さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、5月5日から公開の『カフェ・ソサエティ』を掘り起こします。
ひとりの男とふたりの女、ビタースイートな人生賛歌
80歳を超えたいまも、1年に1本のペースで新作を発表し続けているウディ・アレン監督最新作は、ビタースイートなロマンティックコメディ。
1930年代のハリウッド黄金時代、きらびやかな社交界(カフェ・ソサエティ)を舞台に、ひとりの青年と2人の同じ名前の女性との恋と人生が繰り広げられます。
映画業界で働くことを夢見る、ニューヨーク生まれの青年ボビー。
業界の有力者である叔父のフィルを頼ってハリウッドへとやって来た彼は、映画スターやセレブリティを相手にフィルの下で働くことになる。フィルの秘書を務める美女ヴェロニカ(愛称ヴォニー)と親密な関係になるが、彼女には密かに交際中の別の男性が。
やがてギャングの兄からナイトクラブを任されるようになったボビーの前に、優雅なブロンド美女が現れる。彼女の名前は、ヴェロニカ。
ハリウッドで夢中になったヴォニーと同じ名前を持つ女性に、ボビーは心が揺れて…。
オシャレなジャズのメロディーに身を委ね、真っ黒なスクリーンにキャストの名前が浮かび上がるタイトルバックを観ているだけで、早くも夢見心地。
ストーリーが始まる前からまるでウディ・アレンの魔法にかかったようで、この陶酔こそウディ・アレン作品の醍醐味と言えるでしょう。
主演を務めるのは、『ローマでアモーレ』でもアレン監督と組んだジェシー・アイゼンバーグ、彼と恋模様を繰り広げるふたりの“ヴェロニカ”に、『トワイライト』 シリーズのクリステン・スチュワートとテレビドラマ「ゴシップガール」のブレイク・ライブリー。
めくるめく高揚が立ち込めるゴージャスな作風にピッタリな眼福のキャスティングに、うっとりすること間違いなし。
アレン監督本人が務めるナレーションもシニカルで、夢の世界の“現実”を浮き彫りに。
ハリウッドが本当に“夢の都”だった当時を再現するために趣向を凝らした美術も美しく、女優陣が着こなすシャネルのドレスがより華やかさを演出しています。
もしもあの時、いまとは違う道を選択していたら…。
私たちの人生や生活において“タラレバ”はつきもの。
叶う夢もあれば、叶わない夢もある。
それでもウディ・アレンに言わせれば「人生は悪いことばかりではない」のかもしれません。
カフェ・ソサエティ
2017年5月5日からTOHOシネマズみゆき座ほか全国ロードショー
監督・脚本:ウディ・アレン
出演:ジェシー・アイゼンバーグ、クリステン・スチュワート、ブレイク・ライブリー、スティーヴ・カレル、パーカー・ポージー ほか
©2016 GRAVIER PRODUCTIONS, INC.
公式サイト http://movie-cafesociety.com/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/