菅田将暉×桐谷健太×板尾創路、アホで愛おしい青春物語『火花』

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【しゃベルシネマ by 八雲ふみね・第313回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は、11月23日から公開の『火花』を掘り起こします。


又吉直樹の芥川賞受賞作、待望の実写映画化

菅田将暉×桐谷健太×板尾創路、アホで愛おしい青春物語『火花』
スパークスというコンビでデビューするも、まったく芽が出ないお笑い芸人の徳永。彼はある日、営業先の熱海の花火大会で先輩芸人の神谷と出会う。

あほんだらというコンビで常識の枠からはみ出し漫才を披露した神谷に魅了された徳永は、神谷に「弟子にして下さい」と志願。神谷はそれを承諾、その代わりに「俺の伝記を作ってほしい」と徳永に頼む。その日から、徳永は神谷との日々をノートに書き綴ることに。

人間味にあふれ天才的な発想の持ち主である神谷に惹かれる徳永。二人は毎日のように芸についての議論を交わし、仕事はほぼないものの才能を磨き合う充実した日々を送るようになる。しかしそんな二人の間に、いつしか意識の違いが生まれるようになり…。

菅田将暉×桐谷健太×板尾創路、アホで愛おしい青春物語『火花』
漫才の世界に夢を持って身を投じるも、結果を出せず底辺でくすぶっている青年と、強い信念を持った先輩芸人。現実の壁に阻まれ、才能と葛藤しながら歩み続ける青春物語「火花」。

お笑いコンビ ピースの又吉直樹による第153回芥川賞受賞作が、待望の実写映画化となりました。原作者・又吉の先輩芸人である板尾創路がメガホンをとり、板尾監督ならではの視点も盛り込みながら“芸人”の世界を鮮やかに映像化しました。

菅田将暉×桐谷健太×板尾創路、アホで愛おしい青春物語『火花』
幼いころからのお笑い芸人への夢を追う徳永役には菅田将暉。幅広い役どころを我が物とする演技巧者の彼ですが、年相応の“普通の”青年を演じる姿は意外にも新鮮。クライマックスのスパークスの漫才シーンも必見です。

一方、稀有な才能を持つ芸人・神谷を演じるのは桐谷健太。神谷が持つ独特の人懐っこさとカリスマ性は俳優・桐谷健太にも通じるものがあり、こちらもハマリ役です。

ふたりは各方面から出演オファーが絶えない人気俳優で、ともに関西出身。彼らが並ぶと自然と“徳永と神谷”に見えるほど違和感がなく、芝居を超えた相性の良ささえ窺えます。

そして二人が歌う主題歌は、ビートたけし作詞作曲「浅草キッド」。いつか売れる日を夢見てもがく若手芸人の心情が歌われた名曲をソウルフルに歌いあげ、これまた秀逸です。

菅田将暉×桐谷健太×板尾創路、アホで愛おしい青春物語『火花』
夢を抱き漫才の世界に入って、挫折を受け入れる。
お笑いの世界に限らずどの世界にも、夢を追いかけ、立ち止まり、それでも自分の居場所で輝いている人がいる。
すべての人々の人生を全肯定する圧倒的な熱量こそ、本作の魅力と言えるでしょう。

菅田将暉×桐谷健太×板尾創路、アホで愛おしい青春物語『火花』
火花
2017年11月23日から全国東宝系にてロードショー
監督:板尾創路
原作:又吉直樹著「火花」(文藝春秋 刊)
出演:菅田将暉、桐谷健太、木村文乃、川谷修士、三浦誠己、加藤諒、高橋努、日野陽仁、山崎樹範 ほか
©2017「火花」製作委員会
公式サイト http://hibana-movie.com/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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