吉野口駅「鮎ずし」(820円)~吉野の桜と木材が生んだ”狭軌の”近鉄特急【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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近鉄特急16600系

オレンジのカラーリングが印象的な「近鉄特急」。
大阪難波~名古屋間、京都~奈良間、伊勢志摩などへのアクセスに活躍しています。
近鉄をはじめ関西私鉄の多くは、レールの幅が新幹線と同じ標準軌(1,435mm)の路線が多いもの。
その中にあって珍しいのが大阪阿部野橋~吉野間を結ぶ”吉野特急”。
実は近鉄吉野線は、JR在来線と同じ狭軌(1,067mm)の路線なのです。

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吉野駅

近鉄吉野線の前身である吉野鉄道は、大正元(1912)年10月の開業。
「太閤さん(秀吉)も花見をした吉野へ鉄道で・・・」という庶民の思いを乗せて始まりました。
合わせて路線の大きな柱となったのが、吉野の木材輸送。
吉野口まで運ばれた木材は、国鉄の貨物列車で運ばれていきました。
和歌山線をはじめとした国鉄線との直通列車の名残が、狭軌というレール幅にあるのかもしれません。

(参考)近畿日本鉄道ホームページ> 奈良県ホームページ>

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鮎ずし

吉野口駅で「柳屋」が駅弁を始めたのが、吉野鉄道開通の前年・明治44(1911)年。
各地の駅弁の歴史を紐解くと、「乗換駅」の誕生が、駅弁の誕生に繋がったケースがしばしば見られます。
その創業以来、100年以上続く駅弁が「鮎寿し」(820円)です。
平安時代の「延喜式」にも記載があるという吉野の鮎寿し。
この地域で作られた鮎寿しが、京都の御所まで献上されていた歴史もあるといいます。

(参考)全国すし商生活衛生同業組合連合会ホームページ>

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鮎ずし

吉野川で獲れる鮎のことを「桜鮎」といいます。
一説には、吉野川の鮎は苔と一緒に吉野の桜の花びらを食べて育つことから「桜鮎」となったのだとか。
この桜鮎を使って作られたのが吉野口駅弁の「鮎寿し」。
昔ながらの「鮎寿し」に、少し苦手な人もいるかもしれませんが、食文化の理解にはチャレンジすることも大事。
平安時代から1,000年以上、駅弁としても100年以上続く「鮎寿し」ということを鑑みて、歴史の重みと一緒に味わいたい駅弁です。

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銅の鳥居

吉野駅から一番近い世界遺産(紀伊山地の霊場と参詣道)は「金峯山寺 銅の鳥居(きんぷせんじ・かねのとりい)」。
昭和4(1929)年開業の現存するものでは日本最古のロープウェイ「吉野大峯ケーブル」に乗り継いで、黒門の先、急な坂を登っていくと見えてきます。
今のものは、室町時代に作られたもので、高さおよそ7.5m、柱の周囲はおよそ3.3mで、全て銅でできていて、国の重要文化財にも指定されています。
そんな吉野へ向かう新しい観光列車が、実は今年(2016年)登場しました。
いよいよ次回、話題の観光列車をご紹介!

(取材・文:望月崇史)

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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