【ペットと一緒に vol.53】
今回は、犬と暮らし始めたことがきっかけで、健康な生活へと一新。さらに愛犬のために始めた手作りごはんがきっかけで、脱サラして犬ごはんのブランドまで立ち上げることになった安藤愛さんのエピソードをご紹介します。
ローズがくれた健康な暮らし
40年間あまり暮らした東京を離れて単身+4頭の愛犬と海辺の町に移り住んだ、安藤愛さん。その人生を大きく変えたのは、ミニチュア・ダックスフンドのローズとの出会いでした。
広告代理店の営業職で、残業続きで海外出張も多く、さらには毎晩のように朝まで飲む生活を送ってきた愛さん。ふとしたきっかけでローズを家族に迎えてからというもの、「ローズが待っているから、仕事が終わったらすぐに帰宅したい」、「週末は自然のあるところへローズと出かけよう」と思うようになったと言います。
ローズとの生活でまず変わったのは、愛さん自身の健康状態でした。それまでは健康診断で「C」や「D」といった判定が並んでいたのに、ほぼ「A」へと判定が好転したのです。
「たぶん、ローズとの生活で不摂生が改められたからですね。もともと料理が大好きでしたが、ローズが来てからは外食をやめて栄養バランスを考えながら自宅ごはんに切り替えました。それから、早朝や週末に太陽の光を浴びながら散歩をするのも良かったに違いありません」と、愛さん。
犬との暮らしが健康維持や健康促進に役立つという研究結果は各国で出されていますが、まさに、愛さんこそローズによって健康を取り戻せた良い例と言えます。
犬の手作りごはんの道へ
愛さんはローズに加えて、ローズの赤ちゃん3頭とも暮らし始めました。子犬を育てながら、実は大きな壁にぶち当たったとか。
「ローズはカリカリごはんでも、なんでも食べる子だったんです。なのに、そんなローズママを持ちながら、子犬はどんなドライフードも食べようとしないんですよ」と、愛さん。そこで、これまでも、ローズのごはんに自分の料理で使う食材をトッピングしてはいたものの、完全なる手作食にチャレンジすることに。
「市販のドッグフードを断固拒否する子犬たちが、私の人生をさらに予想しなかった方向へと導いていきましたね(笑)」。
愛さんがまず始めたのは、きちんとした手作り犬ごはんを作れるようになるため、ペット食育協会の講座を受講したこと。手作りごはんにしてから、子犬たちはもちろん、ローズもさらに目を輝かせて食べるようになったそうです。
さらに、愛さんの手作り食への探究心は高まるばかりで、同協会が認定するペット食育准指導士にまでなりました。
「愛犬たちとの時間が、自分の時間。愛犬の幸せが、私の幸せ。それを大切にしたくて、ついには週末だけゆったり過ごせる家を探し始めました。ところが、なんと! 理想以上の家を見つけてしまって(笑)。結局は20年間のサラリーマン生活に終止符を打ち、鎌倉に移り住んでしまったんです」と、愛さんは微笑みます。
引越し先で愛犬との関係性もさらに良好に
愛さんは退職後、飼い主さんと愛犬が幸せになれることを願って「Seaside Rose」というブランドを立ち上げました。「良質な食材を使用した犬の手作りごはんやおやつ、さらには、忙しい飼い主さんのためのカリカリフードを企画開発してネットショップで販売しています。飼い主さんのごはんを作る際にワンちゃんのごはんも一緒に作るというコンセプトの料理教室も、主催しています。かわいい愛犬たちを残して出勤しない生活が、本当に幸せです」と語る愛さん表情は、本当にやわらか。
実は海辺の町に暮らし始めてから、愛犬の笑顔が増えたことに気づいたそうです。「東京にいた頃は、4頭まとめての散歩ばかり。でも、脱サラして時間が増えたし、このあたりは道幅が狭いので、安全のために1頭ずつ散歩する機会がぐっと増えたんです。そうしたら、どの子も、なんだか散歩中穏やかなんですよ」とのこと。
多頭で散歩をすると、我先にと前へ出ようとしたり、群れ意識が高まってしまうためにほかの犬に吠えやすいというのはよく聞きます。「まさに、ローズ一家もそんな感じ(笑)。でも、1頭で散歩するとほかの犬には吠えなくなるし、車などを避けるために私に抱っこされると、うれしそうな顔をしているし……」と、1対1で接する機会が増えたすべての愛犬たちと、絆がより深まったと実感しているそうです。
1頭の犬との出会いが人生をこんなにも健やかに一新させて、さらには新しい場所で新しい仕事を始めるにきっかけになるとは思いもよらなかったと振り返る愛さんの日に焼けた姿が、とても印象的です。
連載情報
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著者:臼井京音
ドッグライターとして20年以上、日本や世界の犬事情を取材。小学生時代からの愛読誌『愛犬の友』をはじめ、新聞、週刊誌、書籍、ペット専門誌、Web媒体等で執筆活動を行う。30歳を過ぎてオーストラリアで犬の行動カウンセリングを学び、2007~2017年まで東京都中央区で「犬の幼稚園Urban Paws」も運営。主な著書は『室内犬の気持ちがわかる本』、タイの小島の犬のモノクロ写真集『うみいぬ』。かつてはヨークシャー・テリア、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らす。東京都中央区の動物との共生推進員。