民主派大勝~ここから始まる香港民主化への長い闘い
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月26日放送)にジャーナリストの有本香が出演。民主派が大勝した香港区議会選挙について解説した。
香港区議選~民主派大勝、親中派惨敗
香港メディアによると、24日に投票が行われた香港区議会議員選挙で、民主派は直接選挙で選ぶ全18区、452議席のおよそ85%を獲得し、選挙前のおよそ3割から大きく躍進した。一方で選挙前およそ7割を占めていた親中派は、およそ1割と惨敗。1997年の中国返還後、民主派による過半数の獲得は初めて。
飯田)香港政府トップの林鄭月娥行政長官は、「社会の現状や深刻な問題に対する市民の不満が反映された。政府は謙虚に市民の意見を拝聴し、真剣に反省する」と声明を出しています。
有本)中国側は、「いかなることが起きようとも、香港は中国の一部である」ということを王毅外相が発言しています。混乱だとか、発展を損なったりするような、どんなたくらみも達成させないぞということです。この結果は、隣の国の者として嬉しいですね。香港の人たちは底力を見せたなと思います。このデモというか、レジスタンス運動が激しくなって行くなかで、「市民はデモに対して困惑、あるいは迷惑だと思っている人が増えているのではないか」という、情報操作のようなことが行われていました。
飯田)日本でも中国の専門家は、こぞってそのことを言っていましたよね。
有本)それはどうなのかなと。そうであるならば、最初のころですが、あれほど多くの人がデモに参加しないでしょうということですよね。
飯田)数10万人、数100万人が。
有本)2014年の雨傘運動の後に選挙があって、それが前回の選挙なのですが、そのときも投票率は半分くらいで、いまのような結果ではなかった。今回も抑えこまれてしまうのかなと思ったけれど、そうではなかった。民衆の思いが投票結果に表れたのだと思います。
中国サイドが民主化運動を長い時間をかけて止めるためのスタートになる
有本)一方で、中国側はこの結果を見て、一旦は引く姿勢を見せるかもしれませんが、決して香港に対するいろいろな支配を緩める方向には行かないと思います。民主化運動のリーダーである周庭(アグネス・チョウ)さんは、「自分たちはこれからも5つの要求を求め続けて行く」とおっしゃっています。そのなかで中国側はいろいろな手を繰り出して、硬軟織り交ぜる感じで運動の勢いを止めて行こうと、長い時間をかけてやって行くスタートになるのではないかという気もします。ですから日本をはじめとした周辺の、特に民主的な体制の国々は、香港を一国二制度の下で自由な状態、あるいは香港の民主化に向かう方向性を応援するというメッセージを、送り続けなければいけないと思います。
飯田)これでひと段落だと思ってはいけませんよね。
有本)いけませんね。
飯田)確かに、軟化する兆しのようなものがあるようです。香港理工大には30人ほど取り残されているのですが、「すぐに逮捕しないから出ておいで」と、警察が言い出しています。逮捕しようとして滅多打ちに殴っていた警察が、まったく態度を変えて。
今後は金の力をはじめとしたさまざまな懐柔策が行われることも
有本)手のひらを反したり、恵比寿顔と鬼の顔を使い分けますからね。そういうところは本当に注意しなくてはいけません。これから心配になるのは、天安門事件の後もそういうことがありましたが、監視を強めて行く一方で、リーダー格に対していろいろな懐柔策が行われると思います。利権を配るというような。
飯田)お金の力で雁字搦めにする。
有本)弾圧一辺倒ではなくて、運動体そのものをどうやって溶解させて行くかということを、いろいろとやって来るのだと思います。
飯田)前回の区議会選のときは、選挙に受かった何人かの雨傘運動の中心人物たちに、議会をやるときの宣誓が不十分だとか、いろいろと難癖をつけましたよね。
有本)これだけの数を取ると、さすがに前回のような嫌がらせは難しいかもしれません。逆にもっと巧緻に長けた手法を繰り出して来るのではないかと思います。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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