上海協力機構~人民元を国際通貨にするという中国の狙い

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6/11 FM93 AM1242ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』今日の聴きどころ!④

キーワードは上海協力機構
7:28~教えて!ニュースキーワード:コメンテーター須田慎一郎(ジャーナリスト)

上海協力機構 首脳 会議 中国 山東省 青島

メディアセンターのモニターに映し出された、上海協力機構首脳会議の討議前の様子=2018年6月10日、中国山東省青島(共同) 写真提供:共同通信社

上海協力機構~世界の経済秩序を中国主体に

G7サミットが開催されている裏で、中国とロシアが主導する上海協力機構の首脳会議が2日間、山東省の青島で行われた。メンバーは習近平国家主席、プーチン大統領、初参加のインドのモディ首相、さらに加盟国ではないがオブザーバーとしてアメリカのイラン核合意からの離脱を批判するイランのロウハーニー大統領も参加している。G7に対抗する新たな枠組みで結束している。

飯田)そもそも上海協力機構というのは中・露、それから中央アジアのカザフスタンだとかウズベキスタンだとか4カ国の計6カ国でスタートしたという枠組みなのですが。まあこれをG7に当ててきたということですか?

須田)最近の報道ベースで見るとG7に対する対抗措置、対抗的な枠組みという形で語られることが多いのですが、実はそうではない。
ロシアと中国の間にある国々というのが元々のオリジナルメンバーですよね。ではそこはどういった国々なのかというと、エネルギー産出国です。中国がこれから成長していくにあたって、安定的にエネルギー、天然ガスや石油というのを確保しておきたいという流れの中で、そういった国々にとっても、中国という巨大な需要国があれば経済的に大きく潤うということで、協力していきましょうということです。比較的、人権に対して意識の薄い地域ですから、場合によっては先程言われたような、G7に対して制裁が加わる可能性がありますから、そこはひとまとめにしておきましょうという意図なんですね。
ただその一方でもう少し大きな枠組みで見てみると、中国が、あるいはロシアが、戦後第二次世界大戦後、アメリカが中心となって作った経済的な世界秩序に対する対抗軸を次から次へと打ち出してくる。例えば世界銀行に対してはAIIBであったり、短期的な国際間の資金的な資金繰りをつけるという点でIMFという国際通貨基金というのがありますよね。これに対して中国は、上海協力機構を作ったときに独自のIMFを作ろうといった動きがあった。ただそれは結果的に中国は断念せざるを得なくなって、むしろ今のIMFを乗っ取りにかかるという状況です。
アメリカ主導であった戦後の経済秩序を中国主導にする。それに対する協力体制としてロシアという存在があるわけです。

飯田)アメリカ主導というのはドルですよね。ドルじゃないもので経済を回す地域というか塊を作ろうぜという。確かに人民元の国際化というのもこのくらいのタイミングからずっと来ていますね。

須田)そういうところから見てみるとこの上海協力機構が持つ意味合いのようなものが見えてくるのではないでしょうか。

飯田)そうか、ドル決済ができなくなったイランなんかがここに入ってくるというのは理に適っているわけですね。

須田)イランなんかは是非という立場だと思いますよ。

上海協力機構~人民元を国際通貨にするという中国の狙い

人民元を国際通貨に~為替の自由化に中国がどうアプローチするか

飯田)でもその完全に自由な取引ができない人民元というのはどこまで国際的に流通するのか疑問だというのもありますよね。

須田)そこが中国のウィークポイントだと思います。だから人民元を国際通貨にしたい、あるいはドルに並ぶ、将来的にはドルを超える存在にしたいのだけれども、そうすると為替レートが大きく乱高下してしまう。そのリスクに中国経済が耐えられるかという問題もあるのだろうなと思います。

飯田)現在あれだけ輸出に頼っている国ということになると、やはり乱高下するとそれだけで政権がガタガタになると。

須田)ええ、為替の自由化というところに、どういう形で中国がアプローチしてくるのかというところが今後の注目ポイントだと思います。

 

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