振り込め詐欺のルーツは中国か日本か?【高嶋ひでたけのあさラジ!】
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7/13(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!①
日本の振り込め詐欺のアジトが中国・福建省で発覚
6:31~ニュースやじうま総研!ズバリ言わせて!:コメンテーター山本秀也(産経新聞論説委員)
日本人35人が振り込め詐欺で中国警察に拘束中国の福建省にて、日本人35人が振り込め詐欺に関わった疑いで中国警察に拘束された。
福建省は「電信詐欺の里」と呼ばれるほど、犯罪がもはや村ぐるみの「産業」と化していたという。高嶋)先日、中国の福建省で、日本人35人が、振り込め詐欺関係で拘束されたとか……
山本)そうです。「中国で日本人が捕まった」と聞いて、またスパイ容疑云々の難癖をつけられたのかと思いきや、今度は刑事犯罪でして。しかも、被害は千葉県。千葉県のお年寄りを騙していたグループということで、日本の警察からの依頼により、中国の警察が「御用だ」と踏み込んで捕まったのが35人。こういう話のようです。
高嶋)中国で日本流の振り込め詐欺を何と呼ぶのかは分かりませんが、流行っているのですか?
山本)「電信詐欺」や「電信インターネット詐欺」と呼びます。あまり面白い名前ではないですね。「振り込め」とか「オレオレ」ではない。そのものズバリの名前です。電話やSNSでショートメールを送り、「お母さん、お金がいる。助けて」とか、そういったものを送るわけです。
高嶋)今回の35人の日本人は、中国に逃げ込んでいたのですか?
山本)逃げ込んでいたというより、積極的に電話をかけるアジトを作るために……電話拠点を作り、そこから千葉県に電話をかけて悪事を。
高嶋)雇われていたのですか? それとも、自分たちが中心だったのですか?
山本)犯行グループがどんな割り振りだったのかは不明ですが、普通は上に親玉がいるはずです。オレオレ詐欺、振り込め詐欺のグループは大体ピラミッド型で、分業でやっています。犯行の絵を描く胴元がいて、その電話をかける、かけ子。それから、ATMに行ってお金を引き出したり受け取りに行く出し子。出し子がいちばん捕まりやすいのですが、組織をバラバラにしておいたほうが、犯行の実体が捕まりにくい。特に海外にいると、いきなりは捕まりませんからね。それで、福建省にアジトを作った。
伝統文化の影響で村ぐるみ、家族ぐるみの犯罪になりやすい高嶋)驚いたのは、これは産経新聞の報道ですが、「茶の産地として有名な福建省は、『電信詐欺の里』と呼ばれるほど、犯罪に手を染めるものが多く、家族ぐるみや村ぐるみの産業となっている」とか。
山本)たしかに烏龍茶の産地ですが……少し前まで、村ぐるみで海外への密航を斡旋していた「蛇頭」を覚えていますか? そのあとは地下銀行の里でもあった。ファミリービジネスや村ぐるみで同じ業態の仕事をやる、というのが表の仕事でも伝統があるところなので、裏ビジネスでも同じことが行われてしまうということですね。地域ごとに村とか家族という小さい単位の繋がりが強いですから。
高嶋)村や家族なら、中国の「電信詐欺」はやりやすいですよね。子供もいれば、老人もいるし。
山本)それから、隣人もよく知っていますから……
儒教文化のアジア圏は「振り込め詐欺」がやりやすい高嶋)狙いは日本なのですか?
山本)いえ、日本とは限りません。この「電信詐欺」というのはややこしくて、中国で普及させたのは台湾人のグループです。中国を拠点に、台湾のお年寄りを騙したりして、台湾のATMから金をかき集めて、逃げるというのをやっていたのです。そのやり方を学んだ中国のグループ。あるいは、「中国のお年寄りが小金をため込んでいる」と聞いて、逆に台湾のグループがアフリカ辺りに出かけて電話をかけて。それで、アフリカで捕まって中国に身柄を持って行かれてしまった、という連中もいます。
高嶋)ちょっと質問です。日本で言う「オレオレ詐欺」、この雛形というのは、日本オリジナルではないのですか?
山本)「どこ」と言われると、私もそこまで詰めていないのですが、ひとつ言えるのは、家族関係につけ込んでくるでしょう? ということは、家族一体の文化がないと機能しない。たとえばアメリカでテキサスにいる親にかけて「そんなの知らないよ」と言われたらお終いなので、家族関係が密な文化でないと、この犯行は成り立ちません。アジア的ですね。儒教文化が背景にないと、これはダメ。
高嶋)なるほど。発祥の地はどこかは分かりませんか……
山本)まあ、日本っぽい感じはしますね。
高嶋)でも、そういうのをすぐに取り入れるのはスゴいですよね。
山本)儲かるなら、貪欲に何でもしますから。