名古屋駅「こだま」(760円)~実は還暦の「こだま」号!
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【ライター望月の駅弁膝栗毛】
東海道新幹線では、すっかり少数派となった700系新幹線電車。
700系はJR東海とJR西日本が共同開発し、平成11(1999)年にデビューしました。
現在、東海道新幹線では、一部の「こだま」を中心にお目にかかることができる一方、量産先行試作車の先頭車「700系723形式」の1両は、すでに「リニア・鉄道館」で展示中。
となると、いまのうちに現役の700系「こだま」で旅を楽しんでおきたいところですね。
700系に出逢える確率の高い「こだま」号…じつは今年で還暦を迎えました。
それというのも、「こだま」という愛称の列車は、昭和33(1958)年11月1日、新幹線の前身となった東海道本線の電車特急としてデビューしたのが最初。
翌年には「こだま形」と呼ばれた151系(登場時は20系)電車によって、静岡県内の東海道本線で「高速度試験」も行われ、時速200kmで走る新幹線への礎となって行きました。
そんな「こだま」号の節目の年だからいただきたい駅弁が、名古屋駅の「こだま」(760円)。
コチラは、昭和39(1964)年の東海道新幹線開業と共に誕生した幕の内駅弁です。
名古屋城と金のしゃちほこが描かれた上蓋のイラストは以前と同じですが、新幹線の形式が変わったり、「こだま」号を意識したポエムが添えられるなど、包装は着実に進化中。
名古屋駅弁を手掛ける、大正11(1922)年創業の「松浦商店」が製造しています。
【お品書き】
・白飯
・鯖の照焼き
・鶏ササミフライ
・唐揚げボール
・玉子巻
・蒲鉾
・煮物(鶏肉、削り牛蒡)
・鰊入り昆布巻
・福神漬け
・うぐいす豆
名古屋で迷ったら「こだま」という方も多い、根強いファンを持つ駅弁です。
俵型ご飯、焼き魚・蒲鉾・玉子焼の“三種の神器”をキチンと網羅した幕の内弁当。
焼き魚は鯖で、味醂を使って焼き上げられた独特の味わいがクセになる味です。
ササミを使ったチキンカツは少し大きめで、程よいボリュームがお得感を感じさせます。
心地よさすら憶える王道の幕の内、名古屋に来たら外せない駅弁の1つでしょう。
松浦商店によりますと、当初は「ひかり」と「こだま」という2種類が販売されていたそう。
そのうち「こだま」だけが残って、現在に至ります。
JR東海ツアーズの「ぷらっとこだま」など、お得な旅行商品もある「こだま」号。
「こだま」60年のメモリアルイヤーの締めくくりに、いつもよりプラス1時間+αの心の余裕を持って、東海道新幹線「こだま」の旅を楽しんでみてはいかがですか?
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/