令和初の春闘 日本が抱える問題の根深さをみる

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「報道部畑中デスクの独り言」(第173回)

ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム。今回は、28日に行われた令和初の春闘について---

経団連・連合トップ会談で春闘が事実上スタート(1月28日撮影)

経団連と連合=経営側と組合側のトップが1月28日、東京都内で会談し、令和初となる春闘=春の労使交渉がスタートしました。この日は会談の他、終了後のぶら下がり取材、労使フォーラムの席で双方の発言がありました。

「大変に重要な会議」…会談で開口一番、このように切り出した経団連の中西宏明会長は、「共通認識」という言葉を何度も使い、連合と目指すところは同じであることを強調しました。

経団連・中西宏明会長

焦点の賃金も、中西会長が「日本のいまの賃金水準は先進国のなかでも決して高くない。賃金のモメンタム(勢い)が大事ということが大前提」と語れば、連合の神津里季生会長も「賃上げのうねりが社会全体のものになっていない」と述べ、賃上げの必要性について、双方の認識はほぼ一致しているように見えます。ただ、その手法については立場の違いが明確になりました。

連合側は月例賃金の引き上げを主張します。その根拠はいわゆる「失われた20年」です。就職氷河期、非正規雇用の増加、格差拡大…こうした状況の積み重ねにより、「日本はしぼんで来てしまった」と語る神津会長。「どうやってしぼんで来た日本をもう1度膨らませて行くのか、そのなかで賃上げは非常に大きい要素だ。各労使は汗をかかなくてはいけない」と訴えます。

そして、一律の賃上げについては「自分のところはやめておこうかということになると、ここまで積み上げて来たものがご破算になりかねない」と、途絶えることへの危機感を示しました。

連合・神津里季生会長

これに対し、中西会長は「どう分配して行くかについては、一律ベアが何%で、全体の水準でいくらとは言えない時代になった」と、一律の賃上げについては否定的な見方を示します。そして、「エンゲージメント」という表現を使い、「やる気のある人が思い切って働ける環境をどうやってつくって行くか。日本の仕組みを見直さなくてはいけないところも出て来た」と述べました。

これを「働き方改革の第2弾」と位置付けるとともに、終身雇用、年功序列賃金に代表される日本型雇用システムの見直しを掲げています。

日本型雇用システムの見直しについては、神津会長は「先端的な問題意識」と理解を示しながらも、「取り上げられ方次第では、20年間置き去りにされて来た課題の解決とは整合しない恐れがある」と懸念します。

この日は「労使フォーラム」も開かれた(1月28日撮影)

この20年は「日本的雇用のいい部分を失って来た20年でもある」…見直しによって、失われた状況を助長する可能性もあるというわけです。打開のため、国の政策として、雇用のセーフティネットの必要性を訴えました。

このセーフティネットについては、会談で異論は出なかったということですが、具体的な手法については結論が出ていません。問題意識の共有を強調した労使双方、しかし、それは裏を返せば、双方が束になってかからなければならないほど、日本が抱える問題が根深いことを示していると言えるでしょう。

解決には「失われた20年の修復作業」「少子高齢化や国際競争など将来への備え」に“同時進行”で臨まなくてはなりません。しかも両者は複雑な糸でつながっています。働く我々にとっては、給料が上がるのはうれしいのですが、これらの問題は“その場しのぎ”の賃上げだけで解決できるものではないように思います。

今春の労使交渉は、3月11日の集中回答日でヤマ場を迎えます。(了)

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