“鬼ママ”に浴びせた子供の一撃
公開: 更新:
【報道部畑中デスクの独り言 第70回】
7月に入って猛烈な暑さが続いています。思えば東京では先月6月29日に気象庁が“梅雨明け”を宣言。これは観測史上最速でしたが、その後、西日本を中心に襲った豪雨、全国的な猛暑…天候は激しく変化しました。豪雨の被災地では厳しい環境の下での避難生活、復旧活動が続いています。どうぞ、体調管理には十分にご注意下さい。
今回の猛暑は日本列島を西寄りに伸びる太平洋高気圧のほか、上空のチベット高気圧が強まっているのが主な原因です。太平洋高気圧は俗に「背の高い高気圧」と言われ、それだけでも厳しい暑さをもたらしますが、その上空にさらにチベット高気圧が覆いかぶさり、大気上層から下層まで暖かい空気が圧縮されている状況です。気象庁では8月以降も平年より気温の高い傾向が続くとみています。
さて、今回はこのコラムのタイトル「独り言」っぽいお話です。この猛暑の中で、私も自宅ではついつい窓を開けて寝てしまうことがあるのですが、そんな朝、ある声で目が覚めることがあります。それは近くに住むお家のお母さんの“罵声”です。
「てめえ、ふざけんなよ」「やーれーよ―――!(怒)」
「何で上着着てんだよ、バカかお前は!」
かっこで(怒)と書くまでもなく、すごい剣幕で自分の子供を怒鳴りつけているのです。繰り返しますが、“お母さん”です。その後、子供の言いわけと思われるぼそぼそした声が聞こえます。結構外でのやり取りが多く、昼夜問わず聞かれるのですが、静かな朝には特にこの声が響き、私も家族もビクッとする時があります。厳しいしつけは時に必要とは言え、「そこまで言わなくても…」と思うのですが…。
そんなある朝…この日もお母さんの鬼のような罵声が響いていました。ところがこの日は子供がある一言で反撃に出たのです。それは…、
「おばあちゃんに言うよー!」
何とその一言でその「鬼ママ」は静かになってしまったのです。
これは推測ですが、鬼ママはおばあちゃん=自分の母親がかなり怖いと思われます。子供はママからの“口撃”に耐えかね、まさに「駆け込み寺」であるおばあちゃんに打ち明けたのでしょう。その後、おばあちゃんはママを諭したと思われます。諭したというと穏やかですが、ひょっとしたらママもおばあちゃんから厳しく叱られたのかもしれません。それをしっかり子供は見ていたのではないでしょうか。
子供の一撃がちょっと痛快に感じられてしまったのですが、つくづく教育というのは難しいものだと思います。それは子供だけでなく、組織でも同じです。それは「教え育てる」ものであるとともに、自分も「教えられ育てられる」ことなのだということです。私も年を取ったいま、親はそんな思いで自分を育ててくれていたのかもしれないと思うようになりました。
先の日本大学アメリカンフットボール部の選手による不正行為の問題は指導者と選手のコミュニケーション、大学側の危機管理など、様々な課題を提起しましたが、教育の一環としてとらえるならば、自分も「教えられ育てられる」という意識が指導者になかったことも背景の一つにあるのかもしれません。子供が母親を見ているように、選手たちも指導者を見ているのです。
ちなみに子供の「反撃」の後、鬼ママの罵声も少なくなったように感じます。このままだと、子供もいずれ大人になって子を持った時、同じようなことをするのではないかと思っていました。鬼ママも「教えられた」のでしょうか。これで親が子供に「なめられる」ようになってしまうとこれまた問題ですが、そこはきちんとわかり合ってほしい…これを機にお母さんと子供がよりいい関係に“成長”することを願っています。