大糸線のお供に~松本駅「大糸線の旅」(1,080円) 【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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JR大糸線・信濃大町駅にやって来ました。
大糸線は篠ノ井線の松本と北陸新幹線の糸魚川を結ぶ路線。
路線の名前は、大町の「大」と糸魚川の「糸」を合わせたものです。
松本~南小谷(みなみおたり)間はJR東日本の電化路線、南小谷~糸魚川間はJR西日本の非電化路線。
JR東日本の電化区間には、中央東線の特急「あずさ」も乗り入れています。

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下りの「あずさ3号」は、千葉6:38発(新宿7:30発)で、南小谷11:42着。
走行距離340キロあまり、実に5時間4分も「あずさ」の旅が楽しめます。
「あずさ」の指定席は「D席」を押さえておくとアルプスの山並みがバッチリ!
小淵沢付近では南アルプス、大糸線内では北アルプスの山並みが楽しめます。
特に大糸線では景色に配慮して、架線柱も山の反対側に設けられた所が多くなっています。

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さて「あずさ」の名前の由来となったのが、上高地から流れてくる「梓川」。
その「梓川」の畔にある駅として知られるのが、大糸線の「梓橋駅」です。
ホームには「是より北、安曇野」の看板が…。
こういった看板が1枚あるだけで、旅情を誘いますよね!
なお「梓橋駅」、特急「あずさ」は通過してしまいますのでご注意下さい。

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そして今の時期の「梓橋駅」の名物といえば、ホームで実る「りんご」!
昭和40年代「駅の名物に」として当時の駅員さんによって植えられたのが始まり。
国鉄末期からは、地元の皆さんによって、大事に栽培されています。
収穫された「津軽」や「ふじ」などのりんごは、各種施設で頑張っている子供たちへプレゼントされているそう。
「あずさ」は停まらくても、ふと足を止めて景色を眺めたい「梓橋駅」です。
(画像は平成25(2013)年筆者撮影)

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そんな「大糸線」の旅のお供が、去年(2015年)から登場しています。
松本駅弁・イイダヤ軒が出した、その名も「大糸線の旅」(1,080円)。
大糸線沿線の団体とイイダヤ軒がコラボ、1日5~10個限定で販売しています。
大町市出身の郷土料理研究家・横山タカ子さんがプロデュース。
大糸線沿線の食材を使った、健康・長寿をテーマにした駅弁です。

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仁科三湖沿いを走るE127系電車が映った掛け紙を外し、懐かしい雰囲気の笹の籠を開けると、赤いご飯と素朴なおかずが登場!
赤いご飯は紫米の色で、掛け紙によれば、紫米はブルーベリーのおよそ3倍もポリフェノールが多いそう。
今や信州は、県を挙げた食生活改善運動が実り、日本を代表する長寿県になりました。
中でも大糸線沿線の「松川村」は、男性の寿命が日本トップクラスの村なんだそうです。
長寿がテーマということもあり、この駅弁にも「松川村」の食材がたっぷり使われています。
大涌谷の黒玉子じゃありませんが、駅弁を食べただけで7年くらい寿命が延びそうな気分になりますね。

【おしながき】
紫ご飯:米・松川産、紫米・白馬産
信州米豚肉肩ロースの味噌焼:大北産信州米豚(信州の米を食べて育った豚)、松川村産味噌
大根人参の白煮
玉子焼
白滝の味噌煮:松川産味噌、無添加
黒豆煮:松川村産
椎茸のうま煮:松川村産
醤油豆油揚げ巻:醤油豆は地元産黒豆を米麹で発酵させた信州における冬の滋養食。
漬物3種:奈良漬、たくあん(かた大根)、梅

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中でも大根の煮物は柔らかく煮込まれており、冷めても美味しい味わい。
東日本の人には薄味に感じるかもしれませんが、このしょっぱくない所が味わいのポイント。
実は長野における食生活改善のポイントは「減塩」と「野菜」が二大キーワードなのです。
野菜を中心に地のものを味わいながら健康も意識できる、何とも有難い駅弁。
北アルプスの山並みを眺めながらいただけば、一層美味しくいただけることでしょう。

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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