参議院選挙終わる、本当の「勝者」は?

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「報道部畑中デスクの独り言」(第142回)では、ニッポン放送報道部畑中デスクが、参議院選挙のそれぞれの結果について解説する。

自民党の遊説 国旗を振る支援者のなか、「アベヤメロ」コールも(7月20日 東京・秋葉原で撮影)

参議院選挙が終わりました。ニッポン放送でも投票日の夜に、あわせて4時間半に及ぶ特別番組を放送しました。

124すべての議席確定は翌日朝までもつれ込みましたが、結果は自民党57議席、公明党14議席で与党合計71議席。改選過半数の63議席は上回ったものの、改選前の77議席には届きませんでした。また、安倍政権の下での憲法改正に前向きな「改憲勢力」は81議席で、非改選を合わせた議席は国会発議に必要な3分の2(改選85議席、非改選を合わせた164議席)には届きませんでした。

一方、32ある改選1人区で、自民党は22勝10敗。6年前の29勝2敗(当時は31選挙区)には及びませんでしたが、3年前の21勝11敗は上回りました。野党系で立憲民主党は今回17議席と、改選前の9議席から倍近く勢力を伸ばしました。国民民主党は6議席、日本維新の会は10議席、共産党7議席。比例代表では政治団体「れいわ新選組」が2議席、「NHKから国民を守る党」が1議席を獲得しました。

政党要件を持たない諸派が、比例で議席を得るのは現在の制度になってからは初めて。さらに社民党は比例代表で1議席を確保、得票率が2%を上回ったため、公職選挙法上の政党要件を維持することが決まりました。社民党はギリギリの所で踏みとどまった感じです。そのほか、無所属は野党系統一候補を含めて9議席という結果になりました。

れいわ新選組の遊説 比例代表で2議席を獲得した(7月19日 東京・新橋で撮影)

今回の選挙についてはいろいろな呼び方がありますが、私は「ジメジメ・モヤモヤ選挙」だったと思います。梅雨がなかなか明けない天気のなかでの選挙戦、遊説最終日の20日には長崎で特別警報まで出るという、総じて悪天の選挙期間でした。

またこの期間、京都ではアニメ制作会社の痛ましい放火殺人事件がありました。吉本興業の所属タレントの、いわゆる「闇営業」に端を発した問題に関し、タレントの涙ながらの記者会見もありました。もちろん、こうしたことと選挙戦に直接のつながりがあるわけではありませんが、有権者の間に陰鬱な空気が流れるなかでの選挙戦だったのではないかと思います。

その選挙戦、政策について各党は公約こそ掲げていたものの、論戦には乏しく、他党の批判や罵倒が目立ちました。

「民主党政権はどん底、誇りを失った外交が展開されていた。私たちは2012年、日本を取り戻した。あの時代に逆戻りするわけにはいかない」

遊説最終日、東京・秋葉原で自民党・安倍総裁はこのように演説しました。

自論ですが、政府・与党のトップ=権力者が野党を名指しで批判するのは「禁じ手」ではないかと思います。政権与党はもう少しどっしりと構えるべきで、それが「トップの品格」であり、「国の品格」にもつながると考えます。野党が与党を批判・罵倒するのはある意味、それが仕事みたいなものです。しかし、権力者が野党を罵倒するのは、「弱い者いじめ」にも通じると思いますし、「余裕のなさ」さえ感じます。

「アベノミクス」に象徴される経済政策は十分ではないものの、株高や失業率の低下など、一定の成果を出していると言えるでしょう。また、世界の列強に伍している(ように見える)外交姿勢を評価する声もあるでしょう。だからこそ、政府・与党はこうした禁じ手を使わず、訴えるべきことがあったのではないでしょうか。

立憲民主党の遊説(7月20日 東京・品川で撮影)

こうした批判合戦がますます、ジメジメした空気を助長していたような気がします。そして、選挙後は何か霧がかかったような「モヤモヤ」したものを感じたのは私だけではないと思います。選挙は「選挙戦」というぐらいですから、勝敗があるわけですが、今回奇異に感じたのは与野党問わず「勝利した」、あるいは「負けていない」と選挙戦を振り返っていることです。

「改選議席において与党過半数を大きく上回ることができた。大きな勝利だと思う」(自民党・安倍総裁)

「改選議席の過半数を確保できたことで、政治の安定が確保できた」(公明党・山口代表)

「結党まだ2年足らず。議席を大きく伸ばすことができたのは大変ありがたいと思っている」(立憲民主党・枝野代表)

「初陣で一定の土台を築けた。選挙区では現職は全員当選したのでがんばった」(国民民主党・玉木代表)

「選挙区は大変健闘だと思っている。与党勝利とは単純には思っていない。大幅に押し返している」(共産党・志位委員長)

経済同友会・桜田代表幹事の記者会見(7月22日撮影)

一体、どこが勝ったのか? 素朴な疑問です。翌日、私は経済界の反応として、経済同友会の桜田代表幹事に聞いてみました。

「勝者のないゲーム。政党が明確な論点を示し、過半数の支持をとったわけではない」

桜田氏はこのように答えた上で、「(勝者のないゲームは)世界中で起きていて、とても懸念すべきこと。世界全体が不信感と非建設的な戦いによる疲弊・消耗が起きている」と指摘しました。

「どの党も勝っていない」…逆説的ですが、私は政治家全体が「敗者」であると考えます。その根拠は投票率です。総務省が発表した参議院選挙の投票率は選挙区で48.80%、比例代表で48.79%でした。選挙区については3年前の54.70%を5.90ポイント下回り、過去2番目の低さとなっています。有権者の半分が投票に参加しない国政選挙…政治不信(あるいは無関心)ここに極まれりといった感じです。

8月1日には臨時国会が召集されます。「連帯責任で全員クビだ」と言い放ったのは吉本の岡本昭彦社長ですが、政治不信については与野党問わず「連帯責任」で克服に当たってほしいと思います。(了)

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