日本もアメリカも、JKはパワフル!『レディ・バード』
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【しゃベルシネマ by 八雲ふみね・第422回】
さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。
今回は、6月1日に公開された『レディ・バード』を掘り起こします。
あの頃の記憶を呼び覚ます、懐かしくも新しい青春ストーリー
“青春”と聞くと、それだけで懐かしくもほろ苦い記憶が甦ってくる、そんな人も多いはず。映画『レディ・バード』は、17歳の少女が自分の将来について悩み、揺れ動く様子を瑞々しくユーモアたっぷりに描いた青春ドラマ。
『20センチュリー・ウーマン』の個性派女優グレタ・ガーウィグが、自身の出身地でもあるサクラメントを舞台に、自伝的なエピソードを織り込みながら作り上げました。
2002年、カリフォルニア州サクラメント。閉塞感が漂う田舎町で家族と暮らすクリスティンは、カトリック系の女子高に通う17歳の女の子。自らを“レディ・バード”と名乗り、周囲の人たちにもそう呼ぶようにお願いするといった、ユニークな感性の持ち主。看護師の母親は地元の大学への進学を希望するが、クリスティンは大都会ニューヨークでの大学進学に憧れていて、母親とはいつもケンカばかり。高校生最後の1年を迎えた彼女は、友だちやボーイフレンド、そして家族と自分の将来について、自分なりの答えを見つけようと奮闘する…。
悩める17歳の主人公クリスティンを演じるのは、『ブルックリン』や『つぐない』にも出演したシアーシャ・ローナン。自分の人生と真剣に向き合って、目の前の出来事に常に全力投球。しかしその行動は常識からはちょっぴり逸脱した、パンクな女子高生を繊細かつユーモラスに演じています。
共演にはローリー・メトカーフ、トレイシー・レッツといったベテラン勢からルーカス・ヘッジズ、ティモシー・シャラメら若手有望株まで魅力的なキャストがズラリ。
脚本・監督を務めたグレタ・ガーウィグはこれが単独初監督作。第90回アカデミー賞では作品賞ほか6部門にノミネートされ、ガーウィグ自身も女性として史上5人目の監督賞候補となりました。
本作を観た人すべての人が、と言っても過言ではないほど、本作を観た人は「自身の青春時代を思い出した」という共通の感想を口にします。私もご多聞に漏れず、地元を離れ上京した当時の記憶が鮮烈に甦りました。
“レディ・バード”と呼ばれたい少女の青春は私たちのそれとまったく同じものではないはずなのに、観るうちに自分の青春時代を思い出し、懐かしさや恥ずかしさや切なさで胸が一杯になります。それはきっと本作が、年齢や性別、国境さえも越える普遍的なティーンの成長物語であるからでしょう。
是非、あなたの中の“レディ・バード”に出会ってみて。
レディ・バード
2018年6月1日(金)から全国ロードショー
監督・脚本:グレタ・ガーウィグ
出演:シアーシャ・ローナン、ローリー・メトカーフ、トレイシー・レッツ、ルーカス・ヘッジズ、ティモシー・シャラメ、ビーニー・フェルドスタイン、スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン、ロイス・スミス ほか
©2017 InterActiveCorp Films, LLC.
公式サイト http://ladybird-movie.jp/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/