番組スタッフが取材した「聴いて思わずグッとくるGOODな話」を毎週お届けしている【10時のグッとストーリー】
きょうは「サザン・達郎・ユーミン オールリクエスト」にちなんで、サザンオールスターズ・桑田佳祐さんを少年時代から知る方にお話を伺ってきました。
茅ヶ崎のパン屋のおばちゃんに、桑田さんから届いた1通の手紙とは??
JR茅ヶ崎駅南口とビーチを結ぶ「雄三通り」。茅ヶ崎育ちの加山雄三さんにちなんだこの通りで、60年も営業を続けている小さなパン屋さんがあります。お店の名前は、清い月と書いて、「清月(せいげつ)」。実は雄三通りは、桑田佳祐さんが中学校へ通っていたときの通学路で、当時、佳祐少年は「清月」へ毎日のように通っていました。
「佳祐は、中学のとき野球部でね。部活が終わると、まっすぐウチへ来て『おばちゃん!腹へった!なんかない?』ってうるさかったんですよ」と語るのは、ご主人が亡くなった後もお店を一人で切り盛りしている、高橋ツナ子(たかはし・つなこ)さん・83歳。
早朝からサーファーたちがパンを買いに来るので、高橋さんは毎日、深夜0時に起きて調理パンをせっせと作り、毎朝5時半にお店を開けます。昼過ぎにパンが売り切れると閉店。中でも人気のパンが「サザン佳祐ドッグ」で、ホットドッグ用のパンに、魚肉ソーセージと、レタス・トマトを挟んだ、ごくシンプルな一品です。この名前はもちろん、桑田さん公認。
「部活が終わる夕方には、お店のパンはほとんど売り切れるんですよ。でも佳祐が『おばちゃん!なんかない?』って言うから、店にあるもので作ってあげたの」という高橋さん。
佳祐少年はこのパンが大好物で、これを食べると上機嫌になり、店の前の道路で『ローハイド』を歌っていたそうです。「思えば佳祐はその頃から、歌が上手でしたよ」という高橋さん。「登校前にもよく来たんだけど、8時半からの授業に遅れないよう『8時15分までに来ないと、パンは売ってあげないよ!』なんて……私、おせっかいなんですよね」
まるでお母さんのように、桑田さんに接していた高橋さん。桑田さんも高橋さんを母親のように慕い、結婚する際も、夫人の原由子さんを連れて、お店に挨拶に来たそうです。2000年8月にサザンが茅ヶ崎球場で凱旋ライブを行った際は「ゆかりの人」としてインタビューを受け、そのVTRがライブ中に流れたことで、「清月」にやって来るサザンファンも、グッと増えました。
「茅ヶ崎球場には招待されて行ったけど、急に私が出てきたんで、ビックリしたわよ!こんなにたくさんの人が、佳祐を応援してくれてるんだと思うと、胸が熱くなりました」
以来、サザンのライブに通い続けている高橋さん。桑田さんのがん闘病が明らかになった際は、お店に来たサザンファン全員に折り紙を渡し、千羽鶴を1,000羽折って送ったり、陰ながら桑田さんを応援してきました。
10年ほど前、腰を痛め「開店から50年経つし、そろそろ潮時かな」と閉店を考えたこともあったそうですが、そのことを人づてに聞いた桑田さんから、高橋さん宛てに手紙が届きました。
手紙には、高橋さんへのエールが便箋5枚にわたって綴られており、最後はこんな一言が。
「清月の灯を消さないように、頑張れますか?おばちゃん」
その一言に涙が出て、お店を続けていく気になったという高橋さん。「清月」には今も「おばちゃんにぜひ一度逢いたい」と、全国からわざわざやって来るサザンファンが大勢いるのです。
【10時のグッとストーリー】
八木亜希子 LOVE&MELODY 2017年8月26日(土) より
番組情報
あなたのリクエスト曲にお応えする2時間20分の生放送!
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