脳性麻痺の女性を主演に迎えて描いた“人生の旅”
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【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第776回】
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。
今回は、2月7日公開の『37セカンズ』をご紹介します。
史上初のベルリン2冠! 2020年を代表する傑作が日本上陸!!
「第69回ベルリン国際映画祭」パノラマ部門で、<パノラマ観客賞>と<国際アートシネマ連盟(CICAE)賞>を受賞。映画祭史上初のW受賞という快挙を遂げ、その後も各国の映画祭で脚光を浴びた『37セカンズ』。
2020年を代表する傑作が、ついに日本に上陸しました。
貴田ユマ、23歳。生まれたときに37秒間息をしていなかったことで、脳性麻痺を抱えてしまった彼女は、過保護な母親のもとで車椅子生活を送りながら、漫画家のゴーストライターとして、ひっそりと社会に存在して来た。
窮屈さを覚える生活から解放されて独り立ちしたいと思う一心で、ユマは自作の漫画を出版社に持ち込むが、女性編集長に「人生経験が少ない作家に、いい作品は描けない」と一蹴されてしまう。その瞬間、ユマのなかに秘められていた何かが動き始める。
夢と直感だけを信じて、自らの力で新しい世界を切り開いて行くユマ。その先で彼女を待ち受けていたものとは…。
主人公の貴田ユマを演じたのは、ヒロインと同じく出産時に身体に障害を負った佳山明(かやまめい)。社会福祉士として働いている彼女は、本作が演技初挑戦。
当初は女優の起用を検討したものの、健常者が障害者役を演じることに強い疑問を抱いたHIKARI監督の意向によって開催されたオーディションで、100人の候補のなかから選ばれました。
共演には神野三鈴、渡辺真起子、大東駿介、板谷由夏、萩原みのり、芋生悠、渋川清彦、宇野祥平、奥野瑛太、石橋静河、尾美としのりと、多彩な俳優陣が集結。リアリティとエンターテインメントを見事に融合させた感動のドラマが誕生しました。
LA在住でこれが長編初監督作品となるHIKARI監督。本作がきっかけで、その才能と感性に、現在、ハリウッドからオファーが殺到しています。
当初は“障害者”と“性”をテーマにしたラブストーリーを作りたいと思っていたHIKARI監督ですが、オーディションで出会った佳山明に心を掴まれたことで、脚本を大幅に変更。ひとりの女性の成長を描いた物語となりました。
夢に向かって奮闘するヒロインの姿は、あらゆる障害、国境、世代を超えて、私たちに人生の“真髄”を教えてくれます。人生の扉を開くのは、自分自身だということを。
『37セカンズ』
2020年2月7日(金)から新宿ピカデリーほか全国順次ロードショー
監督・脚本:HIKARI
プロデューサー:山口晋、HIKARI
撮影:Stephen Blahut、江崎朋生
編集:Thomas A. Krueger
美術:宇山隆之
サウンド:Sung Rok Choi
音楽:Aska Matsumiya
挿入歌:「N.E.O.」CHAI <Sony Music Entertainment (Japan) Inc.>
出演:佳山明、神野三鈴、大東駿介、渡辺真起子、熊篠慶彦、萩原みのり、宇野祥平、芋生悠、渋川清彦、奥野瑛太、石橋静河、尾美としのり、板谷由夏
(C)37 Seconds filmpartners
公式サイト http://37seconds.jp/
連載情報
Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/