“海外版のざわちん”?! 絶世の美女かと思えば実は…『ダイ・ビューティフル』【しゃベルシネマ by 八雲ふみね・第245回】

By -  公開:  更新:

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は7月22日から全国順次公開の『ダイ・ビューティフル』を掘り起こします。

“ミスコンの女王”として知られたトランスジェンダー、死と波乱に満ちた生涯

ミス・ゲイ・フィリピーナに輝いたばかりのトランスジェンダー、トリシャ・エチェバリアが急死した。

彼女の遺言は、7日間にわたる通夜を、毎日、違うセレブに似せた死化粧で飾ってほしいという、ちょっと変わったもの。
そこで友人のメイクアップ・アーティストはアンジェリーナ・ジョリー、レディ・ガガ、ジュリア・ロバーツそっくりのメイクを彼女に施す。

しかし弔問客の一人がトリシャの葬儀の様子をSNSに投稿し、大きな話題となったことで事態は急変。
実はトリシャの遺体は「男に戻して弔う」と主張する実の父親のもとから、仲間たちが盗み出して来たのだった。
果たしてトリシャの遺言どおり、無事に葬儀を終えることが出来るのだろうか…。


ここ数年、国内の映画祭でも度々取り上げられているフィリピン映画。
中でも本作は、第29回東京国際映画祭で最優秀男優賞と観客賞をダブル受賞した折り紙つきの秀作。
“ミスコンの女王”として名を馳せたトランスジェンダーのカラフルで壮絶な人生を描いた意欲作です。


主演のパオロ・バレステロスは、主演“男優賞”を受賞…ということからもお分かりいただけるよう、もちろん男性。
フィリピンでは俳優、テレビ番組の司会者、そしてメイクアップ・アーティストとして活躍中の人気者なのですが、彼を世界的に有名にしたのがインスタグラム。
男性なのにハリウッドセレブのものまねメイク写真を自身のSNSで披露していることで、日本でも数年前から“海外版のざわちん”と話題になっていました。

厳格な父親との対立、愛する男性からの裏切り、身寄りのない子どもを引き取って育てる“母性”、ミスコンの女王に憧れて奮闘する日々。
男性に生まれながら女性として生きたいと願うトリシャの胸の内を、繊細かつ豪快に演じきっています。

監督はフィリピンでは売れっ子監督のひとりである、ジュン・ロブレス・ラナ。
愛を求め、裏切られてもなお差別や偏見に立ち向かうトリシャの生き様を、笑いも交えながらドラマティックに映し出しました。


目を見張るのは、やっぱりパオロ・バレステロスのセルフメイク。
元々イケメンの俳優さんではありますが、どちらかというと男性的な骨格の持ち主。
それがあんなに女性的に、華やかに変身するとは。
いまやメイクで“化ける”のは、女性だけの専売特許ではなくなった⁈
どのシーンがどのセレブのものまねメイクか、考えながら観るのも楽しいかも。


ダイ・ビューティフル
2017年7月22日から新宿シネマカリテほか全国順次公開
監督・プロデューサー・原案:ジュン・ロブレス・ラナ
出演:パオロ・バレステロス、クリスチャン・バブレス、グラディス・レイエス、ジョエル・トーレ
©The IdeaFirst Company Octobertrain Films
公式サイト https://www.cocomaru.net/diebeautiful

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

Page top