スーパーひたち」の1編成と共に原ノ町駅で取り残されたままとなり、車庫のある勝田に帰還できない状況が続いていました。
でも、震災から丸5年の今年春、原ノ町の「415系」電車は、常磐線の運転再開を待つことなく撤去されたと各紙で伝えられました。
ただ、常磐線の運転再開については明るい話題もあり、既に区間ごとに再開のメドが立っています。
「JR東日本の発表」によると、直近では来月7月12日、原ノ町から南へ2駅、小高(おだか)までの運転再開が決まっています。
また今年(2016年)末までに相馬~浜吉田間が運転再開予定で、ココが再開すると常磐線の仙台口は繋がります。
その後、来年(2017年)には竜田~富岡間、浪江~小高間も運転再開予定。
そして2019年度末に富岡~浪江間が繋がれば、震災から9年がかりでようやく「常磐線」は全線で運転再開となります。
常磐線・広野~竜田間は平成26(2014)年には運転を再開していたのですが、なかなか足を運ぶ機会がなく、今回が再開後初乗車となりました。
たぶん「ありがとう415系」が運行されなかったら、今後も”行き止まり”の竜田まで足を運ぶことは無かったんじゃないかと思います。
私にとっては、その意味でも「ありがとう415系」です。
「鉄道」は繋がってどこかへ行けてナンボ、「線路は続くよどこまでも」なんだと思います。
やっぱり、日暮里(にっぽり・東京都荒川区)~岩沼(いわぬま・宮城県岩沼市)間が繋がってこその「常磐線」なのです。
「ありがとう415系」号は、定刻通り13:08に竜田駅を発車。
再び末続駅(福島県いわき市)で13:23~33まで10分間停車します。
高台にあるホームから海の方を望むと、重機の音が聞こえ、埃が舞い上がっている様子が見えました。
「重機と埃」は、恐らく東北太平洋沿岸における2010年代のシンボリックな風景になっていくのでしょう。
東北はまだまだ「復興中」です。
やっぱり海を眺めていると、海鮮系の駅弁が食べたくなってくるもの。
訪れた日「いわき」の駅弁は訪れた日、いわき駅1・2番線ホームの店頭になく・・・残念!
今回は水戸駅弁・しまだフーズの「磯べん」(1,050円)を手に取りました。
しまだフーズの駅弁は「牛べん」「豚べん」「磯べん」と”○○べん三姉妹”を構成しています。
当時の地元紙記事と私の記憶を元に辿れば、平成23(2011)年の参入当初は「牛べん」「豚べん」の2つで、ちょっと遅れて「磯べん」だったかと。
「磯べん」のふたを開けると、メインはたこの炊き込みご飯。
箸を入れていくと、たこがゴロゴロ出て来て、ご飯もあまりしょっぱくなく食が進みます。
時々「あさりの佃煮」でアクセントを付けながらいただいていくのがいい感じ。
揚げ物は、茨城らしく「あんこうの天ぷら」で脂っこくなく、あっさりとした味わいが嬉しいですね。
現在、実質2社体制となっている水戸駅弁、やっぱり駅弁も競争があるとイイものが生まれるように思います。
JR東日本水戸支社「いわき運輸区」の若手の皆さんが企画したという「ありがとう415系の旅」。
団体臨時列車として運行された「415系」1,500番台の8両編成は、定刻通り13:58にいわき駅に到着、無事営業運転を終えました。
10分あまり停車の後、いわき止まりの特急「ひたち11号」と入れ替わりで、車庫のある勝田に向けて回送。
多くのギャラリーに見守られながら、重厚なモーターの音を唸らせて、発車していきました。
常磐線沿線に暮らす人たちの日常を支えた普通列車の引退セレモニー、手作り感溢れ、終始和やかな雰囲気に、ちょっと温かい気持ちになりました。
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
「ライター望月の駅弁膝栗毛」
(取材・文:望月崇史)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/