東京・上野から東北線、高崎線、上越線を経由して、吾妻線の長野原草津口を結ぶ特急「草津」。
1日2往復の定期列車のほか、週末には臨時列車も運行され、一部は万座・鹿沢口まで乗り入れます。
「草津」は昭和30年代から準急列車として始まり、平成26(2014)年からは元「スーパーひたち」の651系電車による運行。
東京と草津温泉の玄関口の間を「乗り換えなし」のおよそ2時間半で走ります。
途中の停車駅・渋川からは「伊香保温泉」、中之条からは「四万(しま)温泉」などへアクセスすることも出来ます。
渋川駅前から「伊香保温泉」までは、関越交通の路線バスで20~30分ほどで到着。
有名な「石段街」は、この地が武田領だった頃「長篠の戦い」の後に傷ついた将兵を癒すため、日本初の計画的な温泉リゾートとして作られたといわれます。
多くの人が行き交う石段街の中央部は、これを示す碑も建てられています。
実際に手がけた人物には諸説あるようで、小暮氏・千明氏・岸氏をはじめとした武田氏配下の者が造成を行ったとか、あの真田パパ(昌幸)が手がけたとするものも。
武田氏が西上野を治めた期間は20年ほどですが、今に続く群馬の温泉文化の礎を担ったことは間違いなさそうです。
伊香保のシンボル的なお湯といえば「黄金の湯」。
石段の下を湯樋が流れており「小満口(こまぐち)」から各宿へ配湯していて、その様子を見ることも出来ます。
この石段を上って伊香保神社を抜け、さらに上まで行くと「伊香保露天風呂」。
ココの前には2号源泉があって、鉄分で赤みを帯びたお湯が湧き出しています。
また、近くには飲泉所もあり、金属臭たっぷりな温泉を飲むことが出来ます。
さて、群馬の旅のお供の定番といえば、高崎弁当の定番駅弁「だるま弁当」(1,000円)。
昭和35(1960)年の発売開始から、去年で発売55年を迎えました。
発売当初は陶器製でしたが、昭和48(1973)年からは持ち運びのカンタンさなどもあって、現在のプラスチック製になっています。
もちろん、毎年1月6日~7日にかけて高崎市の「少林山達磨寺」で行われる七草大祭に合わせて販売される「だるま」に因んだ駅弁ですね。。
ビニールの包装を外すと、駅弁のしおりと共に、赤いだるま型の容器が姿を現します。
このだるまが「貯金箱」になっているのも、ご存知の方が多いことですよね。
【お品書き】
茶飯
山菜きのこ煮
穂先竹の子煮
椎茸煮
コールドチキン
鶏八幡巻
花豆煮
黒こんにゃく、赤こんにゃく
栗
山くらげ
小ナス漬け
山ごぼう
実は「だるま」に因んで、中国風の精進料理「普茶料理」をイメージして作られています。
山菜たっぷり、肉は少なめ、ヘルシー(626kcal)だけど味わいしっかり、不思議とホッとする味です。
髙崎の駅弁といえば「だるま弁当」という人も多いですよね。
ちなみに上信越道・横川SA(下り)も「高崎弁当」がやっていますので、クルマで信州へ向かう人でも楽しめます。
群馬旅のお供には欠かせない駅弁の1つですね!
(取材・文:望月崇史)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/