次期中期防衛力整備計画~「敵基地反撃能力」がどのように書かれるか

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ニッポン放送「飯田浩司の OK! Cozy up!」(12月18日放送)にジャーナリストの長谷川幸洋が出演。きょう閣議決定する防衛大綱、中期防衛力整備計画について解説した。

次期中期防衛力整備計画~「敵基地反撃能力」がどのように書かれるか
防衛大綱~きょう閣議決

政府は新たな防衛力整備の指針、防衛計画の大綱と具体的な装備調達を示す、次期中期防衛力整備計画をきょう閣議決定する。従来の陸・海・空の領域に宇宙やサイバーといった新たな領域をまたいで、一体的、同時対処を可能とする「多次元統合防衛力」を大綱の基本概念に掲げている。

飯田)いまは統合機動防衛力という名前ですが、これを多次元というかたちにするとのことです。新聞の報道では、「いずも」の空母化、ヘリ搭載型護衛艦の話ばかりです。

長谷川)テレビもそうですよね。これはインスタ映えじゃないけれど、写真にすると分かりやすいからね。どう見ても空母じゃないの、というように見えるじゃない。そこにF35Bを積むとなると事実上の空母的な仕事ができるという、そこばかりが焦点になっていますけれど。私は「敵基地反撃能力」、これについての書きぶりが、今度の防衛大綱でどのようになるかということに関心がありますね。
と言うのは、いままでの防衛大綱、中期防衛力整備計画には2つとも気が付かないように書いてあるのですよ。どのように書いてあるかと言うと、「日米間の適切な役割分担に基づき、日米同盟全体の抑止力強化のため我が国自身の抑止対処能力の強化を図るよう、弾道ミサイル発射手段などに対する対応能力のあり方についても検討の上、必要な措置を講ずる」。“必要な措置を講ずる”とは役人言葉だけれども、検討してちゃんとやりますよということを、期限は書いていないんだけれども言っているわけです。
どこにも「敵基地反撃能力」なんて書いていないけれども、実はこれが意味しているのです。この言葉が、今度見直す防衛大綱、中期防衛力整備計画でどのように書かれるのか興味があります。

飯田)この辺というのは、役人言葉でありますからね。

次期中期防衛力整備計画~「敵基地反撃能力」がどのように書かれるか

護衛艦いずも空母化へ  海上自衛隊の護衛艦「いずも」=2018年12月11日 写真提供:共同通信社

「敵基地反撃能力」~新たな防衛大綱、中期防衛力整備計画でどう書かれるか

長谷川)はたしてどのようになるか。多分、同じ言葉ではなくて少し前に出たようなニュアンスを出すのではないかと思います。

飯田)なるほど。閣議決定されるのはきょうですが、既に大綱の骨子案というものは出ていて、官邸のホームページにも実は載っています。「平和と安全を維持し存立を全うするとともに、国民の生命・身体・財産と領土・領域・領空を守り抜くこと」というようなことが書いてあって、「過去にはとらわれない徹底した合理化なくしてかかる防衛力強化は実現できない」とあります。

長谷川)「あらゆる段階で常に柔軟かつ戦略的に活動できる真に実効的な防衛力を構築」って。本当に役人言葉で、何を言っているのかわからない。けれども、要旨ではなく本文のところでは、先程読み上げたような対応能力のあり方、そして抑止能力の強化のところで、もう少し踏み込んだ表現になるのかなと思いますね。

飯田)結局、周辺状況が変化していくなかで、先程北朝鮮の話もありましたけれど、もう従来の概念では対応しきれなくなっているのですね。

長谷川)本当にミサイルを発射する、あるいはミサイルに燃料を注入して間もなく発射される、となったら、それは確かに攻撃の着手だよね、となって、それに対して反撃できるという考え方ですよ。敵基地攻撃能力についても憲法上は否定されていないというものが、従来からの考え方ですから。

ミサイル時代での専守防衛とはどういうことなのか

飯田)座して死を待つものではない、と鳩山一郎元総理が答弁しました。

長谷川)なので、そこのあたりがいまのようなミサイル時代にあって、専守防衛とはどういうことか。この辺の議論を包み隠さずしっかりやってもらいたいなと思います。奥歯にものが挟まったような説明だと、かえって疑念を呼ぶし、周辺国も当然注目しているわけですから、日本の姿勢を明確にすることがすなわち抑止力になるので、ここはごまかすのではなく、はっきりと議論を分かりやすく説明してもらいたいと思います。

飯田)日本に関しては、防衛費もさほど増えてはいない。ちょっと増やすぞ、というものが出たところでまた防衛費が増えすぎているみたいな。周りの国々は相当増やしていますよね。

長谷川)予算希望は19年から23年の5年間で27兆ですから、1年あたり5兆円ちょっと。でも中国なんかはその4倍近く毎年軍事費を使っているわけなので、4倍という差だけを見ても、日本だけで対処できないということが明らかだと思います。すると日米同盟でどうするかという話になり、日本とアメリカの役割分担をどうするのかという話になり、それでさっきのところに戻ってくるわけです。日米間の適切な役割分担とは何かという議論のなかで、日本がどういう反撃能力を持つのか、そこの議論ですよね。

飯田)まず日本が守る姿勢を見せないことには、日米同盟だって機能はしないと。

長谷川)そういうことです。日本の場合、このいずもが航空母艦で、「航空母艦すなわち攻撃能力だからだめ」というような話になりがちですが、いまの中国、北朝鮮の情勢を睨みながら何が必要で、平和と繁栄を守るためにどうするかという、もともとのところから、リスナーの皆さんも自分の頭で考えて頂きたいと思います。

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