奄美大島で保育園を引き継ぎ教育に力を注ぐ若き園長さん
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番組スタッフが取材した「聴いて思わずグッとくるGOODな話」を毎週お届けしている【10時のグッとストーリー】
きょうは奄美大島で、お母さんが始めた保育園を引き継いで、幼児教育に力を注ぎ、奄美のための活動にも力を入れている、若き女性園長のグッとストーリーです。
美しい自然とコバルトブルーの海に囲まれた、鹿児島県・奄美大島。島で生まれた子どもたちを、「強く、明るく、のびのびと」という教育方針で育て、人気を集めている保育園があります。
「うちは“お遊戯会”に力を入れているんです。子どもたちが保育園でしか見せない、日々成長している姿を、ぜひ保護者の方々にも見てほしいと思って…」
そう語るのは、奄美市の「さくら保育園」の園長・新納貴子(にいろ・たかこ)さん・32歳。0歳児から2歳児まで、14人の園児を預かっている認可保育園の若き園長さんです。
「子どもたちは、家庭で見せる姿と違う、保育園での姿があるんです。保育園にいるときは、他の子たちとちゃんと関係性を作って、成長しながら過ごしているんです」という貴子さん。
しかし、親御さんたちはその姿を知りません。子どもの成長をその目で見て、喜んでもらうことで、子どもたちの自信にもつながっていきます。お遊戯会の準備には毎年全力で取り組み、保護者からも好評を得ています。また、夏の恒例行事「奄美まつり」のパレードにも毎年保育園として参加。ダンスをしながら行列に加わるかわいい園児たちの姿に、今年も沿道から大きな拍手が贈られました。
若くして園長を務め、幼児教育に情熱を燃やす貴子さんですが、もともとは別な夢を持っていました。
「子どもの頃は、音楽の道に進みたいと思っていたんです。高校までピアノ一筋でした」
「さくら保育園」の創立者でもある母親・輝美(てるみ)さんの薦めで、小学校3年生から本格的にピアノを習い始めた貴子さん。始めて1年も経たないうちに、奄美大島のピアノコンクールで最優秀賞に輝き、一躍注目の存在になりました。それから毎日10時間ほど、鍵盤に血が付くほどの猛練習を重ね「将来は音大へ進みたい」と思っていましたが、進路決定の際、両親から思わぬ言葉が…
「音大ではなく、普通の大学に進学してほしい」
貴子さんは、当然猛反発。
「私にピアノを薦めたの、お母さんじゃない! 何で音大に行っちゃダメなの??」
結局、両親の意向を汲んで、東京の短大の経営科に進んだ貴子さん。音楽から少し離れてみて、貴子さんは初めて、親心に気付きます。
「私、コンクールでもプレッシャーに弱かったんです。そんな心の弱さを、母は見抜いていたんですね」
…ピアノの技術よりまず、心を鍛えてほしい。
短大で、改めて自分を見つめ直した貴子さん。周囲は資格取得を目指し、勉強に励んでいましたが、音楽の道から転向した自分には特に目標がなく、就職も決まらない日々…そのまま卒業式を迎えた貴子さんでしたが、「教育が私の最後の使命」という、大学創立者のスピーチに胸を打たれました。
「そうだ、私も教育の道に進もう!」
その頃、母・輝美さんが体調を崩していたため、一旦奄美に帰って、通信制大学の教育学部に入学。働きながら教員を目指した貴子さん。幼い頃は、ほぼ休みなしで働く輝美さんの姿を見て
「何であんな大変な思いをしてまで、保育園をやっているんだろう? 私はゴメンだな」
と思っていましたが、教育実習で、母校の小学校の教壇に立ち、児童たちと触れ合ったとき、初めて輝美さんの思いが理解できました。
「お母さん、私も保育士になる! 一緒に働かせて!」
貴子さんは保育園の仕事を手伝いながら、去年の春、保育士試験に合格し、認可施設となった「さくら保育園」の園長に就任。3歳以上の子どもたちのために、認可外の施設も残し、そちらは、母の輝美さんが園長を務めています。妹の由美(ゆみ)さんも保育士になり、母娘(おやこ)3人で、幼児教育に情熱を注いでいる新納(にいろ)さん一家。
貴子さんも、廻り道をしましたが、ピアノも、短大で経営を学んだことも、すべて今の仕事に活かされています。園児たちの成長には個人差がありますが、貴子さんはいつも、心の中でこう語りかけています。
「急がなくていいんだよ、自分らしく生きていこうね」
【10時のグッとストーリー】
八木亜希子 LOVE&MELODY 2017年9月16日(土) より
番組情報
あなたのリクエスト曲にお応えする2時間20分の生放送!
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