平成29(2017)年は「とり年」ということで、新年第1週「真冬のみちのく・とりめし雪中行軍」。
「とりめし」を求めて、青森にやって来ました。
去年の青森は、北海道新幹線の開業によって、交通に大きな変化がありました。
在来線特急「スーパー白鳥・白鳥」が新幹線へ移行し、最後の定期急行「はまなす」も廃止。
28年間、青森~中小国(なかおぐに)間で北海道連絡を担った「津軽線」は、貨物列車こそ残りましたが、再びローカル線として、静かな時間が流れ始めています。
津軽線は、地図で見ると、青森市を中心にして左側の津軽半島を北上する路線。
一方で、右側の下北半島を北上するのは、大湊線(おおみなと・せん)です。
大湊線は新幹線の開業で、JR東日本唯一の“飛び地”路線となっており、大湊線の車両は第3セクターの青い森鉄道線を経由して、車庫と行き来しています。
そんな大湊線の始発駅・野辺地(のへじ)で、長年販売されてきた名物駅弁があります。
ウェルネス伯養軒青森支店が調製する「野辺地とりめし」(800円)です。
昭和27(1952)年発売開始、今年で販売開始65年の節目を迎えた青森有数のロングセラー駅弁。
ひし形の容器が特徴的で、長年、シンプルな「とりめし」という名称で販売されてきました。
現在は競争の激しい青森駅、新青森駅などでも販売されており、「野辺地」の名を冠したことで、一層ブランド力の強化を図ったものと思われます。
青森駅で駅弁を販売している「NEWDAYS」の方によると、青森駅では通常午前7時ごろから販売しているということです。
「野辺地とりめし」の魅力は、とにかくシンプルに美味しいところ。
自家製のタレで煮て作られた鶏肉は、冷めても柔らかさが持続。
その煮汁をご飯に混ぜて炊き込んだ「とりめし」が、ひし型容器のおよそ4分の3を占めています。
何かとこってりとした味わいが好まれる昨今、思いのほかあっさりとした食感なのは、半世紀以上続く駅弁の証と云ってもいいかも!?
青森で駅弁選びに迷ったら、この「ひし形の容器」に飛びついておくのがよさそうです。
初めての本格的な冬を迎えている「北海道新幹線」。
昨年末には、新千歳空港が悪天候のために長期間にわたって閉鎖されたことで、雪に強い北海道新幹線の存在が注目されました。
飛行機の代替手段になりうる可能性を示したことで札幌延伸への期待も高まる「北海道新幹線」。
新幹線の魅力は、とにかく「気軽に乗れる」というところ。
新幹線のお陰で、サッと思い立って北海道に行けるようになったような気がします。
私自身は、開業からまだ5回くらいしか乗れていませんが、また今年もH5系新幹線の雪の結晶廊下を歩いてみたいものです。
(取材・文:望月崇史)
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/