ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月12日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。吉田博美前自民党参議院幹事長のお別れの会について、また、統一会派を組む野党の動きについて解説した。
安倍総理~故吉田博美前参議院幹事長のお別れ会で弔辞
10月26日に亡くなった吉田博美前自民党参議院幹事長のお別れの会が11日、東京・南青山の青山葬儀所で営まれた。実行委員長を務めた安倍総理は弔辞で「誰をも元気にする、あの温かい言葉に触れることもできない。本当に寂しい」と故人を偲んだ。
飯田)夏の参院選を機会に政界を引退といいますか、選挙には出ませんでした。
鈴木)吉田さんは表に出て目立つ感じではないのですが、最大の仕事は去年(2018年)の総裁選ではないかと思います。自民党の参議院は別の生き物と言われていて、突飛な判断と行動を行います。衆議院から回って来ても、参議院でブロックするなど独特の力を持っています。いまだに竹下派の青木幹雄さんなど、大ベテランの方々が力を持っているなかで、安倍総理との間に上手く入って関係のバランスを取りました。
野党が年内に1つの政党をつくる~その役目は国対委員長である安住氏
飯田)政界についても、さまざまな質問をいただいています。“特命係長”さんから、「鈴木さんに質問です。先日、自民党の二階幹事長と森山国対委員長、さらに立憲民主党の安住さんが会食したという報道がありました。国会の閉会後、何が話し合われたのでしょうか。気になりますが、何かつかんでいらっしゃいますか?」とのことです。
鈴木)この方、玄人ではないですか。
飯田)これは小さな記事にしかなっていなかった内容だと思います。
鈴木)そこに目を付けているのはすごいですね。ポイントは安住さんなのです。臨時国会で野党が統一会派を組み、1つになろうとしています。年内に1つの政党をつくろうという目標があって、それにいま向かっています。慎重だと言われていた立憲民主党の枝野さんが、珍しく表に出て来て、1つになろうとリードしている形です。その枝野さんが「ここしかない」と言って、国対委員長に指名したのが安住さんです。安住さんの役目は、野党が1つにまとまって行くために動くことです。彼は現実主義的で、野党が1つにならなければいけないとなると、そこへ一直線に進んで行く人です。共産党とも仲よくしますし、策略家、戦略家なのです。自民党の幹部は「安住さんが野党側の国対委員長になってからは、やりにくい」と言っています。
飯田)やりにくい。
鈴木)何を考えているかがわかりにくい。辻元さんが悪いとは言いませんが、いままでは理想主義的に「反対!」と声を上げたり、「真っ向から対決」というようにわかりやすいですよね。安住さんは違うのです。「それは通しましょう」なんてことを言うのです。それは自民党の国会対策からすると、「反対するはずなのに、なぜ簡単に呑んだのだ?」ということになります。しかし、実はきちんと裏があるのです。今回も例をあげると、「桜を見る会」と日米貿易協定の交渉があります。アメリカのプレッシャーはもちろんありますが、日米は通さなければならない。
安住流のしたたかさ
飯田)1月1日までに発効させなければならない。
鈴木)絶対に行わなければならないですよね。そこに「桜を見る会」で止める止めないと言っているうちに、憲法改正がすっと抜けて、結局できなかった。
飯田)そうですね。国民投票の改正案はまったく審議しませんでした。
鈴木)途中で自民党の国対幹部が気づきました。国民投票の改正案を材料に、いろいろと交渉をしたかったのですが、「桜を見る会」の問題が真っ向から来たので…。
飯田)それにかかりきりになっているうちに、忘れていたのですね。
鈴木)その辺りが安住流なのです。ですので、ものすごく警戒をしています。森山さんは国対委員長ですので、安住さんと意見交換をするということはあり得ます。そこにわざわざ二階さんが来たということは、安住さんが考えていることを探り、逆にプレッシャーもかける。おそらく安住さんは「わざわざ幹事長もありがとうございます」とニコニコしながら、何を考えているのかは一切明かさないような感じで、この会合は終わっているのだと思います。二階さんは、これから安住さんと野党が、どんな手順で1つの政党になって行くのかを見ていた。
飯田)なるほど。
鈴木)「桜を見る会」の件はあきらめていないので、これを追及することによって野党が1つになるための口実、勢いになるのです。そういう腹の探り合いだったのだと思います。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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