さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、6月3日から公開の『ブラッド・ファーザー』を掘り起こします。
アウトローなサバイバル術で、生き別れの娘を守れ!
ハリウッドを代表するスター俳優であり、映画監督としても良作を生み出すヒットメーカーとして高い評価を受けるメル・ギブソン。
しかし飲酒運転やDV騒動、差別発言と度重なるお騒がせ報道から、いまではすっかり“過去の人”…という印象を持つ人もいらっしゃるかもしれません。
そんなメル・ギブソンに、復活の兆しが見えています。
本年度アカデミー賞に多数ノミネートされた監督作『ハクソー・リッジ』、そして待望の主演作『ブラッド・ファーザー』です。
かつては犯罪に手を染めていたが、現在ではトレーラーハウスでアルコール依存症のリハビリをしながら細々と暮らすジョン・リンク。
血なまぐさい世界から足を洗った彼の前に現れたのは、数年前から行方不明となっていた一人娘のリディアだった。ジョンの記憶と比べるとすっかり不良娘となってしまったリディアは、ギャングと起こしたトラブルが原因で、警察と殺し屋の両方から追われているという。
窮地に陥った娘を救うため、リンクはこれまで培ったアウトローのサバイバル術を駆使して、敵を迎え撃つことを決意する…。
メル・ギブソンが演じるのは、娘を守るために戦う父親ジョン・リンク。
顔に刻まれたシワの数だけ人生の酸いも甘いも知り尽くすアウトローなキャラクターは、やはりメル・ギブソンの真骨頂。
ハーレーにまたがって爆走する姿も、相手に噛みつかんばかりに剥き出しにする狂気も、メル・ギブソンがアクション俳優としてまだまだ現役であることが伺え、思わずニヤリ。
脇を固めるのは、娘のリディア役にエリン・モリアーティをはじめ、ディエゴ・ルナ、ウィリアム・H・メイシーとひとクセある面々。
『アサルト13 要塞警察』のジャン=フランソワ・リシェが監督を務め、フィルムノワール的なスタイリッシュな世界観の中に父と娘の愛憎劇を描き出しました。
娘を守るという使命を通じて生きる気力を取り戻していくジョン・リンクを観ていると、過去の栄光とは対照的に、公私にわたるスランプに苦しみながらも復活を遂げたメル・ギブソン自身に重ねてしまいます。
彼のファンならば監督作ももちろん大歓迎ですが、やっぱりアクションスターとしての勇姿を期待するのではないでしょうか。
この映画には、みんなが観たかったメル・ギブソンが存在しています!
ブラッド・ファーザー
2017年6月3日から新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
監督:ジャン=フランソワ・リシェ
出演:メル・ギブソン、エリン・モリアーティ、ディエゴ・ルナ、ウィリアム・H・メイシー ほか
©Blood Father LLC, 2015
公式サイト http://b-father.jp/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/