迷子になった少年がGoogle Earthを使って25年後に突然ひょっこり戻ってくる!【しゃベルシネマ by 八雲ふみね・第182回】

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さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は、4月7日から全国公開となる『LION/ライオン 〜25年目のただいま〜』を掘り起こします。

25年間迷子だった男の数奇な人生の先に見えるものは…。

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サルーは母親や兄妹たちと一緒にインドのスラム街で暮らす5歳の男の子。
ある日、兄と遊んでいる時に停車していた回送電車に潜り込んで眠ってしまい、そのまま遠くの見知らぬ土地へと運ばれて迷子になってしまう。
自分の家の場所が分からないサルーは、ひとりぼっちで街を彷徨い、やがて紆余曲折を経て、オーストラリアで暮らす夫婦の養子になった。

それから25年後、オーストラリアで養父母と幸せに暮らすサルーだが、ポッカリと心に穴があいているような感覚を抱いていた。
それを埋めるためにも、彼はインドにいる本当の自分の家族を捜そうと決意。

友人からGoogle Earthを使えば、地球上のどこであっても見ることが出来ると教えてもらったサルーは、わずかな記憶を手がかりに、“帰宅”への道を模索する。

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迷子になった少年が25年の時を経て、突然ひょっこり戻ってくる。
しかも文明の利器、Google Earthを駆使して…。
なんとも出来すぎた話だと思った方もいらっしゃるかもしれません。
にわかに信じ難いかもしれませんが、実話なんです!

『LION/ライオン 25年目のただいま』は、失われた人生探しのヒューマン・ドラマ。
アカデミー賞で作品賞を含む全6部門ノミネート、ゴールデングローブ賞でも4部門ノミネートを果たした笑いと涙に包まれた感動作です。

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主人公サルーを演じるのは、『スラムドッグ$ミリオネア』で一躍スターダムに躍り出たデヴ・パテル。
インドにルーツを持ちイギリスで生まれ育った出自を持つ彼が、自らサルー役を熱望したというだけあって、きめ細やかな心理描写で好演しています。

その養父母役は、オーストラリアを代表する名優、デヴィッド・ウェンハムとニコール・キッドマン。
ニコール・キッドマンと言えば、ハリウッドセレブによる養子縁組に積極的に取り組んできた一人。
彼女自身が信条としている“真のボランティア精神”をこの役を通して伝えるべく、熱のある芝居が印象に残ります。

監督は、TVシリーズ「トップ・オブ・ザ・レイク〜消えた少女〜」でエミー賞にノミネートされたガース・デイヴィス。
嘘のような本当の話をよりリアルに描き出すことで、観る人の共感を掻き立てることに成功しています。

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現在はオーストラリアで、養父母と共に暮らすサルー・ブライアリー氏。
自身の体験を元に、養子縁組の支援活動に尽力しているとのこと。
ちなみに、インドでは今も毎年8万人もの子どもが行方不明になっているという現実があります。

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LION/ライオン 〜25年目のただいま〜
2017年4月7日からTOHOシネマズみゆき座ほか全国ロードショー
監督:ガース・デイヴィス
出演:デヴ・パテル、ルーニー・マーラー、デヴィッド・ウェンハム、ニコール・キッドマン、サニー・パワール ほか
©2016 Long Way Home Holdings Pty Ltd and Screen Australia
公式サイト http://gaga.ne.jp/lion/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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