LINEがみずほと共同で銀行業参入~危惧される「銀商の問題」
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月28日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。LINEの銀行業参入について解説した。
通信アプリ大手のLINEがみずほと共同で銀行業に参入
無料通信アプリを手掛けるLINEは昨日、みずほフィナンシャルグループと共同で銀行業に参入すると発表した。LINEが持つ膨大な顧客基盤とみずほの高い信用性を融合させ、キャッシュレス時代に対応した新たな金融サービスを手掛ける予定だ。
飯田)LINEが銀行参入ということなのですが、日本だけで言うと7,800万人余りの登録数がある。ここの基盤を使えばいろいろなことができるのではないかという話のようです。
高橋)これは「銀商問題」というものです。
飯田)銀商問題。
高橋)規制が違います。商業の方から見ると銀行業は規制が厳しいから、いろいろとイノベーションができるのだと思うわけです。一方で、銀行業界の方も自分たちは規制が強いし、なぜこんなに差があるのかと不満がある。両方に同床異夢の思惑があって、お互いに自分の都合のいい話をするのです。例えば商業の人の方だと、こんなに規制があってがんじがらめなのだから、自分たちが行くとビジネスチャンスが多いと思って入るのですが、そうすると案外規制がありがたくて、既得権みたいになるでしょう。だから急に駄目になったりすることもよくある話なのですよ。この話はずっと昔からあって、その銀商問題の典型でしょう。隣の芝は青く見えるというのが正解だと思うのですけれどね。意外に入ると大変だということです。
飯田)子会社を持つ業種に限られたり、いろいろ銀行法は厳しいらしいですね。
高橋)厳しいです。でも、銀行からも不満があって、他の商業の方は銀行の子会社を持てるけれども、銀行の方は商業子会社を持てないとか、いろいろとアンバランスがあるのは事実なのです。だからこのようにハイブリットになると、両方の都合のいい不満がたくさん出て来て、けっこう収拾が大変なのですよ。そのときには、同一サービス、同一規制という原則しかないのですけれどね。
飯田)業態とか関係無いわけですね。
高橋)関係無くて、英語では、「インスティテューショナルな規制じゃない」というような言い方をするのですけれど。
飯田)インスティテューショナル。
以前からある「銀商問題」
高橋)インスティテューショナルではない規制が望まれると、サービスにだけ着目して同じ規制をするという考え方しかないのです。そのときにこれはどういう風になるか。例えばLINEに入ると、たくさんのお客さんがいると思うでしょう。そのときに送金することはいまでもできるのですよ。送金する際に少しお金が余ると、預金みたいになるのですね。
飯田)自分の口座に残るわけですからね。
高橋)ええ。でもこれは疑似預金と言って、実は預金法の対象ではない。いろいろと違うのですよ。
飯田)そうすると例えば、LINEが仮に経営破綻したときにペイオフの対象にならないということですか?
高橋)ええ。それはもう全部いただきというか、もう返って来ないとか、そういった違いがあるのだけれど、それらの違いをどうするのか、いま金融庁で議論していると思います。古くからある問題なので、答えがさっきの同一サービス、同一規制くらいしか出ない。そうすると子会社でやるというのだから、「銀行界も商業界も不満がある」という答えがいつも出て来るのですけれどね。
飯田)同一サービス、同一規制にしてしまうと、ある意味いままで銀行法のなかで守られた自分たちのコミュニティがあったところに、ガンガン入って来るようになって、それはそれでマズいという可能性もある。
同一サービス、同一規制という原則しかできない
高橋)昔は「銀商問題」は銀行と証券だったのですよ。この証が商業に変わっただけ。
飯田)その壁があるから、なかなかフィンテックが日本では進まないのだというような批判もされますけれども。
高橋)でもどこの国も一緒ですよ。
飯田)どこの国もこれは一緒?
高橋)ええ。だから同一サービス、同一規制という原則しかできないのですよ。
飯田)そこに持って行けるかどうか。しがらみは多いですか?
高橋)ファンクショナル・レギュレーションと言うのですけれど。機能に着目したもので、どこでも一緒なのだけれど、それが上手くできるかできないかにかかっていますね。
飯田)日本の場合はATMなども含めて、銀行が相当適応してしまっている部分があるから難しいのではと。
高橋)投資してしまったからね。店舗の投資もしているから、全く違うものを入れるのはなかなか難しいのですけれど、これからの時代では必要でしょうね。
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