さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、4月8日から全国ロードショーとなる『T2 トレインスポッティング』を掘り起こします。
いつまでも大人になれない大人たち、彼らが見る“未来”とは。
1996年に公開され、世界中で大旋風を巻き起こした『トレインスポッティング』。
アーヴィン・ウェルシュによる原作小説を映画化した本作は、疾走感あふれる映像と音楽に乗せて、スコットランドで暮らす4人のジャンキーたちの明るくも悲惨な青春像を描いた青春映画です。
日本でも大ヒットを記録。
巷で言うミニシアターブームに拍車をかけ、90年代のポップ・カルチャーの代名詞とも呼べる作品となっています。
あれから21年、まさかまさかの続編が完成しました!
スコットランド、エディンバラ。
ヤクの取引が成功して山分けするはずの大金を持ち逃げしたマーク・レントンが、20年ぶりにオランダから舞い戻ってきた。
この地には、彼が人生を共にしてきた仲間がいた。表向きはパブを経営しながら売春やゆすりを稼業としているシック・ボーイ、家族に愛想を就かされ孤独に絶望しているスパッド、刑務所に服役中のベグビーと、当時の仲間はいまだに悲惨な生活を送り続けていた。
モノ分かりの良い大人になれず荒んだ人生を疾走する彼らは、20年の時を経て再会する…。
1作目と同様、ユアン・マクレガー、ロバート・カーライル、ジョニー・リー・ミラー、ユエン・ブレムナーがかつての当たり役を怪演。
いやぁ、改めてスゴいメンツです!
さらに監督のダニー・ボイル、脚本家ジョン・ホッジ、製作者アンドリュー・マクドナルドとオリジナルスタッフが集結しているのも嬉しい限り。
『スラムドッグ$ミリオネア』で今ではすっかりオスカー監督の称号が付いてしまったボイル監督ですが、本作における演出は相変わらずキレッキレ。
「そこまでやりますか?!」というぶっ飛びぶりで、それを俳優たちが嬉々と演じている、このコラボレーションがたまりません~。
また「トレスポ」と言えば、ポップな音楽とカラフルな映像。
今作でもその期待は裏切らず、過去のダニー・ボイル作品にも参加してきたアンダーワールドの中心人物リック・スミスが音楽を担当。
さらにザ・プロジディー、ヤング・ファーザーズ、ウルフ・アリスといった注目のUKバンドが多数参加し、新たなUKブームの火付け役になりそうな予感!?
一般的な常識で考えると、20年後に続編…というのはリスキーな一面も。
しかし改めて4人が並んだ姿を目の当たりにすると、20年という時の経過がかえって重みと円熟味を引き出しています。
それなのに彼らの行動は、昔と変わらずハチャメチャ。
まるで昔のヤンチャな旧友に再会したかのような錯覚を覚え、観る側の“あの頃”を呼び覚ましてくれるよう。
これはドラマ内の経過時間と実際に過ぎ去った歳月が シンクロしている設定であるが故、なせるワザなのでしょう。
もちろん、前作を観ていなくても楽しめるよう、ボイル監督ならではの仕掛けもたっぷり施されてますよ。
T2 トレインスポッティング
2017年4月8日(土)丸の内ピカデリーほか全国ロードショー
監督:ダニー・ボイル
出演:ユアン・マクレガー、ユエン・ブレムナー、ジョニー・リー・ミラー、ロバート・カーライル ほか
公式サイト http://www.t2trainspotting.jp/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/