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現美新幹線E3系
いよいよ「芸術の秋」。
お洒落に美術館巡り・・・いやいや、今やアートは「新幹線」で楽しむ時代なのです。
今年4月、上越新幹線に登場した現代アートが楽しめる「GENBI SHINKANSEN(現美新幹線)」。
”世界最速芸術鑑賞”をウリに「越後湯沢~新潟間」で週末を中心に3往復が運行されています。
車両は元「こまち」のE3系・6両編成をリニューアル、「走る美術館」に生まれ変わりました。
写真家・映画監督の蜷川実花さんによる「長岡の花火」によって彩られた車両に、私も新潟仕事の帰りにちょいとプライベートで乗ってみました。
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現美新幹線・越後湯沢駅見送り
「現美新幹線」は、越後湯沢から浦佐、長岡、燕三条の各駅に停まり50分ほどで終点・新潟まで走り抜けます。
6両のうち、指定席は11号車の1両のみ、12~16号車は全て自由席となっています。
東京から「とき・たにがわ」で湯沢まで来て、改札を出ずに「現美新幹線」に乗る分には、通しの特急券で乗れるのが有難いところ。
主に週末の運行ですので「週末パス」と併用すると一層おトクです。
さあ、越後湯沢駅の駅員さんに見送られて、1時間弱の「芸術鑑賞」の始まりです!
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現美新幹線12号車(画像提供:JR東日本新潟支社)
「現美新幹線」は「こまち」時代の名残で「11~16号車」の設定となっています。
今回は「自由席」の12・14・15・16号車の模様をアップ。
12号車を手がけたのは、アーティストの小牟田悠介(こむた・ゆうすけ)さんです。
昭和58(1983)年大阪府生まれ、平成21(2009)年東京藝術大学大学院を修了。
折り紙の展開図をモチーフに鮮やかな色のプリズムを織りなす抽象絵画や、鏡面ステンレスを用いた動く立体作品などを手がけている方です。
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現美新幹線14号車(画像提供:JR東日本新潟支社)
14号車の担当は、写真家の石川直樹(いしかわ・なおき)さん。
昭和52(1977)年東京生まれ。東京藝術大学大学院を修了。
2000年に北極から南極を人力踏破し、翌年には七大陸最高峰登頂を達成。
人類学、民俗学などに関心をもち、移動、旅などをテーマに作品を発表し続けているそう。
新潟県内で開催されている芸術祭などにも、参加されている方です。
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現美新幹線15号車(画像提供:JR東日本新潟支社)
今回2度乗って各車両を見たのですが、いつも女の人が多いのが「15号車」。
この車両を手がけているのが、アーティストの荒神明香(こうじん・あすか)さん。
昭和58(1983)年広島県生まれ、平成21(2009)年東京藝術大学大学院を修了。
近縁では、瀬戸内国際芸術祭などにも参加されている方です。
この作品は、川を散歩していた時に見た風景がきっかけで生まれたそう。
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現美新幹線16号車(画像提供JR東日本新潟支社)
新潟方の先頭車両となる16号車は、アーティストのブライアン・アルフレッドさんによるもの。
1974年アメリカ・ピッツバーグ生まれ、エール大学修士修了で、現在はニューヨーク在住。
アメリカのみならず国際的にも評価が高い芸術家さんで、日本では2011年に文化庁メディア芸術祭にてアート部門優秀賞を受賞。
2010年の愛知トリエンナーレでも映像作品を発表しています。
この作品は、新潟を旅した時に思い浮かべるであろう四季の風景を詩的に表現したそうです。
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現美新幹線13号車・カフェスペース(画像提供:JR東日本新潟支社)
アートのお供を演出してくれるのが、現美新幹線13号車にある「カフェスペース」。
なんたって「現美新幹線」は”旅するアートカフェ新幹線”!
カフェを楽しまないことには始まりません。
私が乗車した日にも、発車時刻前から「カフェ」には行列が出来ていました。
乗ったらカフェ直行!というのも「現美新幹線」ならではの光景かもしれませんね。
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ツバメコーヒー・カフェラテ&佐渡クリームチーズのレモンケーキ
「現美新幹線」のおススメは、「ツバメコーヒー」監修のコーヒー系のドリンク!
「ツバメコーヒー」は、新潟・燕市の吉田にある喫茶店です。
平成24(2012)年に美容師さんが立ち上げた新しい喫茶店ですが、『良質な豆をシンプルに焼いて早く届ける』をモットーに早くも人気を集めています。
今回は「カフェ・ラテ」(500円)を買い求めました。
もちろんカフェスペースでは「Suica」が使えます。
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ツバメコーヒー・カフェラテ&佐渡クリームチーズのレモンケーキ
通常の新幹線の車内販売ですと、アテンダントさんがポットをギューッと押してカップに入れてくれますよね。
でも「現美新幹線」にはちゃんとマシーンが付いていて、目の前でラテを作ってくれるんです。
新幹線で「コーヒーの香り」を楽しめる時代が来るとは!
一緒にいただいたのは「佐渡クリームチーズのレモンケーキ」(280円)。
ケーキは3種類あり、いずれもJR東日本グループの「十日町すこやかファクトリー」製のものです。
新幹線のグランクラスで出される焼菓子を手がけている所の味が「現美新幹線」でも楽しめるという訳ですね。
お茶をしながらアート鑑賞、その間にしっかり移動できちゃう「現美新幹線」。
次回にまだまだ続きます。
(取材・文:望月崇史)
連載情報
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ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/