7/4(火)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②
戦略的に“いい人”となる中国のしたたかさ
7:02~ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター富坂聰(拓殖大学教授・ジャーナリスト)
本来ならば中国の国際ニュースでは取り上げない東京都議会議員選挙ですが、今回の都議選での自民党の大敗についてはかなり大きく報道されているとのことです。
中国でも大きく報道された都議選での自民党惨敗
高嶋) 東京都議会議員選挙の安倍自民党の敗北が中国でもニュースになっているようで。
富坂) トップニュースというわけではありませんが、けっこうな尺を取っていて。1時間のニュース番組の中で7、8分はやっていました。国政にかなり影響してくるのではないかということです。論評は加えないので「日本のメディアはこのように放送していましたよ」とさらっとやっていましたが。
高嶋) 気にはしているということですよね?
富坂) すごい気にしていました。ネガティブに報道するよりも「こうなっているんだよ」という感じでした。
“管理可能な相違”という立場をとる米中
高嶋) G20がドイツで始まります。習近平さんがドイツに行く前にロシアに訪問すると。
富坂) 3日に旅立ち、プーチン大統領と会って話をしてからドイツに向かいます。
高嶋) その前にアメリカのトランプ大統領は習近平国家主席と電話会談をやったと。この辺の動きが非常に大きいですが。
富坂) 日本では、北朝鮮問題が上手くいっていないからトランプ大統領が中国を攻めたと報じられて、協調が駄目になっているという話ですが。日本から見ると中国とアメリカが右や左に行ったり長くなったりいちいち報道されますが、そういう感じではない。対立するところはする、と最初から彼らは言っています。全体的に大火事にはしないが、火種はたくさん持ちましょうね、というのが戦略的関係なので。例えば北朝鮮でぼぼっと燃えるということは各論で燃えるということで、大火事にはなりません。米中関係という基本をつくったというのが『マールアラーゴ』での一番大事なところなのです。幹の部分は揺らさないで他の部分で対立しましょうと。彼らは「管理可能な相違」という呼び方をします。
中国は戦略的に“良い人”のポジションを取りにきている
高嶋) 富坂さんの解説を冷静に聞いているとそんなに大きな動きがあるわけではないと。しかしニュースでは、アメリカが金融制裁を発動して北の資金洗浄に関与か、アメリカ国内の資産を凍結というようなこととか。それから台湾に武器強要を発表など、大変じゃないかと思いますが。
富坂) 担当銀行とか個人に制裁したと発表した人のコメントを聞くと「これは銀行と個人に対するもので、中国政府の制裁ではない」とわざわざ一言入れたりしています。アメリカはなかなかしたたかな国で、南シナ海で去年あれだけやっておいて習近平との会談の中では「領有権の問題ではわれわれは中立です」と言いました。聞いていた人が「ええ?」と感じになることを平気で言う。これは彼らが自分たちの攻撃のための最大限の戦いをやるわけで、対立するのは当たり前。だけど対立しながら「あなたもこれだけ得しなさいよ。私もこれだけ得をする」「じゃあ手打ちね」と利害調整して、ぶつかるけど「あなたのこと嫌い!二度と会わないわ!」にはならない。
高嶋) 遠くから中国をぼんやり見ていると良い人になってきたような気がしますが。気のせいですか?
富坂) 彼らは良い人ではなく、戦略的にそのポジションを取りにきています。「革新的利益」とキーキーしなくなった。日本のネガティブ情報も出さなくなり、戦略的、段階的にこのポジションが大事だと思ったらさっと取る。中国がそういうことをすると自覚しないと足元をすくわれます。