日本人拉致問題~非常に情けない立場にいる日本国家

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6/13 FM93AM1242ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』今日の聴きどころ!④

トランプ大統領が日本人拉致問題を提起
7:44~ココだけニュース スクープUP!:コメンテーター藤井厳喜(国際政治学者)

安倍 晋三 首相 トランプ 米 大統領 電話 会談

【政治 日米首脳が電話会談】トランプ米大統領との電話会談を終え、取材に応じる安倍晋三首相=2018年6月12日午後、首相公邸 写真提供:産経新聞社

日本メディアは拉致問題について先走りに期待度を高めすぎてしまった

アメリカのトランプ大統領は昨日、米朝首脳会談で、日本人の拉致問題を提起したことを明らかにした。拉致問題については共同声明に盛り込まれなかったが、トランプ大統領は「彼らは取り組んでいくことになる」と、北朝鮮が拉致問題に取り組む見通しを示している。
まずは、現地で飯田浩司アナウンサーと同様にシンガポールで取材していた、北朝鮮情報専門サイト『デイリーNKジャパン』編集長の高英起(コウ・ヨンギ)さんに、日本人拉致問題について話を伺った模様について、取り上げていく。

飯田)日本にとって拉致問題は大きな課題で。トランプさんは「話はした」と言っていますが……

高)正直、今回の合意文書に拉致問題が入るかと言われたら、冷静に考えて無理ですよね。米朝の問題ですから。そこは、日本のメディアが先走り、期待度を高くしすぎた。それはいいけれど、それで1番失望するのは誰かとなったら、国民もそうですが、被害者ですよ。

飯田)米朝が近づくと、むしろ解決が遠のくのでは、と思いますが……

高)それは短絡的かな、と思います。確かに北朝鮮が日本との関係を長期的に解決したい、もしくは支援を得たい思惑を持っているのは間違いないと思います。ただ、問題は現状で日本がそれをキッチリ受け止められるかどうか、日本側の問題もある。
たとえば、拉致被害者と言いますが、「何人の」拉致被害者なのか。特定失踪者を含めるのか。「全員とは、何人だ?」となったときです。最終的には全員帰国を目指しますが、どこかの段階である程度妥協しないと、100かゼロかでは話が進まないのですよ。
もし仮に、北朝鮮からしたら、本当に存在しない人間を拉致被害者として要求された場合、「どうやって出すんだ?」と。「それを出さなきゃ話が進まない」となったら、本当に話が進まないですよね。非常に受け入れ難い結果があるかもしれないと覚悟しておかないと。期待度ばかり上げて、最終的に失望するのは拉致被害者家族ですよ。

飯田)最後まで捜すことはもちろんやるべきだけど、どこかで少しずつ、段階的にやっていく?

高)ある程度目処をつけ、そこでまずやって。そのあとやる形ですね。

日朝首脳会談を焦り過ぎても有益な結果は得られない

飯田)「総理は日朝の首脳会談にも意欲」と、菅官房長官が言ったそうですが、この可能性というか、糸口は?

高)安倍総理のやる気次第だと思います。もちろん拉致被害者家族の方々を考えると、1日でも早い会談をすべきとは思います。でも、果たして現段階で、我らにとって有利な答えを引き出せるかとなると、正直疑問です。焦っても、あまりいい結果は得られない気がします。
もう1つ。トランプ氏と金正恩氏が動くのは間違いない。ただし、これが5年先、10年先、どう動くか分からないわけです。いま下手に乗ってしまうと、ひっくり返ったときにまた振り出しに戻ってしまうのです。だから、そんなに現段階で焦ることはないと思います。

飯田)「日米韓の枠組みで、日本はある意味原理原則を言う役目を担っているんだ」と指摘している人もいますが、そこに舵を切ったのなら、まだそこで行くべき?

高)特に拉致問題は人権問題ですよね。トランプ氏は4月の時点で、「この人は金正恩委員長と会談する」と思いましたが、それまでアメリカの指導者である限り、金正恩氏とは会談できないと思っていました。
アメリカは我々が考えている以上に、特に人権問題に関してものすごく敏感です。北朝鮮の金正恩体制が人権侵害してきたのは疑いようのない事実だし、国連で実際に責めている。なので、アメリカの指導者である限り、ああいう人権侵害する独裁者とは話ができないと思っていました。そこは、私にとって目から鱗でした。よく考えたら、トランプ氏はあまり人権問題に興味ないと思うのですよ。オバマさんとかと違って、失礼ですが彼個人としてはそんなに優先順位が高くないかもしれない。だからこそ、会えたのかもしれない。普通に考えて、たとえばヒラリーやオバマだったら、条件があっても会えない。逆に言えば、そういう指導者だからこそ、こうした会談にこぎつけたのかも、と思います。

軍隊も諜報機関も無い日本はアメリカに依存するしかない歯がゆい状況にある

飯田)高英起さんは日朝首脳会談の開催について、「焦りすぎることはないのでは?」と話されていました。拉致問題に関して、藤井さんはいかがですか?

藤井)非常に日本は不甲斐ない立場にいるわけです。焦りすぎないのは大事だと思います。
でも、根本的なことを言わせてもらうと、日本は憲法9条というものがあって、軍隊も諜報機関もない。それで「まともな外交をやれ」という方が無理なのです。だから、いまはアメリカべったりでやっていくしかない。非常に情けないけれどそれしか他に手はない。「両手両足を縛ってケンカしろ」という話です。本来なら、日本の海軍でも北朝鮮沖に派遣して、「人質を帰さないとすぐに戦争するぞ。ミサイル撃つなら、10倍返しするぞ」というのが、本当の国家です。あるいは、北朝鮮は日本がそういうことは絶対にできないと思っているから、人間を拉致していったのだと思います。
何故、アメリカは3人の人質が帰ってきたのか。アメリカが脅したからです。「交渉しましょう。ただし、失敗したら我々は戦う気です」というのが、常に外交です。日本はそれができない。あるいは、奪い返しに行くにも、諜報機関がないからどこにいるか分からない。ですから、そのときはやむを得ないからアメリカべったりを安倍さんはやっている。それしかないですよ。

通商問題について、日本は有り得ないような妥協を強いられる可能性がある

藤井)アメリカに言いたいのは、「拉致問題解決」をどういう定義にするか分かりませんが、横田めぐみさん問題は象徴的な問題として、大きいと思います。「日本国民がある程度納得するまではアメリカも経済制裁を解除しないでね」と。そこのところが1番大事だと思います。

飯田)日本が解除しないのは当然ですからね。

藤井)核や大量破壊兵器問題だけで、「廃棄したなら、解除してあげる」では、北朝鮮が拉致問題を解決する動機がなくなってしまう。そうしたら、トランプさんは日本に何て言ってくるか。「そういえば、シンゾウ。通商問題があるよね。日本と貿易問題があるじゃない。そっちをどうにかしてくれないか?」と。表向きには言わないけれどね。一方は人権問題、一方は経済問題だから。トランプさんはこの問題を結合して、安倍さんに迫るでしょう。「こっちのを考えてくれよ。そうすれば、こっちは俺頑張るよ。外交交渉は、ギブ&テイクだろ」と。日本人も考えておかないといけないですよね。だから、通商問題とかで、日本があり得ないような妥協をしなければいけないかもしれない。アメリカに対する投資等々で、黒字減らしとかね。
ただ、安倍さんはその限られた手段しかないなかで、非常に良くやっていると思います。

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