旭川駅「駅弁屋のほたてめし」(980円)~まだまだ頑張るキハ183系・特急オホーツク 【ライター望月の駅弁膝栗毛】

By -  公開:  更新:

キハ183系・特急「オホーツク」

キハ183系・特急「オホーツク」

函館本線・深川駅を発車していくのは、札幌~網走間の特急「オホーツク」。
「オホーツク」は札幌を出ると、函館本線の岩見沢、滝川、深川、旭川などに停車。
旭川から「石北(せきほく)本線」に入って上川、白滝、丸瀬布(まるせっぷ)、遠軽、生田原(いくたはら)、留辺蘂(るべしべ)、北見、美幌、女満別(めまんべつ)などに停まり、終着・網走まではおよそ5時間半の旅となります。

「オホーツク」では、国鉄時代からの「キハ183系」気動車が今も活躍中。
特に“スラントノーズ”と呼ばれるカクカクっとした顔つきの0番台はファンに人気があります。

キハ183系100番台・特急「オホーツク」

キハ183系100番台・特急「オホーツク」

キハ183系は、登場から35年以上経ち、様々な顔があるのも特徴です。
小雪舞う深川駅に入ってきたこの顔も、実はキハ183系(100番台)。
国鉄時代、中間用だった車両が運転台を付けられ先頭車に改造された車両です。
今、現役なのは1両のみという珍車、見た目から〝白坊主”などと呼ぶ人も・・・。
「オホーツク」でこの顔に出逢えたら、ある意味ラッキーかも!?

キハ183系1500番台・特急「オホーツク」

キハ183系1500番台・特急「オホーツク」

コチラもキハ183系(1500番台)で、国鉄末期の昭和61(1986)年に投入されたタイプです。
貫通型の先頭車両に変わり、側面の窓も連続した雰囲気のものになりました。
このタイプは「オホーツク」のほか、函館行の「北斗」、稚内行の「サロベツ」でも活躍。
ただ、この比較的新しいキハ183系でも30年戦士となっており、今後、新しい車両と置き換えられていくことが発表されています。
その意味でも、現役で頑張っている姿を記録しておく時期に入っているのかもしれません。

駅弁屋のほたてめし

駅弁屋のほたてめし

さて「オホーツク」が走る北見・網走は、北海道を代表する「ほたて」の産地の1つです。
オホーツク海沿岸では特に「地撒き方式」でほたて漁が行われ、生まれて1年育てた稚貝を海に放し、海底で2~4年間成長させて漁獲しているのだそう。
水揚げされた「ほたて」は、主にほたて貝柱や干貝柱に加工されているといいます。

今回は、旭川駅で売られているほたての駅弁「駅弁屋のほたてめし」(980円)をご紹介。
包装がほたての貝殻風に穴が開いていて、中が見えるタイプになっていますね。

※参考「北海道ぎょれん」ホームページ ほか

駅弁屋のほたてめし

駅弁屋のほたてめし

「旭川駅立売商会」が手掛けるこの駅弁、丼の半分が丸々「ほたて」!
贅沢に「いくら」が彩りに使われていて、華やかな見た目です。
しかも、保存性が求められる駅弁ながら”海鮮丼”のような食感。
下に敷かれている醤油ごはんと共に、昆布と油揚げ・こんにゃくの和え物もいいアクセントになっていて食欲をそそってくれます。
敢えて”駅弁屋の”と名乗るあたり、海鮮食材の下ごしらえにかける誇りのようなものを感じます。

キハ183系「オホーツク」、旭川駅にて2010年12月筆者撮影

キハ183系「オホーツク」、旭川駅にて2010年12月筆者撮影

「石北本線」はこの夏の台風で被害を受けてしまいましたが、10/1から運行を再開しました。
北海道の鉄道は、これからの厳しい冬こそ、その定時性から存在感が高まる時期です。
「オホーツク」も普段は4両ですが、冬に乗ると「増結○○号車」といった車両になることも。
札幌~網走間は「オホーツク」でおよそ5時間半かかるものの、そこまで長く乗る在来線特急自体が、今やかなり貴重な存在となっています。

冬の「旭山動物園」や流氷などと組み合わせて、まだまだ頑張るキハ183系「オホーツク」で、昭和の汽車旅の名残を感じてみては!?

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

Page top