12/22(金)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!②
トランプ大統領が撤回賛成した国に経済援助停止を示唆
7:02~高嶋ひでたけのニュースガツンと言わせて!:コメンテーター宮家邦彦(外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)
国連総会緊急特別会合でイスラエルの首都認定撤回決議案が採択
国連総会は21日緊急特別会合を開き、エルサレムをイスラエルの首都と認定したアメリカの決定撤回を求める決議を、日本を含む128ヶ国の賛成で採択した。これに対しトランプ大統領は賛成した国への経済援助の打ち切りを示唆している。
高嶋)トランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都と正式認定した問題で、国連総会が緊急特別会合を開きまして「撤回」の決議案が賛成多数で採択されました。
日本も撤回に賛成の方に入りまして、そうしたらトランプさんはすかさず「賛成した国にはアメリカからの援助は出さない」と言ったという。アメリカは必ずこういうことをやりますね。宮家)でもここまで露骨なのは久しぶりではないでしょうか。
高嶋)それだけ世界中が「あんなところに手を突っ込んでわがままを通す、しかも自分の特別な事情で」と分かっているわけですから「とんでもない」と全世界が言っている。
国連総会の決議には法的拘束力が無い 35ヶ国が棄権した理由
宮家)しかしいろいろとぶっちゃけて言わなければいけないことがあって、第一に安保理決議だったら法的拘束力があるわけですよ。だけどだからこそアメリカは拒否権を持っていて否決してしまうわけですね。国連総会の決議がどんなに出ても関係無いですから、アメリカは痛痒を感じていないのだと思います。もちろん国際世論の圧倒的多数と言っても良いでしょう、それだけの国が賛成しているのだからそうなのだけど、実は強制力が無いのです。
第二に、これはけっこう棄権が多いのですね。新聞を見ていると棄権が35ヶ国も出ているので、これはどこの国なのかと調べてみたらオーストラリアとカナダ。それは発想がヨーロッパと違うのでしょうね。それから中央東欧諸国、すなわちこれはロシアに近い国ほどやはりアメリカとの関係が重要なのでアメリカに配慮したのですね。ある意味で日本以上に配慮しているということですね。高嶋)35ヶ国の棄権は非常に意味合いが深いということですね。
宮家)微妙ですよね。やはり普通なら賛成したいところなのだけど「でもアメリカの配慮も考えなければならない、そうすると棄権だな」というのがありますよ。それからもうひとつのグループはカリブ海諸国だと言われているので、これもアメリカの裏庭みたいなものだから影響力が強い。
ということは面白いことに日本はアメリカへの配慮よりも筋を通したという感じがします。高嶋)核兵器廃絶の方では「何で日本は投票してくれないんだ?」というのがありましたけど、今度はそんなこともありましたかね?
宮家)まあ今回は核兵器の問題は少し別だと思うのですけど、日本はそれなりに筋を通したなという感じはしますね。
トランプ政権の強行 イスラエル・パレスチナは“不安定な安定”の世の中になっている
高嶋)しかし国連総会の決定は影響が無いと言うものの、今の細かい各国の心情を分析してもらうとやはりそれなりに思いがあって右・左・棄権とやっているわけですよね。
宮家)だけどそれで援助を止めると言ってもやれることには限界がある。相当な脅しだけどつまりそれは弱さの表れだと思うのですね。
それからもうひとつ大切なことは、じゃあこれでイスラエル・パレスチナはどうなるのかということだけど、あまり大きく変わらないのではないのではと思うのですよ。つまり昔だったらこんなことをやったら「インティファーダ」という武装抵抗になって何人も人が死んで大騒ぎになったのだけど、今はどうですか?高嶋)インティファーダは言いましたけど大したこと無かったですよね。
宮家)言葉で言うのは簡単なのだけど人が本当に動くのかと。だけどある程度生活が出来上っていて昔のような元気も無くなって、それでストライキや武力攻撃で抵抗すればもう生活は終わりですよね。そういう意味では占領地の人たちの気持ちもかなり保守化したとは思いますよ。
高嶋)やはり時の流れの中で微妙な“不安定な安定”というのが世の中にはあるのですよね。明らかに不安定なのだけどそれを崩すともっとひどいことになってしまうという。
宮家)可哀想だけどもう疲れてしまったのかもしれないですね。それは本当に良いことではないですよ。
高嶋)今の宮家さんの解説の仕方は非常に説得力がありますね。もしかするとそんなところが本音なのかもしれないじゃないですか。
宮家)やはり彼らも人間ですからね。
高嶋)来年はどう動くのでしょうか。
高嶋ひでたけのあさラジ!
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