番組スタッフが取材した「聴いて思わずグッとくるGOODな話」を毎週お届けしている【10時のグッとストーリー】
今日は、離婚後、子供を抱えながら会社を興し成功。現在5つの団体の代表を務め、シングルマザーを支援する活動を行っている女性のグッとストーリーです。
母子家庭同士が集まって、助け合いながら経済的な自立を目指すシェアハウスを作りたい…
そんな夢を実現させようとしている女性起業家がいます。
名古屋市で、家事代行会社「アクショングループ」を経営する、大津たまみ さん。
11年前に離婚、当時9歳だった長男・勇人(はやと)くんを連れて家を出た大津さん。
離婚前は、夫が経営する会社の役員でしたが、退職金や慰謝料は一切受け取らず、女手一つでシングルマザーとして生きる道を選びました。
ところが、いざ就職活動を始めてみると、幼い子供がいることで、どこの会社も不採用…。
しかし、それでくじけないのが大津さんです。
「実は私の祖父も父も、自分で会社を興した起業家でした。血なんですかね…。どこも雇ってくれないなら、会社を作って、自分で自分を雇おうと思ったんです」
大津さんは、長年加入していた保険を解約。それを元手に、得意な家事・清掃を請け負う会社「アクションパワー」を設立しました。
「よく格闘技の団体と間違えられます」と笑う大津さん。この社名には「目標達成に向けて、自ら行動を起こす力」という意味と「行動する人の力になりたい」…そんな二つの思いが込められています。
ところが、すぐに資金がショート。食費を削るしかないと、子供と納豆1パックを分け合ったり、公園の水を飲んでしのぎました。
周りには「順調、順調!」と強がっていましたが、そんな苦境を救ってくれたのが、大津さんのお母さんです。会うたびにやせていく娘の姿を見て、黙って茶色い封筒を渡してくれたお母さん。中には、200万円が入っていました。
大津さんが会社を興すときは猛反対したお母さんですが、「できる子に産んだんだから、あなたはできる!」と励ましてくれました。
「母のあの一言が、今でも心の支えになっています」と言う大津さん。
それまでは、住んでいたアパートを事務所にしていましたが、お母さんから借りた200万円で、名古屋駅から歩いてすぐの場所に事務所を移転。古いビルで、下が市場という物件でしたが、一等地に進出したことで注目を浴び、業績は徐々に上向いていきました。
やがてお母さんにも200万円を返済。片付けの本も出し、本を出版するという子供の頃からの夢を叶えましたが、これが反響を呼んだことで、片腕となって会社を支えてくれた二人の役員が反発します。
「なんで、ノウハウを全部公開するんですか?これは企業秘密でしょう?」
大津さんの考え方は逆で、役立つ情報はみんなでシェアすればいい、と思っていましたが、その二人とは結局、袂を分かつことになってしまいました。さらにその頃、乗っていた車が追突事故に遭い、大津さんは一時寝たきりに…。
現場にあまり出られなくなりましたが、「考える時間が増えた」と前向きにとらえるのが、大津さんらしいところ。自分のように独立したい女性へ家事代行業のノウハウを伝えようと「日本清掃収納協会」を設立します。
他にも、自分が亡くなってから家族が困らないよう、元気なうちに持ち物を整理する「生前整理」を普及させるための協会や、女性起業家を支援する会社も新たに設立。
「自分はこんなに周りの人たちに助けてもらったのに、世の中に何も恩返しができていない。困っている人の役に立ちたいと思ったんです」…そんな思いが、大津さんを突き動かしていきました。
去年、最初に作った会社・アクションパワーの社長職を譲り、会長に就任した大津さん。
それは、母子家庭の支援事業を始めるためでした。大阪で母と子が餓死したニュースに心を痛め、「今がその時」と決断。
シングルマザーは、職探しも難しければ、住む家すら、なかなか貸してもらえない…そのことを、身にしみて知っている大津さん。新たな運営会社を立ち上げ、母子家庭4世帯が一緒に暮らせるシェアハウスを、今月、名古屋にオープンしました。
空き家になった社員寮を会社で丸ごと借り上げ、シングルマザーに安い家賃で提供。
就職も斡旋し、最長1年半をメドに、お母さんたちに自立してもらうことを目標にしています。
「同じ境遇の仲間がいれば、苦しいことは半分に、楽しいことは2倍になります。こういうシェアハウスを、これからも全国に作っていきたいですね」
番組情報
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