衆院選~わかりますか?「リベラルと保守の違い」
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10/19(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③
存在感強める“リベラル派”の立憲民主党
7:10~ やじうまニュースネットワーク:コメンテーター 佐藤優(作家、元外務省主任分析官)
衆院選~投票日まであと3日~各党の動き
衆議院選挙は投票日まであと3日。与野党は昨日も義気線区を中心に幹部を投入して追い込みをかけました。自民党総裁の安倍晋三総理大臣は埼玉県川越市などで街頭演説をしまして、野党時代の自民党を振り返って「私たちは党名を変えようとは思わなかった」などとアピールしました。その後、希望の党の小池百合子代表の側近が立候補している東京10区に入りまして、自民党公認候補の支持を訴えました。
希望の党の小池代表はさいたま市などで「安倍一興政治を許すまじ」と力説しまして、加計学園問題などを踏まえ「お友達と共に進める政治からの決別」を訴えました。また公明党の山口那津男代表は横浜市で立憲民主党と共産党の連携に触れまして「共産党は自衛隊を違憲とし、立憲民主は存在を認めている。政策が正反対だ」と非難しました。
共産党の志位和夫委員長は北九州市で「森友・加計学園問題の徹底究明に力を尽くす」と述べました。立憲民主党の枝野幸男代表は「与党候補の当選を阻むために自らの党にこだわらず、当選可能性のある候補を支援する戦略的投票」を掲げまして、昨日は新潟5区の無所属候補応援のため新潟県長岡市に入りました。また日本維新の会の松井一郎代表は大阪市で「国会議員の報酬削減の必要性」を主張し、社民党の吉田忠智党首は宮崎市で、日本のこころの中野正志代表は東京都内でそれぞれ支持を呼びかけました。
こうした中、希望の党の小池代表は昨日テレビ番組で公認候補の選別で排除すると述べたことについて「言葉の使い方は本当に気をつけなければならないと改めて感じた。それによって傷つけるつもりは全くない」と弁明しました。これについて民進党の玄葉光一郎元外務大臣は昨夜「排除という言葉を使わなかったら今頃自民党と競っていた」と述べまして、小池代表を批判しました。一方、政府与党は選挙を受けた総理大臣指名選挙について来月11月1日に召集する特別国会で実施する日程を軸に最終調整に入りました。11月1日中に新内閣が発足する見通しで、アメリカのトランプ大統領が11月5日から7日に来日する前に新しい内閣発足の手続きを終わらせようという狙いもあるそうです。
小池代表「排除」発言弁明も後の祭り
高嶋)いろんな視点がありますけれども、佐藤さんは「政治は言葉の芸術だ」とおっしゃいます。小池さんが発した言葉が大変な契機になって大きく逆転現象が起きました。小池さんが発言を訂正しましたが。
佐藤)完全に後の祭りですね。『排除』というワーディングがどういうイメージを持たせるのかということ。同じ意味でも別の言い方がありますよね。「考え方を共にする人たちと一緒にやりたい」と。「そうではない人はどうしますか?」と聞かれても「それはその人のためにもご遠慮願ったほうがいいんじゃないか」くらいだったら、こんなに大きな騒動になりませんでした。
高嶋)丸い卵も切りようで四角というやつですね。
佐藤)もうひとつは、彼女の側近である若狭勝さんの「次の次」ですね。今、全力を尽くしていないという話になりますから。
高嶋)総理を狙うのは次の次というね。ここまで来ちゃうと今日の報道を見ていても、小池都政に職員の不満爆発とか。『都政新報』という専門誌があるみたいですが」、花田紀凱さんが書いている「傲慢に事務、小池都政の前途多難」とあって。都の職員が小池百合子都知事を支持するのが46.6%で、舛添要一さんは63.6%、石原慎太郎さんは71.1%もあったと。週に3回しか来ない石原さんでさえ70%も超えていたのに。
佐藤)それは「亭主元気で留守がいい」で(笑)、来ないと自由にやれますからね。都の役人に支持されているから都民にとっても良いことなのかは別です。
リベラルと保守の違い~日本では「護憲の人がリベラル」「改憲の人は保守」
高嶋)朝日の世論調査で、比例投票先立憲伸び13%。自民は34%、希望は11%です。立憲民主党ができたおかげで、改めてリベラルと保守は何なの? どう分けるの? という方がけっこう多いのですが。
佐藤)リベラルというのはヨーロッパとアメリカで意味が違います。ヨーロッパは「俺に触るな、政府は介入するな」と。アメリカでは「政府が介入して福祉政策をやる」ことです。だから国によってリベラルが違います。本来なら「俺に触るな」です。人に危害を加えない限り勝手にやらせると。リベラリズムの基本は愚行権、他人が愚かなことをすることを認めるということです。ところが日本のリベラルはヨーロッパとアメリカとも違って、「護憲の人をリベラル」と言って「改憲の人を非リベラルもしくは保守」と言います。
高嶋)憲法というものを軸に取れば改憲が保守で、護憲がリベラルと。
佐藤)リベラルという人はだいたい増税が嫌いですね。アメリカのリベラルだと税金を増やして福祉を充実させます。日本のように俺たちに触るなということならば、規制はできるだけ緩和しないといけないけれども逆に規制を緩和するのが嫌いですね。だから不思議な現象です。
立憲民主党ができたのは前原さんのおかげ
高嶋)佐藤さんは立憲民主党ができたことに対してどう評価していますか?
佐藤)これは前原さんの成果ですよね。前原さんが希望の党へ合流して、小池さんが排除という言葉を言わなければ生まれてこなかった政党ですから。立憲民主党に行った人たちは民進党のままで何人生き残れたのか全然わからないので、前原氏が押したことによって結果として一番裨益したと。腹の中では前原さんありがとうというところだと思います。
高嶋)連合で小野裕次郎会長などと会談をしましたが。あれは1時間会談ではなくて話したのは30分もありませんとか。どこまで話したか覚えていませんとか。出てくる話が酷いですよね。
森田)結局、連合派自主投票というか。連合としては個別に支援していくと。
佐藤)連合の中でそもそも持っている総評・同盟、水と油の労働組合を合わせて、労働運動の一体化をしたと。また総評・同盟が先祖返りしています。だから組織として意思決定ができません。
高嶋)昔は総評・同盟と言えばわかりやすかったですけど、今はごちゃごちゃしてよくわかりませんね。
現在の安倍支持は消極的支持
高嶋)安倍さんもまた妙に自信を持つのではないでしょうか。
佐藤)自信を持つと思いますけど、安倍さんの支持率は決して多くはないですよね。国際情勢が混乱している中において、日本の政治も混乱すると悪いことがあるのではないかと。そういう意味合いでの消極的支持ですよね。例えば今ここに30センチの物差しがあるとして、保守的な勢力が8割くらい。それが物差しでは5センチくらいのところに集まっています。そして一番左に共産党が5ミリくらい、立憲民主党は政策や彼らのキャリアを見て右側10センチ以内ですよ。公明党は政策的にいうと立憲民主よりは左だと思います。
高嶋)若い人は公明党とか共産党のほうが保守だというイメージを持っているようで。
佐藤)保守革新というイメージよりも、守旧と改革ですね。共産や公明党という党名が変わらない長くある政党は守旧になりますよね。自民党は政党ではありませんから。もはや権力です。だから権力党でほぼ政府と一体化したものとして見られていますね。あまり大きくなりすぎると党内政局が起こります。
高嶋)最後に一言お聞きしたいです。もりかけ問題、官僚の弱腰を相変わらずになりますか?
佐藤)なります。それからその辺の問題が噴出してきて、かなり深刻なスキャンダルに次の政権も続いていくと思います。
高嶋)まだどういう結果になるかわかりません。
高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00