EUが日本とEPAを結んだ意外な理由

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月1日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。2月1日に発効した日欧EPAについて解説した。

欧州産ワインを値下げしたイオン店舗の売り場=2019年2月1日午前、千葉市 写真提供:共同通信社

日欧EPAが発効

日欧EPAとは、きょう2月1日に発効した、日本とEUヨーロッパ連合による経済連携協定のこと。これにより世界の貿易のおよそ4割を占める巨大な自由貿易圏が誕生したことになる。工業製品からチーズ、ワインといった食品まで、大半の貿易品目の関税が撤廃。例えば毛皮にかかっている最大20%の関税も最終的に0%になり、安く輸入できるようになる。

飯田)人口を見ても6億人を超えているという。すごいですね。

宮家)5年ぐらい前までは、日ヨーロッパのEPAは無理ではないかと思っていました。歴史的なことを言うと、もともとは1996年にWTPO(世界貿易機関)ができました。世界で同じルールを皆で作りましょうと。それをコンセンサスでやっていました。ところが、2000年に入ってから中国を入れてしまった。中国が全部悪いと言うつもりはありませんが、中国には中国のロジックがある。そうすると皆でコンセンサスできなくなってしまったのです。

飯田)コンセンサスというのは全員一致。

宮家)全員一致、満場一致がなくなってしまった。ルールが簡単にはできなくなってしまった。WTPO協定上こういうルールは作っていかないといけないのに、それが作れない。そうなると個別のEPAを作るしかないのです。ですから新たな約束作りにEPAを反対する中国を除いてEPA交渉を個別にやっていくということになる。そのなかでいちばん大きなものの一つが、日EUのEPAだったわけです。だけどEU側は、以前はあまりその気がはなかったわけです。ところがね、最近、これが動いた。なぜだかわかりますか。トランプさんのおかげです。

飯田)なるほど。

2018年29日、20カ国・地域(G20)首脳会合が開かれるブエノスアイレスに向かう前に米ホワイトハウスで記者団に話すトランプ大統領(UPI=共同) 写真提供:共同通信社

EUがEPAに向き直したのはトランプ大統領のおかげ

宮家)もともとヨーロッパは日EUのEPAそんなことなどやりたくなかった。ほかに優先順位があったのだけど、トランプさんがやって来て、「アメリカファースト」とか言って、自由貿易のことを考えなくなってしまったので、「これはやばい」と思うようになった。

飯田)単独じゃまずいと。

宮家)EU側の大きな関心事は、日本もそうですが、農業です。この農業の問題がネックになってなかなか議論ができなかったけど、背に腹は代えられない。トランプがいる以上、日EUでもEPAをやって、それで自由貿易のシステムを維持しなくてはならない。日本とヨーロッパの思惑がやっと一致して、ようやくどどっと動いた。これが2017年です。から、これはまさにトランプさんが当選して変なこと言い始めてからです。トランプさんのおかげです。

飯田)“冬の宇治金時”さんからメールいただいています。「国内の農業を保護していかないと、将来、不測の事態が起こったときに大きなダメージになることがあるのではないですか」と。

宮家)その通りです。ですから、先ほど申し上げた通り農業がいちばんのネックだったわけですが、これは日本もは守るところは守っていると思います。米についてはまだ対象には入っていません。それから麦とか乳製品は、セーフガードを確保していますから、完全に自由化しているわけではない。ソフト系のチーズは関税割り当てにしているし、数量はある程度国内と両立するような形にしている。いろいろ工夫はしているわけです。それがヨーロッパとしては嫌だから…。

飯田)全部開放してくれと。

宮家)そう。言ってきたのですが、実際には日本もそこは上手く守った。EUにとってはトランプさんがいる以上て、日本とEPAを作ることの方が優先だということです。日本からはもっと取りたかったけれども、仕方がない。というわけで上手く交渉がまとまったわけです。それが2年位前かな。そして、今回ようやく発効した。日本はが自由貿易で最も裨益飛躍する国のひとつですから、こういう形で貿易のルール作りの主導権を握っていくということは大事だと私は思ってます。

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