決算ラッシュのなかで…新型肺炎の影響も

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「報道部畑中デスクの独り言」(第174回)

ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム。今回は、各界にもたらす新型コロナウイルスの影響について---

新型コロナウイルスに関する厚生労働省の記者会見(2月6日撮影)

中国・武漢を中心とした新型コロナウイルスによる肺炎は、いまも感染拡大が続いています。ウイルスの“正体”が完全に解明されないなか、影響は各分野でしばらく続きそうな様相です。

まずは感染拡大の阻止が喫緊の課題であることは言うまでもありませんが、一方でこのニュースはメディアとしても政治、経済、外信、社会…イベントの影響も含めれば、スポーツや文化とさまざまな分野にまたがるため、各担当が当事者としてこの問題にあたっています。

経済への影響も徐々に出始めています。おりしも、この時期は第3四半期の決算発表がラッシュを迎えました。決算の数字以上に新型コロナウイルスへの影響が注目されましたが、この時点では見通せないという企業がほとんどでした。

花王の決算会見(2月4日撮影)

「現在では予測困難。(部品調達先の)日系のカーメーカー、中国の関係先など影響は出て来ると思う」(三菱電機)

「生産活動、人の行き来など大きな影響が出るものと考えられる」(三井物産)

いずれも2月上旬に行われた決算会見でのコメントですが、SARS(重症急性呼吸器症候群)のときと比べ、中国の経済規模も格段に大きくなっていることから、その影響を懸念する声もありました。

また、花王は2020年の連結業績予想で額に幅を持たせ、インバウンド(訪日客)の需要をゼロと見積もった“底値“を示しました。状況によっては、春の新製品にも影響が出る可能性があるということです。

ただ、花王は化粧品などのいわゆる「爆買い需要」をマイナス要因とする反面、手洗い剤、消毒剤などの需要が伸び、増産体制に入っていることから、両者が相殺される形となっています。影響は一筋縄では行かず、複雑な様相を呈しています。

トヨタ自動車の決算会見(2月6日撮影)

一方、自動車業界も例外ではありません。2月6日に行われたトヨタ自動車の決算会見、その数字自体はすさまじいものになりました。昨年(2019年)4月~12月の9ヵ月で、すでに連結の売上高は約22兆8000億円、最終益は2兆円を超えました。

通期、昨年4月~今年(2020年)3月までの連結決算見通しも、最終益2兆3500億円、前回の見通しを2000億円上乗せする上方修正となりました。

「収益構造改革、原価低減はまだまだ道半ば、まだまだやることがたくさんある。われわれ自身が汗をかいて続けて行きたい」

記者会見で、白柳正義執行役員はこのように述べました。相変らずの危機意識です。一方、新型コロナウイルスの影響については、決算内容には盛り込んでいないということでした。

「いまの影響が収益、ビジネスのなかでどういう影響が出るのかは見通せていない」

記者からは影響を問う質問が繰り返されましたが、白柳執行役員は同じ回答を繰り返し、やや歯切れの悪いものに。「中国ではクルマを買うというムードではないのではないか?」とも述べ、中国への販売の影響にも懸念を示しました。

電子部品などは中国から調達しているものもあり、今後精査するということです。決算発表の時点では2月9日までの工場稼働停止の方針でしたが、その後、17日まで停止期間が延長されました。

2019新型コロナウイルス-Wikipediaより

トヨタでは新型コロナウイルスの影響と別に、中国市場は今後、縮小すると予想する一方で、自身の販売については追い風の状態にありました。

「一昨年(2018年)、李克強首相が来日して以来、中国政府はトヨタの環境技術に関心を寄せている」(ディディエ・ルロワ副社長)…昨年の中国での新車販売は162万700台に達し、日本での販売台数を上回るとともに、中国では日系メーカーで日産自動車を抜き、初めてトップに立ちました。トヨタにとってはまさに出鼻をくじかれる形となったようです。

決算会見では、先月(1月)発表した街づくりプロジェクトについても話題が及び、ルロワ副社長は「生きた研究所、実験室。将来のために準備をする始まりのプロジェクトだ」と語りました。100年に1度の変革と言われる自動車業界、その流れは着々と進んでいますが、新型コロナウイルスの問題は、そうした時代の流れとは別の「予想外の事態」と言えます。

思えば、先月の経済界の新年パーティでは、世界経済への影響を懸念するトップは多かったものの、中国と言えば「米中摩擦」が当たり前の空気でした。経済の世界も「一寸先は闇」…改めて痛感します。(了)

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