富山ツウが好んで求めるプレミアムな「ますのすし」!!~富山駅「伝承館 源 ますのすし」(2,700円) 【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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北陸新幹線の開業直後、鉄道をテーマにしたラジオ番組のスタッフ会議中に、こんな話題で盛り上がりました。

「富山の駅弁のますのすしもイイんだけど、あの駅弁屋さんが作ってる”もっとスゴイますのすし”ってあるよね!」

そうなんです!
実は通常の駅弁の「ますのすし」以上に、プレミアムな「ますのすし」があるんです!!

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やってきたのは、富山市郊外にある「ますのすしミュージアム」!
富山駅弁「源」の本社・工場に平成21(2009)年オープンした「ますのすし」の殿堂ともいえる存在で、全国的にも珍しい「駅弁」の常設博物館なのです!
駅弁「ますのすし」の100年に渡る歴史や、全国の駅弁の掛け紙を展示したエリアもさることながら、必見なのは「工場見学」!
「ますのすし」の製造過程や解説が見られるようになっていて、「駅弁」というものはこう出来ていくのかということが分かります。(撮影は禁止)
また、事前予約制で「ますのすし手作り体験」も出来ます。

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そんな「ますのすしミュージアム」の一角にあるのが「伝承館」。
「伝承館」とは昔ながらの「ますのすし」の製法を受け継ぐ工房のことで、明治45(1912)年以来の匠の技をガラス越しに見ることが出来ます。
ココでは職人さんたちが五感をフルに使い、気候や魚の状態、季節に合わせて”その日だけの”ますのすしを手作業で作り上げています。
実はこうして出来た「伝承館 源 ますのすし」(2,700円)が知る人ぞ知る絶品!!!
さァ、箱を開けていきますよ!

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重厚な箱を開くと「曲げ物」と呼ばれるわっぱのような器、青竹、ゴムバンドでギュッと押された「ますのすし」が現れました。
実は「ますのすし」の「曲げ物」、元々は「富山の薬」の容器をヒントに生まれたものなんだそう。
また「ますのすし」に使われる竹と笹は、竹林の手入れの際に伐採された地元の孟宗竹を使っていて、地域の生態系の維持に貢献しています。
元々「ますのすし」は藤の蔓で「押して」いましたが手先をケガしやすいなどの難があり、研究と試行錯誤を繰り返してオリジナルの「ゴムバンド」が開発されたという歴史もあるんです。
えっ!?そんな薀蓄はイイから、早く中を見たい・・・では、ご覧いただきましょう!

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素晴らしい酢・笹・木の香りと共に、ほれぼれするような「淡い紅色」が現れました!!
日本海の北部沿岸で捕れるサクラマスの中でも3キロを超える物だけを使用。
おろす際には季節に合わせた加減で素早く塩を打ち、使う部位や脂のノリに合わせて塩を打ったり切り身を酢洗いしていきます。
最高の旨みを出すべく、切り身が「淡い紅色」に変わっていく様子をしっかり見て「絶妙のタイミング」で酢から引き上げます。
職人さんが手先で塩加減を習得するには毎日やっても最低5年、酢の具合も熟練した職人にしか分からない「職人技」なんだそうです。

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もちろん、サクラマスは肉厚な食感!
青竹とゴムバンドでギュッ~と押されることで旨みが凝縮され、曲げ物にはホントに美味しいところだけが集まっていきます。
これに明治、大正、昭和、平成と受け継がれてきた”伝統の重み”がギュッ~っと載って凝縮されたのが「伝承館 源 ますのすし」なのです。
ちなみに「源」の駅弁にはココでの素材研究、技術革新などがフィードバックされているといいます。
つまり「伝承館」は、伝統を受け継ぐ場所だけでなく、未来の駅弁を創る場所でもあるんですね。

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そんな「伝承館 源 ますのすし」、「ますのすしミュージアム」内の「お土産処・天人楼」で販売されています。
また北陸新幹線開業を機に、富山駅にもわずかながら置いてくれるようになったのは有難い限り!
手作業で作っていますので出回るのは当然少数、「個数限定」での販売です。
入手が非常に難しいレアな「ますのすし」、見かけたら多少値は張っても「即ゲット」で後悔なし!確実な入手には予約がお薦めです。
「ますのすしミュージアム」へは富山駅前から「富山地方鉄道」の路線バス・国道41号経由「笹津」方面行で20分あまりの「安養寺」バス停から少々歩きます。
(バスは概ね20分間隔で運行、タクシーでは4,000円弱)

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東京から北陸新幹線「かがやき」の最速列車で「2時間8分」の富山。
東京から「2時間8分」という時間で比較しますと・・・?

東海道新幹線・京都(のぞみ1号・2時間8分)
東北新幹線・盛岡(はやぶさ5号・2時間11分)

つまり「京のおばんざい・盛岡冷麺・富山の寿し」は、ほぼ同じ時間で食べに行ける時代になったというコトです。
そんな時代だからこそ、富山じゃないと買えないプレミアムな手作りの「ますのすし」をチョイスしてみては?

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
「ライター望月の駅弁膝栗毛」
(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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