国内感染を食い止め損なうと東京五輪も危ない~日本政府の対応の甘さ
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ニッポン放送「ザ・フォーカス」(1月29日放送)に山野美容芸術短期大学客員教授の中原英臣が電話出演。新型コロナウイルスの対策と今後について解説した。
潜伏期間でも拡大する新型コロナウイルスの恐ろしさ
1月29日、新型コロナウイルスの肺炎の感染が拡大した武漢から206人の日本人を載せたチャーター機第1便が羽田に到着。29日の夜8時ころを目途に第2便のチャーター機を現地に派遣する方針となっている。
森田耕次解説委員)今回の対策と今後について、専門家の方にお聞きしたいと思います。ウイルスの専門家で感染症や公衆衛生に詳しい、山野美容芸術短期大学客員教授の中原秀臣先生に伺います。日本人が206人帰国したなかで5人は症状が出たということで、そのうちの2人が肺炎と診断されたというのが東京都の発表であります。この肺炎が新型コロナウイルスかわからないという状況ですが、この辺りはどうご覧になりますか。
中原)新型コロナウイルスによる肺炎の可能性がないわけではありませんから、いまは慎重に検査してウイルスの検定をしているのではないかと思います。
森田)新型コロナウイルスはまだはっきりとわからないところが多いのですが、どういった特徴なのでしょうか。
中原)最大の特徴は、同じコロナウイルスでもSARSがありました。あのウイルスとの違いで非常に顕著なのは、潜伏期間でも感染させてしまう可能性があるということです。そして、症状はSARSよりも比較的軽いものです。軽いから、その段階で人から人へ感染してしまうということが非常に大きな特徴だと思います。SARSの場合は重症だった代わりに、症状が出ないとウイルスは人から人へうつらなかったのです。今回、何が何だか我々にもわからないうちにどんどん患者さんが増えています。感染したバスの運転手さんも、患者さんが乗っていたわけでもないのにも関わらず、症状が軽い方か潜伏期間の方がいらっしゃって、その方から感染したのだと思います。
森田)基本的には咳やくしゃみなどの飛沫感染で広がっていくということですね。
中原)それからもう1つは接触です。咳やくしゃみをすると、どうしても飛沫が飛びます。それが机などいろいろなところについて、それを触ってしまう。その手を口のなかに入れたり、目などを触ったりすることで粘膜からウイルスが感染する可能性です。ですから、飛沫感染と接触感染があるのではないかと思います。
森田)基本的な対策としては、マスクや手洗いなど、インフルエンザと同じ対策しかないということでしょうか。
中原)はっきり言うと、個人的に1人1人がやって100%自分を守る方法はないということです。アルコール消毒などいろいろな注意がありますが、それをやっても絶対に感染しないわけではないというわけです。
森田)ワクチンや特効薬もありませんから、感染してしまった場合には休むしかないということですか。
中原)保健所を経由して、近所の専門病院に行く。医学的には隔離というのですが、隔離して他人と接触しないようにしてもらいたいと思います。
日本政府の対応は甘い~隔離してでも食い止めるべき
森田)今回帰国した206人について、政府は症状のある人、ない人をグループにわけて別の医療機関を受診してもらうという体制で、症状のない人は国立国際医療研究センターへバスで移動して検査を受け、その後は都内や近郊に自宅のある人は政府の用意したバスで帰宅、遠方の人は東京の宿泊施設に留まってもらうと。最大2週間ほど外出を控えるように求めているのですが、この辺りの対応はどうご覧になっていますか。
中原)やはり、多少甘いのではないかと思います。フランスやオーストラリアは帰国した方をある意味完全に隔離しているようです。隔離というと嫌な言葉ですが、今回帰って来た方も140人くらいの方がホテルへ行きます。自宅に帰る方は60人くらいです。多くの方は家に帰りたくないのですよ。なぜかというと、家には家族がいます。もし感染していたら、家族にうつってしまう。たかだか1週間か2週間ですから、私だったらホテルに隔離された状態でいます。家に帰ったとしても、自分自身を隔離するのですよ。家族と一緒に食事をし、同じ部屋に寝られるのか。いろいろな問題があります。今回帰られた方はその方法をわからないのだと思います。政府は何も指示をしていません。「なるべく外へ出ないでください」と曖昧なことを言っているだけですから、これは怖いことだと思います。
森田)ワクチンの開発ですが、アメリカが開発に着手したとか、オーストラリアの研究所でウイルスの培養に成功したという話があります。ワクチンの開発には時間がかかるのでしょうか。
中原)つくるのに時間がかかりますし、ワクチンを使用するのは安全性を確認しなければいけません。相当な時間がかかると思ってください。
森田)長期戦ですね。
中原)日本ではもう1人感染したという話がありますが、とりあえず国内感染は1人か2人です。ここで食い止め損なうと、東京オリンピック・パラリンピックも危ないです。
番組情報
錚々たるコメンテーター陣がその日に起きたニュースを解説。佐藤優、河合雅司、野村修也、山本秀也らが日替わりで登場して、当日のニュースをわかりやすく、時には激しく伝えます。
パーソナリティは、ニッポン放送報道部解説委員の森田耕次。帰宅時の情報収集にうってつけの番組です。